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『渡鬼』橋田壽賀子氏&石井ふく子P「いい時代にいい仕事ができた」

 1990(平成2)年にTBS系でスタートし、2011(平成23)年に連続シリーズが終了した後も、単発番組として放送が続く橋田壽賀子ドラマ『渡る世間は鬼ばかり』。その新作が今年は敬老の日の9月17日(後8:00〜11:07)に放送される。橋田壽賀子氏(93)は、今回の脚本を、世界一周クルーズの最後の寄港地となるハワイに到着するまでの洋上の1週間と、ハワイでの2泊、そして横浜に到着するまでの1週間の計16日ほどで書き上げたという。「書きたいことはたくさんあるんですが、書き始めるまでが大変。なかなか筆が乗ってこなかったんですが、はずみがつけば早いし、執筆中も楽しい」と語り、仕事や才能の鬼っぷりを伺わせた。

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 「2人の年齢を足して184歳。そんな記者会見ある? 90歳を過ぎて仕事しているってすごくないですか?」という橋田氏と、石井ふく子プロデューサー(91)がそろって登場。最強コンビは矍鑠(かくしゃく)として健在だった。記者から視聴率について質問された時も、橋田氏は「視聴率? そんなの考えていたら、バカバカしくて書けないわよ」と、脚本家としての自信をにじませた。

 「視聴率は聞かないことにしている。ダメでもいい。それで仕事がこなくなってもいい。視聴率をとりたいなんて、考えたこともない。書いたものに対する自信があるし、それが大衆に受け入れられたかどうかは気になるけど、視聴率だけで判断されちゃイヤだなって気がします」と、橋田氏。その遠慮のないもの言いを石井プロデューサーがフォローする。「視聴“質”が伴わないといけない。質のいいドラマを見た視聴率であることが大事なんじゃないか。今回も単発ドラマなので、1回きりの放送をどう見ていただくか、そのための宣伝も大事だと思っています」。本当にいいコンビだ。

 橋田氏にとって石井プロデューサーは「私を見つけてくれた方。ふく子さんのおかげでホームドラマの脚本が書けるようになりました。作家としての命の恩人。主人よりも、両親よりも、生きる上で影響を与えてくださった方です」という、絶対的存在。

 映画会社で脚本を執筆していた橋田氏は、1959年(4月に今上天皇のご成婚パレードがあり、テレビが急速に普及しはじめた年)に独立。石井プロデューサーと組んだ東芝日曜劇場『袋を渡せば』(1964年)がテレビドラマのデビュー作となり、続く『愛と死をみつめて』(64年)で一躍、名を上げた。

 ちなみに、橋田氏の脚本はせりふが長いことで有名だが、「映画のせりふは短くて、うそっぱち。テレビドラマのせりふはもっと日常的でリアルなものだと教えてくれたのがふく子さん。それで、長いせりふを書くようになったんです」と、石井プロデューサーの導きだったというのが橋田氏の言い分。「ほかの人には10説明するところが2で済む。ふく子さんには長生きしてもらって、私のお葬式をしてください」と、ペコっと頭を下げた。

 石井プロデューサーにとっても「橋田さんにはいろんなドラマ書いていただきましたし、仕事をしてもらわないと困る」かけがえのない存在だった。橋田氏が「好きな人ができた」といえば、相手の男性(当時TBSプロデューサー、故・岩崎嘉一さん)との間を取り持ち、結婚式では仲人を務め、夫婦げんかの仲裁にも入るなど、公私にわたる付き合いが、もう50年以上。「不思議な友人です」(石井プロデューサー)。

 そんな最強の2人が、平成最後の『渡る世間は鬼ばかり』で描くのは、老後の「夫婦」。石井プロデューサーは「これまでずっと家族の在り方を見つめ続けてきましたが、今回は特に夫婦の関係を描きます。勇(角野卓造)が階段を踏み外して入院することからはじまるんですが、『幸楽』の仕事が忙しく、自分たちの今後について語ることが少なかった勇と五月が、病室で初めて二人きりになって、どのような会話が生まれるのかご注目下さい」と、アピール。

 続けて「言葉を交わすことで生まれる信頼や夫婦愛。普段は反発しながらも愛おしい人だと気づく幸せ。五月だけはなく、五姉妹のそれぞれが相方とのつながりについて見つめ直してゆきます。最後には、わずらわしいこともあるけれど、やっぱり家族っていいな、と。そんなことが伝わると幸いです」。

 「夫婦」を軸に、普遍的なテーマである「嫁姑」、橋田氏が個人的に関心を寄せる現代的テーマの「在宅医療」「介護」「尊厳死」などにも言及していく。

 橋田氏は「90歳になったら仕事はやめようと思っていたんですが、『鬼』だけは書かせていただけるなら、書きたいと思っていて、今回もふく子さんに書けって言われたから書いたんですけど、大変幸せだと思っています。『鬼』は登場人物(出演者)が時間の経過とともに成長してきたドラマで、その時、その時の社会問題、言いたいことがドラマを通して発信できるのはありがたいこと」。

 まさに、平成という時代とともに歩んできた『渡る世間は鬼ばかり』。「いい時代にいい仕事ができた。これから先のことは全然わからないけれど、若者を書く気はまったくないです(笑)。在宅医療の問題は一度しっかり書きたいと思っていますが、そんな脚本家、生きて生けないと思いますので、平成とともに去っていくというのもありかも(笑)」という橋田氏に、すかさず石井プロデューサーは「(去ることは)ないと思います」ときっぱり。すでに次回作を見据えているようだった。

関連写真

  • 脚本家の橋田壽賀子氏(右)と石井ふく子プロデューサー(左)、2人で184歳のコンビによる『渡る世間は鬼ばかり 3時間スペシャル2018』TBS系で9月17日放送 (C)ORICON NewS inc.
  • 橋田壽賀子氏 (C)ORICON NewS inc.
  • 石井ふく子プロデューサー (C)ORICON NewS inc.
  • 『渡る世間は鬼ばかり 3時間スペシャル2018』TBS系で9月17日放送。勇(角野卓造)が階段を踏み外し入院してしまうという驚きの展開で幕を開ける(左から)岡本信人、中島唱子、泉ピン子、村田雄浩、角野(C)TBS

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