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『夏目漱石の妻』が好調 尾野真千子&長谷川博己の配役ズバリ

 NHK総合で土曜日に放送されているドラマ『夏目漱石の妻』(毎週土曜 後9:00)が傑作になりそうだ。数字がすべてではないが、番組平均視聴率も初回(9月24日)は10.1%、第2話(10月1日)は9.0%、第3話(10月8日)は8.5%と大健闘している(視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区)。主演は、かつて千円札の肖像にもなった「夏目漱石」の妻、鏡子役の尾野真千子。漱石を長谷川博己が演じる。毎回CMなし(NHKなので)の73分という、観る方もカロリーがいる作品。視聴者を引きつけているのは、尾野と長谷川の熱演だ。

NHK総合で10月15日放送、土曜ドラマ『夏目漱石の妻』最終回「たたかう夫婦」より。夏目漱石の妻・鏡子を演じる尾野真千子と夏目漱石を演じる長谷川博己(C)NHK

NHK総合で10月15日放送、土曜ドラマ『夏目漱石の妻』最終回「たたかう夫婦」より。夏目漱石の妻・鏡子を演じる尾野真千子と夏目漱石を演じる長谷川博己(C)NHK

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 頭脳明晰(せき)で几帳面、しかもとんでもなく気難し屋の夏目漱石。一方、大らかで、自分の考えをすぐ口にしてしまう妻・鏡子。正反対の2人は、時にぶつかり合い、時に支え合いながらも、やがて、かけがえのない家庭を築いていく物語。公式サイトなどでは「明治という激動の時代を駆け抜け、夫婦として成長していく夏目夫妻を妻・鏡子の視点から、生き生きとユーモアを交えながら描くエンターテインメント・ホームドラマ」とうたっているが、中身は結構、壮絶だ。

 第1回は、裕福な家庭に育った鏡子は夏目金之助(漱石の本名)とお見合い結婚。金之助が高校の教師として赴任した熊本で新婚生活を始めるも、何もかもが空回り。流産した上、孤独を募らせ入水自殺を図る。

 第2回では、金之助が英語研究のためイギリスに留学。帰国後の金之助は急に暴力を振るうような人物に変わっていて…。その暴力シーンがSNS上では大反響。「かつて千円札にもなった文豪の暗部がここまでリアルに描かれるとは」「病んで暴力を振るう漱石と自身も病みながらも彼を受け入れた妻をちゃんと描いている」といった称賛の声や、「病的な神経質と暴力性を、左右の目の大きさを違えて演じる」長谷川の演技が絶賛されていた。

 第3回では、金之助の書いた小説『吾輩は猫である」』が評判を呼び、一躍作家として有名に。そんなある日、金之助が幼い頃に世話になった養父の塩原昌之助(竹中直人)が、夏目家にやって来る。「雨が降る中での尾野真千子VS.竹中直人の対決が大迫力だった」と2人の掛け合いが見ものだった。

 本作について取材に応じた尾野と長谷川は口をそろえて「(撮影が)楽しかった」と充実した表情を見せていた。

 尾野は「撮影しながら実際のところ漱石と鏡子さんはどうだったんだろう、と疑問を口にすると、『この頃の漱石はね…』と長谷川さんがいろいろ教えてくだ下さって、この人、本当は夏目漱石なんじゃないかと思うくらい、物知りで(笑)。私は長谷川さんやほかの共演者の方のお芝居を見て、感じて、どうすれば一番楽しいか、それだけを考えて演じることができました。だから、楽しかったです」。

 長谷川が物知りだったのは、夏目夫妻が暮らした熊本に足を運び、漱石の小説や資料を読みまくり、準備万端で撮影に臨んでいたから。「熊本にこっそり行って、どういうところに住んでいたのか、同じ場所に立って何かを感じるだけでも役に立つかなと思って。鏡子が飛び降りた橋を見に行ったり、小説家になりたい思いを抱えながら毎日通った高校まで道のりを歩いてみたり。いろいろしました。そういうことをするのが好き、でもあります」。

 演出を担当した柴田岳志氏についても「私たちの芝居を自由に撮りたいと言ってくれる監督だったので、より楽しくできたんじゃないかと思います」と尾野。感じるまま自由に演じる尾野に長谷川も触発された。

 「うらやましいくらい自由なんですよ、尾野さんは。僕の芝居もしっかり受けてくれるし、こちらの思惑を超えたものを返してくる。さらに僕も、という感じになりました。やっているうちに夏目漱石も同じだったんじゃないかと思えてきました。幼少時に養子に出され、家庭の温もりを知らずに大人になった漱石にしてみたら鏡子さんの大らかさがうらやましくて、一緒にいて面白いと思っていたんじゃないかな。そういうシーンの積み重ねを振り返ると本当に楽しい現場だった、と思います」

 主役の2人がこれだけ「楽しい」と言っているのだから、その熱が画面を通じて視聴者にも伝わるのだろう。

 長谷川からはこんな話も。「漱石役のオファーをいただいた時、すごくうれしかったんです。でも、脚本の池端俊策さんから『長谷川さんは大きいけど、漱石は背が低いことがコンプレックスだったんだよ』と言われ、なぜ僕を選んでくれたのか監督に聞いた時は『いま、一番勢いがあるから』とかわされ(笑)。でも、僕は漱石を演じることができて、本当によかったと思っています」。

 もはや鏡子=尾野だし、長谷川以外の俳優が演じる漱石なんて考えられない。しかし、このドラマ、次の第4回(15日放送)が最終回なのである。最後まで尾野と長谷川の夏目夫妻から目が離せそうにない。

 なお、総合テレビで14日深夜0時10分より第3回の再放送あり。

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  • NHK総合で10月15日放送、土曜ドラマ『夏目漱石の妻』最終回「たたかう夫婦」より。夏目漱石の妻・鏡子を演じる尾野真千子と夏目漱石を演じる長谷川博己(C)NHK
  • 最終回より(C)NHK
  • 最終回より(C)NHK
  • NHK総合で10月15日放送、土曜ドラマ『夏目漱石の妻』最終回「たたかう夫婦」より。夏目家に親しく出入りしていた足尾銅山の元坑夫・荒井(満島真之介)と鏡子(尾野真千子)(C)NHK
  • NHK総合で10月15日放送、土曜ドラマ『夏目漱石の妻』最終回「たたかう夫婦」より。鏡子(尾野真千子)といとこの山田房子(黒島結菜)(C)NHK
  • NHK土曜ドラマ『夏目漱石の妻』第3回には竹中直人が金之助の養父・塩原昌之助役で出演(C)NHK
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  • NHK土曜ドラマ『夏目漱石の妻』第3回より(C)NHK
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