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JASRAC、映画上映使用料の規定改正へ向け方針発表

 アジア・太平洋地域における音楽創作者の団体・APMA(アジア・太平洋音楽創作者連盟)の総会が11月8日、ヒルトン東京で開催され、同日にはここでの問題提起を受ける形でJASRAC(日本音楽著作権協会)が映画上映使用料の改定に向けた記者会見を実施。改めて問題を整理した。

◆興行規模の1〜2%を目標に使用料規定を改定

 APMAにおいては、改めてアジア各国が抱えるそれぞれの問題を共有するとともに、日本においては映画上映における内外格差の問題などが議論された。

 こうしたAPMA側の動きを受ける形で、同日開催されたJASRACの会見でも「外国作品の上映使用料一律18万円というものから、諸外国と同等に、興行規模の約1〜2%を徴収できる形に改善すべく、関係団体と協議を進める」ことが発表された。

 映画上映における使用料徴収額については、写真図のように、イギリス・フランスなどの欧州各国と比べ、日本は極端に少なく、APMAや、さらにそれの上部団体であるCIAM(著作権協会国際連合)においても2011年ごろから是正要求が急増していた。この問題の背景には日本では、“徴収対象者”及び“徴収規定”が大きく異なる点が挙げられる。

 上に挙げた欧州各国は劇場が徴収対象者なのに対し、日本では配給業者が、劇場が加盟する利用者団体である全国興行生活衛生同業組合連合会(全興連)を通じて支払う。この全興連と1964年(昭和39年)に制定された規定がベースになっており、その後、使用料額は数度の見直しがあったものの、現在は85年に策定された「一律18万円」となっている。

 これについてJASRACでは「使用者は劇場であり、支払者も劇場と考えるのが妥当。今後も全興行連を窓口にしていくことに変更はないが、劇場ベースで規定を改定していく方針としたい。また、外国映画の一律18万円という規定は興行規模ベース、作品のヒット規模に見合った額での徴収に改めたい。

 さらに、現在、初公開時のスクリーン数での徴収となっている日本映画においても、支払機会が一度だけで、ロングランやリバイバルに対応できていない。この点も是正していきたい」と表明。すでに約6年間にわたり全興連とは協議を続けていたというが、今後はより一層、目標を明確にし、話し合いを進めていくとした。

◆望まれる関係団体での話し合い

 今回のJASRACの発表で懸念されるのは、現状の支払額からの差異による劇場側の経営の圧迫だ。例えば約255億円の興行収入を記録した『アナと雪の女王』は、仮に使用楽曲がすべてJASRACの管理楽曲だった場合、これまでの使用料18万円が、最大で約5億円まで跳ね上がる。これほど極端な例ではないものの、単館系の劇場はさらに経営が厳しくなることが予測され、劇場側の理解は得にくいだろう。これについてJASRACは以下のように回答する。

 「欧州各国が映画上映使用料として興行収入の1〜2%を徴収しているのに対し、日本では実質0.1%にも満たない状況となっています。将来的には、映画上映使用料の徴収額を、諸外国のレベルに近づけていくことを目標としています。この目標に向けて、現状の改善を企図し、使用料規定の変更に取り組んでおりますが、新たな規定を実施することにより、直ちに興行収入の1〜2%を使用料として徴収するものではありません。

 具体的な使用料は、映画の中での音楽の利用量、利用されている楽曲におけるJASRAC管理楽曲の割合、映画の入場料、入場者数などを勘案して算出することを想定しています。また、現在一律18万円となっている外国映画の上映使用料は、これらの要素を基に、利用者団体の意見を踏まえ、今後具体的に額などを詰めていくこととなっています」

 現状の外国映画の規定が著作者への正当な使用料と言えるかといえば、諸外国と比べるべくもなく、大いに疑問が残る。ただし、それを“諸外国がそうだから”ということで、単純に一律料率へと切り替えるのだと理解するのは早計すぎる。今回のJASRACからのコメントにもあるように、公開規模や、その後にヒット規模、さらには録音楽曲数やその長さ、上映回数、劇場席数などを勘案しながら、新しい規定ロジックを全興連含め、関係団体で話し合われることが望まれる。



関連写真

  • 映画上映使用料徴収額(2014年)・国際比較
  • 現行の映画上映使用料の枠組み

提供元:CONFIDENCE

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