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『真田丸』は衰退する大河ドラマ復活のきっかけとなる?

 2015年大河ドラマ『花燃ゆ』の平均視聴率が歴代ワーストタイ記録となったが、ここ数年、NHK大河ドラマの視聴率が苦戦を強いられている。イケメンやアイドルを投入するなど、試行錯誤しているものの、下降傾向のまま。大河ドラマの存在意義そのものが問われるまでになっている。NHKの危機感がひしひしと伝わってくるなか、年明けの1月10日からスタートする『真田丸』はキャストや脚本はもちろん、ナレーションに有働由美子アナを起用するなど、本気度が伝わってくる。アニメなどでは時代劇ブームが続くが、このまま大河ドラマは衰退してしまうのか。

■題材の枯渇を象徴した歴代ワーストタイの『花燃ゆ』 

 ここ数年、大河ドラマの視聴率が下降傾向にあった中で、『花燃ゆ』は、『平清盛』(2012年)と同じ歴代ワーストタイを記録し、平均視聴率12%に終わった。かつては40%もの視聴率を叩き出し、国民的ドラマと言われていた大河ドラマがここまで衰退してしまったのはなぜだろうか? やはり、まず第一に考えられるのが、題材の枯渇。放送50年以上を超える長期シリーズとしては致し方ないのかもしれないが、大河ドラマとして考え得る素材は出尽くしてしまっている。そのため、マイナーな人物にスポットを当てるしか選択肢がない状況になっているのだ。また、これは大河に限ったことではないが、視聴者の生活スタイルが多様化している今、“連続ドラマ”を毎週継続視聴することが難しくなっているという背景もある。

 さらに『花燃ゆ』に関してよく指摘されていたのが、「脚本」だ。大河に限らず、ドラマの善し悪しは脚本によって大きく左右されることが多く、例え主人公がマイナーであっても、脚本家の腕次第ということは言うまでもないだろう。ましてや大河の場合は、1963年から続く歴史あるドラマシリーズであり、1年間というロングサイズということで、視聴者の目も厳しく、ハードルも上がる。しかし、地上波全体で時代劇が少なくなってしまったなかで、王道の時代劇を書ける脚本家が育ちにくく、時代劇をかける脚本家も人材不足に陥ってしまっている。そんななか、新作の『真田丸』は『新選組!』(2004年)以来、大河は2度目となる三谷幸喜が脚本を担当。誰もが認める売れっ子、さらにコメディを得意とする三谷であれば、王道でなくとも、多少のファンタジー要素があっても許されるだろう。

■「時代考証」のバランスの難しさ “ファンタジー”が許されない風潮

 歴史を扱う大河ドラマは「時代考証」も批判の対象になりがちだ。今の時代、インターネットで調べれば、ある程度の情報が気軽に手に入るから、事実に忠実でないシーンがあればすぐにでも手厳しい意見が飛び交う。この「時代考証」の現状を、今回の『真田丸』のチーフプロデューサー、屋敷陽太郎氏がかつてオリコンのインタビューでこのように答えている。「視聴者の方からよく“最近の大河は史実と違いすぎる”というご指摘を受けることがあります。でも、これは個人的な感覚ですけれど、昔よりも遥かに時代考証のチェックは厳しくなっていると思います。それに“史実”と思われていることも実は伝承であって、学問的には違っていたりすることも多々あるんですよね」。実際に大河ドラマには「時代考証会議」というものがあり、そこで検証が行われているということだ。

 むしろ、問題はリアリティと創作のバランスにあるのかもしれない。「もちろん物語ですから、わかっていながら創作している部分もあります。そのバランスをうまくとっていくためにも、現地に行って実際に確かめること、きちんと取材することはとても大事ですし、そうすることを心掛けています」(屋敷氏)。また、屋敷氏以外も歴史ドラマにおけるリアリティの難しさを語っており、とあるプロデューサーは「ドラマにおけるリアリティというのは非常に難しい問題で、リアリティが強すぎると、見ている人が耐えられなくなって、引いてしまうこともあります。リアリティもありながら、フィクションの部分も楽しみたいという思いがある視聴者の方に対して、どんなさじ加減で作っていくかが難しい」とコメント。正解はあってないということか。試行錯誤が繰り返されている。

 ただ、時代劇自体が衰退する中でも、ジャンルとしての需要はまだあるはずである。アニメでは相変わらず、実写映画化もされた『るろうに剣心』をはじめ、『銀魂』『犬夜叉』など、時代ものが人気だ。戦国時代の芸術文化に焦点を当てた『へうげもの』など注目される作品も増えている。ゲーム発アニメの『戦国無双』『戦国BASARA』などは、よりファンタジー要素が強い。大河ドラマがアニメの世界の時代劇ブームに迎合することはないのかもしれないが、新たな要素で突き抜けたファンタジーにしてしまうぐらいの気概がある作品があってもいいのかもしれない。そういった意味では、『真田丸』はそのきっかけとなる作品に充分なりえるだろう。

(文/長谷川朋子)



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