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路地裏文化が中国や台湾で好評 映画『深夜食堂』

 映画『深夜食堂』が、台湾で異例のヒットを記録している。台北のオープニング週末の累計興収は200万台湾ドルを突破。本年、台湾で公開された日本映画としては、1位のオープニング成績となった。

路地裏でひっそりと営業している居酒屋を舞台にした人情ドラマが描かれる映画『深夜食堂』(C)2015 安倍夜郎・小学館/映画「深夜食堂」製作委員会

路地裏でひっそりと営業している居酒屋を舞台にした人情ドラマが描かれる映画『深夜食堂』(C)2015 安倍夜郎・小学館/映画「深夜食堂」製作委員会

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 深夜だけ営業する居酒屋“めしや”を舞台に、訪れる客の悲喜こもごもを描いた人気漫画『深夜食堂』(小学館)の実写映画版が、アジアへとヒット規模を広げ始めている。

『深夜食堂』は、『ビッグコミックオリジナル』で連載中で、コミックは、シリーズ累計240万部を超えるベストセラーを記録。09年には、小林薫を主演にドラマ化(MBS制作)。11年には第2部を、さらに14年には第3部が放映された。

 今回、製作された映画版は、ドラマと同じ、小林薫主演、松岡錠司監督のコンビで、1月31日に全国公開されると、80館規模の公開ながら、観客動員は20万人を超え、興行収入2.5億円を記録していた。4月30日からは、台湾でも公開され、台北のオープニング週末の累計興行収入は200万台湾ドルを突破(台湾全土では23館で公開され、興収350万台湾ドル)。本年に台湾で公開された日本の映画作品としては、『名探偵コナン 業火の向日葵』、『THE LAST NARUTO THE MOVIE』や、『ソロモンの偽証』といった作品を上回り、1位のオープニング成績となった。

 現地の台湾メディア(新聞、雑誌、TV、ラジオ、WEB)も、およそ100媒体が取り上げており、台湾で公開された日本映画としてはこれまでにない異例の盛り上がりを見せている。

 例えば、台湾の4大新聞の1つ、『中国時報』では、「映画では人の想いが語られている。味だけでなく、生きることの価値を教えてくれた。あなたも深夜食堂にいる気持ちになれる」と伝えており、雑誌『NetMedia』では、「今週公開された映画の中で、一番素晴らしい映画。映画の中の温かい雰囲気は、観終わった後も余韻が心地よく残る」と絶賛している。

 さらに、5月28日には香港で公開され、こちらも好調なスタートで着実に動員を増やしており、香港のオープニングの週末の累計興行収入は145万香港ドルを突破。新作の4日間の累計興行成績は自国のコメディ映画に次いで2位。1位作品の半分以下の17スクリーンの公開にもかかわらず、スクリーンアベレージでは堂々の1位となった。


上映回数も、つめかける観客の要望に応えるべく公開2日後に倍の回数に増えております。2014年〜2015年に公開された日本映画のオープニング4日間の成績は寄生獣の1、2に続いて第3位。30代、40代の観客が多いのも「深夜食堂」ならではの特徴のようです。

 続いて韓国では6月18日に80館規模で公開が予定され、事前キャンペーンに主演の小林薫が渡韓。CGV Wangsimniでの記者会見や舞台挨拶、約50媒体による取材も実施される。

 また6月13日から始まる上海国際映画祭でもパノラマ部門で上映されることが決まり、15日のSFC Shanghai Cinemaでの上映に先立ち、松岡錠司監督の舞台挨拶も予定、アジアでは「深夜食堂」の熱気が上昇中。また今後は、11月にマレーシアで劇場公開されます。そしてアジア以外での地域での反応も期待されています。

■路地裏文化に親近感、タイトルのわかりやすさも奏功

 宣伝プロデュースを担当する東映の担当者は現地の反応について、「きっと『深夜食堂』のような路地裏文化がアジアの人々に共通する価値観として存在しているのではないかと感じています」と分析する。

「今まで韓国、中国、台湾の人たちから感想を聞く機会がたくさんあったのですが、「店の雰囲気が良い」、「料理がおいしそう」、「マスターが魅力的」など、皆それぞれの反応で、日本の観客から聞く感想とほぼ変わらないという印象ですね」(同担当者)

 さらに、『深夜食堂』という作品タイトルの伝わりやすさもあるようだ。

「漢字文化圏の人々には、タイトルの4文字で、説明しなくても一瞬で意味がわかる、この浸透力が大きいと思います」(同担当者)

 現地でのプロモーションとしては、台湾では、居酒屋「和民」とのコラボメニューの展開や、豚汁イベント、パナソニックとのクッキングショーイベント、オンラインショッピングサイト「鮮食家」との「私のオリジナルレシピコンテスト」などを実施。香港では、日本食レストラン「心焼」とのタイアップなど、日本食と絡めた展開を行った。こうした企画を通じて台湾では主人公“マスター”のコスプレイヤーも増えているという。

 現時点で、台湾と香港では公開が始まっており、今後も、マレーシア
(11月公開予定)など、20ヶ国・地域での公開を予定。すでに続編への
期待も高まっており、現地の料理(台湾料理、広東料理、韓国料理など)を登場させてほしいというリクエストも多く聞かれているという。路地裏の人情ドラマ『深夜食堂』が、アジア全域で支持を集める人気シリーズとなる可能性は大いにありそうだ。

(ORIGINAL CONFIDENCE 15年6月15日号掲載)

関連写真

  • 路地裏でひっそりと営業している居酒屋を舞台にした人情ドラマが描かれる映画『深夜食堂』(C)2015 安倍夜郎・小学館/映画「深夜食堂」製作委員会
  • 日本のビジュアルがをそのまま展開された香港版の映画『深夜食堂』ポスター(C)2015 安倍夜郎・小学館/映画「深夜食堂」製作委員会

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