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福山雅治が「齢50を前にして」初めて見せる必死さ、引き出した“ジョン・ウーマジック”とは?

 福山雅治が出演する映画『マンハント』が、いよいよ2月9日に公開を迎える。監督は、『男たちの挽歌』や『ミッション:インポッシブル2』ほか、数々の名アクション映画のメガホンをとったジョン・ウーだ。そんな監督のもと、ほとんどスタントを使わずに初の本格的アクションに挑み、これまでにない泥臭い姿を見せた福山。監督は、福山の魅力をいかに引き出し、国境を超えたコラボレーションを成し得たのか。二人の対談から、今作を作り上げた“マジック”が見えてきた。

【動画】福山が殴り合いに銃撃戦…迫力の映像とは


◆「むさぼるように観ていた」、日本映画に影響受けた監督が描く大阪

 映画『マンハント』は、西村寿行氏の原作小説『君よ憤怒の河を渉れ』(徳間書店)を再映画化した作品。大阪を中心に日本でのオールロケを敢行し、福山と中国の俳優チャン・ハンユーがW主演。無実の罪を負わされた国際弁護士ドゥ・チウ(ハンユー)と彼を追っていた孤高の刑事・矢村聡(福山)が、共に真実を追求していく姿を描くというストーリーだ。

 ジョン・ウーが描く大阪は、近未来的な都会感と、昭和風の人情味溢れる情景が矛盾なく調和。「私はもともと1960年〜70年代の日本映画が大好きで、その時代の大御所の監督たちが手がけた作品を、子どもの頃はむさぼるように観ていました。そのクリエイティブな表現には、非常に影響を受けたんです」という監督。その手によるだけに、日本映画にも洋画にも、香港映画にもない不思議な魅力と活力に溢れている。

 そんな今作で、監督が福山にリクエストしたのは、「今までのイメージとはひと味違った、義理人情を大切にする刑事役」だ。
「福山さんは、ミュージシャンとしても愛とか平和といった、大きなテーマで曲を書かれています。もともと、表現の原点に深いメッセージがある。今回は、矢村という役を通じて、世界中の観客の皆さんにも、福山さんが本来持っている希望や温かみを伝えたいと思ったのです」(ジョン・ウー)

◆福山初の本格アクション、「完成するまでは不安が払拭できなかった」

 これまでもフジテレビ系『ガリレオ』シリーズ、NHK大河ドラマ『龍馬伝』など数多くの作品に出演してきた福山だが、本格的なアクションに挑むのは今回が初めて。

 「最初は心配しかありませんでした。監督は、もう40年以上アクションを撮られてる方なのに、こんな…僕が、初めてアクションにチャレンジして大丈夫なものかと(笑)。現場では、監督がOKを出してくれているわけだから、それを信じようと思って乗り切ってはいたものの、完成するまでは不安が払拭できなかった。でも、完成したものを観たら、自分で言いますけど、『カッコイイ!』と(笑)。『これは僕なのか?』と、目を疑うほどのカッコ良さに仕上がっていました。これぞジョン・ウー監督マジック!と思いました(笑)」(福山雅治)

 演技はもちろん、難しいアクションもほとんどスタントなしで挑戦した福山に、「アクション自体にも感情を込めてきちんと演じてくださった。刀や銃を使ったシーンも、常に福山さんの動きは美しくて、迫力もあった。初の本格アクションとは到底思えない素晴らしさでした」と、監督も太鼓判を押している。

◆監督の作る「必死にならざるを得ない環境」が、役者のポテンシャル引き出す

 このようにアクションが満載な今作だが、これまでにない人間くさく、泥くさい福山の演技を見ることもできる。美しさやカッコ良さだけではない、エネルギーを爆発させるようなパワーは、どのように生まれ出たのだろうか。

 「それはたぶん、難題や初めてのことに、たくさんチャレンジさせていただけたからだと思います。水上バイクにしても、ソード(刀)アクションにしても、殴ったり組んだりの格闘技的な動きにしても、英語の台詞にしても。齢50を前にして(笑)、やったことないことにこれだけ挑戦すると、必死さは当然出ますよね。監督は、長年の映画作りを通して、役者のパフォーマンスをどう引き出すかを熟知していらっしゃるのだと思いました。いつも穏やかで、怒鳴ったり声を荒げたりは一切ないのに、長年の経験で、役者が自分自身を追い込み、必死にならざるを得ない環境を作ってくださる。そこで、自分自身をコントロールできない領域に追い込まれた時に、初めて自分でも知らなかった自分が引き出されるんだなと思いました」(福山雅治)

◆「生真面目で融通が利かない」、日本人への固定概念変えた福山の人柄

 今作は、監督率いる中国のスタッフと、日本のスタッフが協力して制作。監督が、「日本人のプロ意識、どんな些細なことにもベストを尽くそうとする姿、それは役者だけでなく、スタッフの取り組み方にも、非常に感銘を受けました」と語るように、内容ばかりか、撮影現場でも「国境を越えたコラボレーション」が実現している。

 「交わり合うはずのなかったもの同士が交わりあって、理解し合って問題を解決してゆくというストーリーは、個人個人の人間の関係だけでなく、国と国との間にもきっと当てはまる。結果として、現場のスタッフ同士の交流もそうだし、チャンさんと僕もそう。映画のテーマも、キャスト同士も、制作現場も同じように一つになっていったんです。これはもう、全てが監督の狙い通りなんだと感じました」(福山雅治)

 今回、“ジョン・ウーマジック”によって内なるポテンシャルを引き出された福山。だが、監督にとっても、彼は新たな視点を与える存在となった。

 「今回の映画を撮る前までは、中国人スタッフとはよく、『日本人は生真面目で、融通が利かないところがある。何を考えているのかわからない』と話したりしていたんです。でも今回一緒に仕事をしてみて、福山さんのように親しみやすくてフレンドリーで、ユーモアのセンスがあって、気配りができる日本人もいることを知りました。しかも、大スターなのに会うといつも気さくで、身近な存在でいてくれる。民族に対する固定観念なんてあてにならないということを、再認識できたんです」(ジョン・ウー)

 「僕こそ、優しくて、エネルギーと愛情と才能に溢れた素晴らしい監督と出会えて、友情というのはおこがましいですが、言葉も年齢も超えた繋がりを感じています。本当にありがとうございました」(福山雅治)
(文:菊地陽子)



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