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KICK THE CAN CREW“復活祭”ファンも音楽仲間も祝福の一夜

 2004年からの活動休止を経て、結成20年という節目をきっかけにオリジナルアルバム『KICK』をリリースし、本格的に再始動した3人組 HIP HOPグループKICK THE CAN CREW(以下、KTCC)。ファンはもちろん、KREVALITTLEMCUの3人にとっても、音楽仲間にとっても喜ばしい再始動を祝うスペシャルイベント『KICK THE CAN CREW 復活祭』が7日、東京・日本武道館で開催された。KTCCにとって15年10ヶ月ぶりの日本武道館公演でもあった。

KICK THE CAN CREW「復活祭」にいとうせいこう、倖田來未、藤井隆、RHYMESTERなど、親交の深いアーティストたちが集結(撮影:岸田哲平&中河原理英)

KICK THE CAN CREW「復活祭」にいとうせいこう、倖田來未、藤井隆、RHYMESTERなど、親交の深いアーティストたちが集結(撮影:岸田哲平&中河原理英)

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 BSスカパー!で生中継されることもあって、開演時間の午後6時30分ちょうどに会場は暗転。観客は、ステージ中央にせり上がってくるKREVA、LITTLE、MCUを全員総立ち状態で迎えた。

 活動休止から10年経った14年夏、『ROCK IN JAPAN FES2014』にKICK THE CAN CREWとして出演して以降、フェスなどで3人のパフォーマンスを見る機会はあったが、武道館のステージで新曲「全員集合」(『KICK』収録)を披露する3人の姿は別ものだった。高速ラップと掛け合いで、健在ぶりを見せつける。

 その後、「日本語ラップの先駆者」と言われている、いとうせいこうを進行役に、KTCCとゆかりあるアーティストたちが続々登場し、「騒げ〜!」と、まさにお祭りといった感じで復活祭を盛り上げてく。

 実質1番手のRHYMESTERは1曲目で「ONCE AGAIN」を披露。彼らも07年に活動休止を発表し、10年にこの曲とともに復活した背景があり、KREVAも「この曲をあえて1曲目にやってくれた心意気がうれしい」と感激していた。続いて「順番、おかしくないですか〜」と藤井隆がタキシード姿で登場。「ナンダカンダ」やRHYMESTERの宇多丸と「Quiet Dance」などを気合いのほとばしるようなパフォーマンスで突っ走り、「すごくいい経験をさせてもらました」(藤井)。

 3組目は、いとうが「オレにもライブやらせてよ」とステージに現れる。「30年ちょっと前、日本語でもラップできる、とライブをやっていた。そのライブを中学3年生だったMCUと同級生のDJ TATSUTA、TAICHI MASTERが見に来ていた。当時、まさかオレと一緒にステージに立てるとは思っていなかっただろう。でも夢はかなう」と、DJ TATSUTAを紹介した。DJ TATSUTAの繰り出すビートに、「東京ブロンクス」「ヒップホップの初期衝動」のラップをのせて、貫禄たっぷり。3曲目でMCUが「ミラクルだー」と叫びながら全力疾走でステージに入ってきて、二人並んで「マイク2本」。いとうの粋な計らいで、MCUの、KTCCの、日本語ラップのルーツにまでせまったステージに、観客も大いに湧いた。

 4組目は一転して、倖田來未がダンサブルなナンバーを立て続けに披露し、ダンサーたちとの息の合ったキレキレのダンスで観客の目を釘付けにした。倖田は「なぜわてがオファーされたのか、一番びっくりしている」といいながらも「私が2000年にデビューした当時、KTCCは雲の上の存在だった。02年、北海道のライブハウスでご一緒したことがあって、あれから16年。再びご一緒できるとは」と、“なれ初め”を明かしていた。

 そして、いよいよKTCCの出番。新曲「千%」(『KICK』収録)に続いてデビュー曲「スーパーオリジナル」のイントロが始まると、大歓声とともにこの日“最大震度”で会場が文字通り揺れた。

 「掛け合いのパートをものすごく細かく分けていて、結構難しいことをオレららしくやっています」という新曲「SummerSpot」(『KICK』収録)では、ノーミスで終わってメンバーたちも「できたー!」と心底うれしそう。

 「イツナロウバ」「sayonara sayonara」「アンバランス」と代表曲を連発し、RHYMESTERと「神輿ロッカーズ」でさらに盛り上げると、「地球ブルース〜337〜」、02年大みそかの『NHK紅白歌合戦』でも歌唱した「マルシェ」で一旦しめるまで一気に駆け抜けた。

 色とりどりの紙吹雪が下から吹き上がっていく華やかなエンディングに、客席からは鳴り止むことのない大きな拍手が送られた。KREVAは「よく集まってくれた」と、活動休止以前からのファンに感謝。「活動していなかったから、新しいファンがいない。これからツアーで作っていこうと思います」と、アンコールでは新曲「I Hope You Miss Me a Little」(『KICK』収録)を披露し、12月から予定されている全国ツアーにつなげた。懐かしさと、それだけでないうれしさがまじりあった、感慨深い祭りの一夜となった。

関連写真

  • KICK THE CAN CREW「復活祭」にいとうせいこう、倖田來未、藤井隆、RHYMESTERなど、親交の深いアーティストたちが集結(撮影:岸田哲平&中河原理英)
  • オープニングで新曲「全員集合」を披露するKICK THE CAN CREW(撮影:岸田哲平&中河原理英)
  • RHYMESTERと一緒に「神輿ロッカーズ」(撮影:岸田哲平&中河原理英)
  • オープニングで新曲「全員集合」を披露するKICKKICK THE CAN CREW(撮影:岸田哲平&中河原理英)
  • KICK THE CAN CREW「復活祭」の模様(撮影:岸田哲平&中河原理英)
  • KICK THE CAN CREW「復活祭」の模様(撮影:岸田哲平&中河原理英)
  • KICK THE CAN CREW「復活祭」の模様(撮影:岸田哲平&中河原理英)
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