昨年から今年にかけて日本のドラマ・映画界にも波及したゾンビパンデミック。その火付け役ともいえる海外テレビドラマシリーズ『ウォーキング・デッド』(2010年)はシーズンを重ねるごとに人気が高まり、“裏ウォーキング・デッド”と称される新作海外ドラマ『Zネーション』の上陸も控える。エンターテインメントの世界ではひとつのジャンルとして確立され、マニア以外にも広く受け入れられるようになったゾンビもの。人はなぜ魅了されるのか。
◆クラシックモンスターの仲間入りを果たしたゾンビ
米ハリウッドでは『ウォーキング・デッド』の大ヒット以降、ブラッド・ピット主演の映画『ワールド・ウォー Z』(2013年)やアーノルド・シュワルツェネッガー主演の『マギー(原題)』など、続々とゾンビ作品が製作されている。
日本でも、ちょうど1年前の2014年4月期にAKB48主演の『セーラーゾンビ』、同10月期には『玉川区役所 OF THE DEAD』(いずれもテレビ東京系)が放送され、今年はバナナマン・日村勇紀主演の映画『新選組オブ・ザ・デッド』、品川ヒロシ監督の『Zアイランド』が公開。短編『ニート・オブ・ザ・デッド』『遺言』、漫画『アイアムヒーロー』の映画化など、ゾンビ作品が目白押し。
こうした盛り上がりについて、ゾンビ作品に詳しいデザイナー、ライターの高橋ヨシキ氏は「ゾンビそのものがメジャー化したからじゃないかな。映画だけで楽しめていたゾンビがテレビでも連続ドラマとして放送を始めて、より多くの人の目に触れるようになり、ゾンビ自体がクラシックモンスター(フランケンシュタイン、ドラキュラ、狼男など)と同じ扱いになった」と指摘する。
「そもそもゾンビの存在を一般世間に知らしめたのはマイケル・ジャクソンの『スリラー』だと思うけど、そこで広がったのは死んだ人が墓場から蘇るぐらいのイメージ。それから20〜30年経って、ジョージ・A・ロメロ監督が映画『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』(1968年)で提唱したテイストがようやく一般に浸透してきたと思う」(高橋氏)。
一方で、フリージャーナリストのジャンクハンター吉田氏は「90年代半ばにゲームの『バイオハザード』が登場してから、ゾンビというキャラクターの復権が徐々に映画界でも進んで行った」とゲームの功績をあげる。「ゲームの世界でゾンビが盛り上がり、『バイオハザード』は映画化され、アクション映画として成功しました。ポール・W・S・アンダーソン監督が映画化しなかったら、今回のゾンビブームは起きていなかったとも言われています」(吉田氏)。
◆ゲーム世代が作ったゾンビドラマが日本上陸
『バイオハザード』以降、手を変え品を変え、さまざまなゾンビのゲーム、映画、ドラマ等が作られてきた。昨年9月〜12月に全米サイファイ(SyFy)チャンネルで放映された『Zネーション』はシーズン1終了を待たずして続編の製作が確定するほどの人気を獲得したゾンビ作作品。前出の吉田氏は「製作陣がビデオゲーム世代」であることに注目する。
『Zネーション』は、最悪のゾンビ大災害から3年後の世界を舞台に、ニューヨークからカリフォルニアまで、ゾンビウィルスの抗体を唯一持った男を送り届ける壮絶なミッションを託された者たちを描いたサバイバル・パニック・ドラマ。
「ゲームの影響をかなり受けていて、後半にいくと『デッドライジング3』をプレイしている映像が出てきたり、『悪魔のいけにえ2』のビル・モーズリィ演じる将軍や、『トップガン』のケリー・マクギリスが女、子どもだけのユートピアを作っていたり、狂ったサイコパスが多いのはゲーム『デッドライジング』シリーズの影響。ストーリーはわかりやすいドラマなんだけど、そのために数多くの仲間が犠牲になるはゲームの『ラスト・オブ・アス』にそっくりです」。
かつて、ホラーのいちジャンルとして、マニアックな存在だったゾンビ。それが、『バイオハザード』以降、アクションシューティングゲームの中で、相手は“すでに死んで”いて、罪悪感や葛藤を感じることなく撃退でき、ストレスを発散させてくれる存在として“新境地”を開いていった。ゲームでゾンビに慣れ親しんだ世代にとっては、人それぞれが抱える“敵”のメタファーとして汎用性があり、思いのほか感情移入できるてしまうのもゾンビの魅力。続々とゾンビ作品が製作される所以だ。
『Zネーション』のスピード感ある展開と派手なアクションはまさにゲーム感覚。パロディの要素もふんだんにあり、ゾンビ映画ウォッチャーの伊東美和氏も「オーソッドックスな設定+αの世界観と、面白けりゃ何でもあり的なノリ。比較されがちな『ウォーキング・デッド』とは似て非なるもの。“裏ウォーキング・デッド”かも」と絶賛する期待作となっている。日本では7月8日にDVD(ファーストシーズン コンプリート・ボックス)が発売、オンデマンド配信、レンタルも同時に開始される(全13話)。
◆クラシックモンスターの仲間入りを果たしたゾンビ
米ハリウッドでは『ウォーキング・デッド』の大ヒット以降、ブラッド・ピット主演の映画『ワールド・ウォー Z』(2013年)やアーノルド・シュワルツェネッガー主演の『マギー(原題)』など、続々とゾンビ作品が製作されている。
日本でも、ちょうど1年前の2014年4月期にAKB48主演の『セーラーゾンビ』、同10月期には『玉川区役所 OF THE DEAD』(いずれもテレビ東京系)が放送され、今年はバナナマン・日村勇紀主演の映画『新選組オブ・ザ・デッド』、品川ヒロシ監督の『Zアイランド』が公開。短編『ニート・オブ・ザ・デッド』『遺言』、漫画『アイアムヒーロー』の映画化など、ゾンビ作品が目白押し。
こうした盛り上がりについて、ゾンビ作品に詳しいデザイナー、ライターの高橋ヨシキ氏は「ゾンビそのものがメジャー化したからじゃないかな。映画だけで楽しめていたゾンビがテレビでも連続ドラマとして放送を始めて、より多くの人の目に触れるようになり、ゾンビ自体がクラシックモンスター(フランケンシュタイン、ドラキュラ、狼男など)と同じ扱いになった」と指摘する。
「そもそもゾンビの存在を一般世間に知らしめたのはマイケル・ジャクソンの『スリラー』だと思うけど、そこで広がったのは死んだ人が墓場から蘇るぐらいのイメージ。それから20〜30年経って、ジョージ・A・ロメロ監督が映画『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』(1968年)で提唱したテイストがようやく一般に浸透してきたと思う」(高橋氏)。
一方で、フリージャーナリストのジャンクハンター吉田氏は「90年代半ばにゲームの『バイオハザード』が登場してから、ゾンビというキャラクターの復権が徐々に映画界でも進んで行った」とゲームの功績をあげる。「ゲームの世界でゾンビが盛り上がり、『バイオハザード』は映画化され、アクション映画として成功しました。ポール・W・S・アンダーソン監督が映画化しなかったら、今回のゾンビブームは起きていなかったとも言われています」(吉田氏)。
◆ゲーム世代が作ったゾンビドラマが日本上陸
『バイオハザード』以降、手を変え品を変え、さまざまなゾンビのゲーム、映画、ドラマ等が作られてきた。昨年9月〜12月に全米サイファイ(SyFy)チャンネルで放映された『Zネーション』はシーズン1終了を待たずして続編の製作が確定するほどの人気を獲得したゾンビ作作品。前出の吉田氏は「製作陣がビデオゲーム世代」であることに注目する。
『Zネーション』は、最悪のゾンビ大災害から3年後の世界を舞台に、ニューヨークからカリフォルニアまで、ゾンビウィルスの抗体を唯一持った男を送り届ける壮絶なミッションを託された者たちを描いたサバイバル・パニック・ドラマ。
「ゲームの影響をかなり受けていて、後半にいくと『デッドライジング3』をプレイしている映像が出てきたり、『悪魔のいけにえ2』のビル・モーズリィ演じる将軍や、『トップガン』のケリー・マクギリスが女、子どもだけのユートピアを作っていたり、狂ったサイコパスが多いのはゲーム『デッドライジング』シリーズの影響。ストーリーはわかりやすいドラマなんだけど、そのために数多くの仲間が犠牲になるはゲームの『ラスト・オブ・アス』にそっくりです」。
かつて、ホラーのいちジャンルとして、マニアックな存在だったゾンビ。それが、『バイオハザード』以降、アクションシューティングゲームの中で、相手は“すでに死んで”いて、罪悪感や葛藤を感じることなく撃退でき、ストレスを発散させてくれる存在として“新境地”を開いていった。ゲームでゾンビに慣れ親しんだ世代にとっては、人それぞれが抱える“敵”のメタファーとして汎用性があり、思いのほか感情移入できるてしまうのもゾンビの魅力。続々とゾンビ作品が製作される所以だ。
『Zネーション』のスピード感ある展開と派手なアクションはまさにゲーム感覚。パロディの要素もふんだんにあり、ゾンビ映画ウォッチャーの伊東美和氏も「オーソッドックスな設定+αの世界観と、面白けりゃ何でもあり的なノリ。比較されがちな『ウォーキング・デッド』とは似て非なるもの。“裏ウォーキング・デッド”かも」と絶賛する期待作となっている。日本では7月8日にDVD(ファーストシーズン コンプリート・ボックス)が発売、オンデマンド配信、レンタルも同時に開始される(全13話)。
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2015/06/07