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美波、名女優目標に「いい意味で土臭い人でいたい」

 「セリフを理解するのが、すごく難しいんです」。そう語るのは、舞台『アルトナの幽閉者』の初日を今月19日に控える女優・美波(27)だ。仏の哲学者、ジャン=ポール・サルトル最後の創作劇において、サルトルが繰り出す“言葉の魔法”にほんろうされているようだ。そんな彼女に、役作りにかける思いを聞いた。

 1959年に発表された本作は、当時のアルジェリア戦争でフランス軍などがアルジェリア人に対して行った残虐行為に、痛烈な批判精神を込めて書かれた作品。舞台を、第二次世界大戦に置き換え、心に深い傷を負い、13年間も自宅に引きこもった主人公フランツを軸に、戦争と責任、“幽閉”された人々の閉塞感と絶望を描いていく。美波は、フランツの義妹にあたる元女優の女性・ヨハンナを演じる。

 プライベートで哲学や心理学の本を読むという美波。「サルトルが戯曲を書くということに興味がありました。その中に没頭できるということで、ぜひにと思いました」とオファー時の心境を振り返る。

 ただ、お芝居において宿命とも言える“生みの苦しみ”に頭を悩ませているという。「ずっと読み進めたくなる本ですが、“言葉が言葉を裏切る”という表現をすごく感じる作品」と、苦笑交じりにその難解な内容を説明する。

 「例えば、セリフが、言う人の感情を表現していないことがあるんです。ある場面で、ある人をこういう風に動かしたいから、こういうセリフを言うみたいなところがあって。違う人のことを話しながら、目の前の人を引き込むとか、理性的に整理しなくちゃいけない部分があります」と、セリフ回しの難しさを要約。「私は、感情がブワッと出るタイプなので、ちゃんと客観視して物事を見ていかないと、飲み込まれてしまう」と、ヨハンナを演じる上でのポイントを明かしてくれた。

 役作りに余念がない美波は、サルトルからの難題にあらゆる角度からアプローチ中だ。「まず、国も違うし、戦争も経験したことがないので、ピンと来ることがなくて難しい。歴史を勉強しつつ、実際にステージに立って、役者さんと動いていくと、さらに新たな発見が生まれてきて、やはり2次元と、4次元では全然違うな、と。どうしてサルトルが、ヨハンナに元女優という肩書を入れたのかなとも考えたり…」。

 不安や葛藤を明かす一方、意気込みを語る際は自然と笑みがこぼれるのが印象的だった美波。「好きなことで一番苦しめたら、うれしいんです。女優として、好きなことがたくさんできたらって思います。続けてきたことは今後も続けて、いろんなところにも目を向けていきたいです」と抱負を語った。

 理想の女優像も明かす。「私、ジュディ・デンチとマギー・スミスのすごいファンなんです。日本だと、麻実れいさんに憧れています」。ジュディ・デンチといえば、映画『あなたを抱きしめる日まで』でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされている大女優。美波は「その作品で、すごく普通のおばあちゃんを演じているけれど、ご本人の人間臭さも役に反映されていて、とても素晴らしいと感じました」と憧憬の眼差しを向ける。

 そんな名女優たちを目標に思い描く美波は「私は、いい意味で土臭い人でいたいと思っています。自分を華やかにしたいと思っていない。演じる役を通して、自分を見てくれたらうれしいなと思っています」。今回の舞台で、美波がどんな立ち居振る舞いを見せてくれるのか、注目したいところだ。

 上村聡史氏が演出、岩切正一郎氏が翻訳を手がける舞台『アルトナの幽閉者』は、東京・新宿の新国立劇場小劇場にて2月19日から3月9日まで上演される。

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