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【後編】“ミタ”を生んだ脚本家・遊川和彦氏が語る「ドラマに不要な“倫理観”」

 今秋の話題作、女優・松嶋菜々子主演の連続ドラマ『家政婦のミタ』(毎週水曜 後10:00〜 日本テレビ系)。同作の生みの親である脚本家・遊川和彦氏がORICON STYLEのインタビューでオリジナル作品にこだわる理由を告白。「“ヒットした原作”を手掛けることは、作り手にとって保険代わり」と安易な実写化に警鐘を鳴らし、ドラマ作りの気概を語る。

■ドラマはお行儀よく作るものでも、倫理観で作るものでもない

 原作モノについての熱弁が始まると、居合わせた大平太プロデューサーから「いつもながらはっきり言いますね」と相槌が入る。遊川氏がドラマを作る時に必要な要素は『何をやりたい?』、『今の時代に何を訴えたい?』、そして『主人公のキャラクターは本当に魅力的なのか?』。この3つを考えに考え抜くことだという。

 「ドラマはあんまりお行儀よく作るものでは決してないし、倫理観で作るものでもありません。倫理よりも性欲で動く方が、よっぽど人間らしいですから(笑)。格好良くて立派なことをいつも言ってる人間や、倫理ばかりを振りかざす。そんなキャラクター達に魅力は感じないし、結局ドラマの都合上で動かしやすい駒でしかない。きっと伝えたい物が無かったり、キャラクターを魅力的に作ろうという意識が低いと、お行儀のいい作品ばかりが蔓延してしまうでしょう」と、ここでも遊川節が炸裂する。

 ドラマの現場で最もアドレナリンが出る時は“トラブル発生時”だという。「トラブルはチャンスだし、そこを乗り切れば答えが見つかります。ただ、どんな時も僕はオロオロしちゃいけない。撮影が続行できないようなトラブルが起こったとしても、先頭に立つのが僕の仕事です。自分を通せば反発も生まれます。だけど、その分ドラマはいい作品になります」と、力強く明言する。

■50歳を過ぎた“頑固ジジイ”の気概

 辣腕をふるう遊川氏だが、決して高慢だったり現場で独裁的な仕事をするわけではなさそうだ。「僕が周りの話を聞かなくなったら、もうダメでしょうね。決して一人で作っているわけじゃないんです」と、周囲のスタッフや演者が居てくれてこそという想いを吐露する。

 「最終責任は僕が持つという覚悟でいつも作ってます。でも、それは50歳を過ぎたジジイがそういう姿勢と気概を持っていないとダメだということです。僕はジジイとして『どうせみんなより先に死ぬんだから、泥被るぐらいいいよ』って思っています……。なんて言いながら死ぬのも責められるのも本当は嫌ですけど」と、豪快に笑いながら「でも、それでも僕の芯にあるものは絶対変えないぞという姿勢をとり続けます」。

 今年を象徴するドラマとなった『家政婦のミタ』を生み出した遊川氏は、松嶋演じる主人公・三田灯よりもパンチの効いた存在感を放つ、ドラマ界きっての異端児といえるのかもしれない。だが、同ドラマのヒットの陰には信念を曲げず、こだわりを譲らない、昨今仕事場ではお目にかかれない“頑固ジジイ”がいるからこそ。笑顔を封印した三田灯と阿須田家の面々が、どのような終息を迎え、再生の道を歩むのか? 遊川氏の想いを汲み取ることで、さらなる展開を注目せずにはいられない。


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