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『天使と悪魔』“司法取引”ものに挑戦 クリエイターの気概

 女優の剛力彩芽演じる正直で真面目な警察官・蒔田ヒカリと、俳優の渡部篤郎演じる敏腕弁護士の茶島龍之介が、司法取引を極秘裏に使い迷宮入りしていた事件の解決に尽力していく捜査ドラマ『天使と悪魔−未解決事件匿名交渉課』(毎週金曜 後11:15※一部地域を除く)。連続ドラマのシリーズをとおして日本の法律では認められていない司法取引を扱っているチャレンジングな作品で、メイン監督を務める波多野貴文氏は「司法取引が『水戸黄門』の印籠にならないように、試行錯誤しながら作っています」と語る。

 波多野監督は、映画化もされた『SP 警視庁警備部警護課第四係』(フジテレビ)や昨年話題になった小栗旬主演の『BORDER』など、警察ものを得意とする。渡部とは1月に放送されたドラマ『翳りゆく夏』(WOWOW)に続いてのタッグ。本作では「誰もやっていない司法取引ものにチャレンジできたのは、ありがたかったですね。いち早く勉強できました」と気概をみせる。

 きょう15日放送の第6話は、『イキガミ』『星守る犬』『脳男』などの映画監督であり、ドラマの脚本やプロットプランナーとしての仕事も手がける瀧本智行氏が脚本を担当。「波多野さんがおっしゃったように、司法取引を“お約束”にしたコメディーであれば、気楽に物語が作れるのですが、しっかりと作り込まれた本格ドラマなので、生みの苦しみを味わいました」と裏話を明かす。

 「司法取引が有効な犯罪というのは限られているし、未解決の殺人事件も絡めなければならない。脚本家の力量が試される題材ですね。シリーズの中盤に1本だけ依頼されたので、多くの人は『おや?』と思うかもしれないけれど、一部の人たちすごく刺さるような変化球を求められているのかな?といろいろ考え、難しい作業になりましたが、やりがいはありました」と自信をのぞかせた。

 第6話は、傷害罪で服役中の受刑者が1日でも早く仮出所を実現させようと、別の事件の目撃証言をする司法取引を持ちかけるという、いままでにない形で物語が展開し始める。ストーリーをとおして、他人の罪を語ることによって自分の罪を軽くする“取引”のため、ウソの証言によるえん罪が生まれる危険性にも言及する骨太な1本になった。

 剛力と渡部が演じるキャラクターも立ってきて、二人のコンビもだんだん面白くなってきている。特に渡部は、茶島のキャラクターをどう作っていくか、試行錯誤する中から、「この(チェックの)スーツでいく」と自ら提案するほど役に入れ込んでいる。

 「どんな人間にも必ず裏がある」という揺るがぬ哲学を持ち、他人の裏の一面を見抜く心理分析能力、弁論術と論理的思考能力に優れている反面、身体能力は並以下で、暴力や運動が苦手。金が好きで、庶民の生活水準を嫌がるワガママな一面もある――公式サイトに掲載されていた茶島の基本設定は、渡部の専売特許と言えるほどのハマリ役だ。

 波多野監督も「基本はシリアスですが、どれだけエンターテインメントのエッセンスを入れられるか。そこを茶島が一手に引き受ける流れは正解だと思います。一方で剛力さんが主人公として立っているからこそ、茶島が遊んでも戻ってこられる。いいバランスになってきました」と手応えを語っている。

 オリジナルドラマの脚本の面白さをベースに、役者が役を膨らませて演じることで相乗効果が生まれつつある。今後、劇中のキャラクターが一人歩きしてファンがつけば、シリーズ化も可能なポテンシャルは十分備わっている作品だ。

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