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市川海老蔵、映画界に提言 ビジネスになりすぎ

 現在の歌舞伎界を背負って立つ存在でありながら、映画やドラマなどエンターテインメントシーンでの幅広い活躍もめざましい市川海老蔵。歌舞伎公演の合間を縫うように公開される4作目の映画出演作となる『喰女−クイメ−』では、超多忙ななか、主演だけでなく企画者として製作から公開までを牽引した。

主演作『喰女−クイメ−』が8月23日より公開される市川海老蔵(写真:逢坂 聡)

主演作『喰女−クイメ−』が8月23日より公開される市川海老蔵(写真:逢坂 聡)

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 劇中劇で『四谷怪談』を演じる設定の今作で海老蔵は、これまでの出演映画とは異なり、企画者として名前がクレジットされている。今作での立ち位置をご本人に聞いてみると。

「『東海道四谷怪談』は、七代目團十郎が得意としていた演目。行動力のあった七代目の時代に技術があれば、きっと映画を作っていたと思います。先祖の精神を受け継ぎ、多くの方に『四谷怪談』を知っていただきたいというところから、この企画が始まりました。とはいえ、これまで出演した全ての映画についても、企画の段階から参加しています(笑)。受け身ではなく、きちんと作品に関わりたいと思っているので」

 当然のことかもしれないが、歌舞伎だけではなく、携わるすべての分野の作品において、出演者という枠を超えて全力を傾ける。その人柄からあふれでるパワーに圧倒されながら、ホームグラウンドに留まらない人間的な大きさを感じさせる。そんな海老蔵にとって、映画界とはどんな場所なのだろうか。

「歌舞伎役者として、映画など同時代の文化を反映していくスピリットは必要なもの。だからこそ、僕にとって映画というのはおもしろいんですよ。ただ、ハリウッド映画も含め映画業界全体のなかで日本映画を冷静に見たとき、一体どこに位置しているのだろうか?という疑問は正直あります。あまりビジネスになってしまうと、つまらなくなってしまうんじゃないのかって。まぁ映画のことは、よくわからないですけど(笑)」

 それでは海老蔵にとって、おもしろい映画とはどういうものか、おもしろかった映画はなにか?

「僕にとって良い映画のイメージというのは『いまを生きる』(1989年)や『ショーシャンクの空で』(1994年)とか。人間の大きさや自由を強く感じる映画が好きなんです。最近の作品では『きっと、うまくいく』(2009年)ってインド映画には本当に感動した。ちょっと長いんだけど、本気で作られているから、全然飽きない。『しあわせの隠れ場所』(2009年)も良かったなあ。昔は派手なビジュアルのアクション大作も観ていたけど、最近は地味でも心を揺さぶられる、考え抜かれた映画の方が観たくなりました。歳を取ったんだね(笑)」

 仕事の話のときよりも活き活きしているようにも見えた(?)映画話。いつのまにか熱く話し込む海老蔵のおもしろい作品との出会い方を聞いてみると、芸能人らしからぬ?海老蔵らしい?意外なところだった。

「近所にあるレンタルショップに行っては、そこの店員さんに『君のいちばん好きな作品を教えて』って訊くの。彼らは仕事柄、たくさんの作品を観ているからね。イチオシの映画を教えてもらって、おもしろかったら次に会ったとき『良かったよ!』って感想を言い合ったりして。店員さんも時間帯ごとに大勢いるから、いろいろな作品に出会えて新鮮だよ(笑)。彼らも海老蔵にオススメを訊かれたり、『おもしろかった』って言われたら、ちょっと楽しいんじゃない!?」

 くったくなく笑う海老蔵に、三池崇史監督との今作に続く三度目のタッグとして、日本男児の心を鷲づかみにする『仮名手本忠臣蔵』をリクエストしてみた。

「ハリウッドで『47RONIN』(2013年)をやられちゃった後では、もはや味気ないよ!『忠臣蔵』の忠義の世界を、再び日本が意識し出したころに、映画を作る運気を自分が持っているかどうか?ってところかなあ(笑)。少なくとも今はそういうムードじゃないし、もっと先の話だろうね」

市川海老蔵インタビュー『歌舞伎役者に必要な同時代の文化を反映するスピリット』

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