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金子大地、初主演作でゲイ少年役の葛藤とプレッシャー「何が正解か今はまだわからない」

 浅原ナオト原作の小説『彼女が好きなものはホモであって僕ではない』をドラマ化した『腐女子、うっかりゲイに告(コク)る。』(NHK総合)で、ゲイの少年・安藤純役を熱演した金子大地が、『第16回コンフィデスアワード・ドラマ賞』で新人賞を受賞した。初主演となった本作では、自身がゲイであることを、周囲に隠して生活する高校3年生の切実で複雑な心情を見事に演じ、テレビ朝日系ドラマ『おっさんずラブ』の“モンスター社員”マロ役とは違った新たな魅力を世間に見せつけた。

動画インタビューで語るシャイな金子大地

難しい題材なので不安もあった

――『第16回コンフィデスアワード・ドラマ賞』で新人賞を受賞しましたが、まずは率直なお気持ちをお聞かせ下さい。
金子 素晴らしい賞をいただけて嬉しいです。ドラマがスタートするまでは、難しい題材なので不安もありました。放送回を重ねるごとに、当事者であるLGBTの方の感想をSNSなどで見て、少しでも多くの人に僕たちの伝えたいことが届いていると良いなと思いました。

――自身がゲイであることは自覚しつつ、「異性を愛し、子どもを作って、家庭を築く」という“普通の幸せ”への強い憧れも持つ主人公・安藤純。難しい役ですが、出演オファーを受けようと思ったのは?
金子 自分と共通点がない役は、演じるのが難しいと思っています。原作を読むまでは、LGBTについてあまり考えたことがなかったので、撮影前にLGBTの方の講演会に行って、いろんなお話を聞きました。そして、演じるにあたり、安藤純との共通点を探しました。言いたいことをはっきりと言えないところや、人を好きになるという気持ち。そういった共通点を見つけ、安藤純という役との距離を縮めていきました。

――撮影が始まり、金子さんが考えていたように演じられましたか?
金子 例えば、谷原(章介)さんとのキスシーンがありましたが、安藤純という18歳の高校生の役として演じているので、純粋に好きな人とのキスシーンだという気持ちで挑めました。

――この作品に向き合う上での難しさはありますか?
金子 役をどう演じるかよりも、作品を観た方がどのように思うのか、どう届けたらいいのか、ということをスタッフ、キャストの皆で話し合いながら進めていきました。とても一体感のある撮影現場でした。

良い作品が残せて良かった

――内面の葛藤を演じるようなところも多かったと思います。安藤純は、感情を表に出すキャラクターでもないので、難しかったのではないでしょうか?
金子 難しかったです。僕も考え込むタイプで、安藤純だけど金子大地としてその場にいる。それが純とのいい距離感でもありました。

――それは、安藤純と近いものを感じたということなのでしょうか?
金子 自分勝手なのですが、正解はわからないにしろこのドラマの安藤純という人物を、自分ならではの役として、自分寄りに演じようと思いました。

――LGBTを題材にした作品に出演することは、俳優としてキャリアアップにつながる、新しいことへの挑戦だったのでは?
金子 そうですね、僕にとって挑戦でした。視聴者の方に何か届けることができる大きなチャンスだと思い、やり甲斐を感じました。現場にいた皆さんが、おもしろいドラマを作ろうという気持ちがあり、演じていて楽しかったです。

――シリアスでありながら、どんどん引き寄せられるドラマです。ネットなどで視聴者の反応を観ましたか?
金子 はい、たくさんの声をいただきました。僕の地元・北海道の友人からも連絡をもらいました。

――キャラクターへの向き合い方は、間違っていなかったということを確認できましたか?
金子 原作者の浅原ナオトさんに、「感動した」と言っていただけて、すごく嬉しかったです。これで良かったんだという自信にもつながりました。

――この作品で成長したこと、得たことはどんなことでしょうか?
金子 自分で言うことではないかもしれないのですが、とても成長させて頂いたと思います……何から言ったらいいのか……。初主演の現場で監督、スタッフ、共演者、皆で1つのテーマに向き合いがんばれたことは嬉しかったですし、良い作品が残せて良かったと思っています。

――いい作品が作れたということは、主演の金子さんの力も大きかったと思います。
金子 初主演ということもあり、皆さんとコミュニケーションをたくさん取るようにがんばりました。

――座長として現場を引っ張っていくということができましたか?
金子 引っ張っていくことができたかはわからないのですが、連続ドラマに出演するのが初めての共演者が多く、僕も初主演だったので、皆で一緒にがんばろうという気持ちで撮影しました。1人ひとりの意識で作品が変わるということに改めて気づき、皆で力を合わせて作るからこそ、良い作品になることを実感しました。そして、改めてコミュニケーションは大切さも実感しました。

あえて困難な道を進むことは好き

――現場はいかがでしたか?
金子 今まで同年代の俳優さんとお芝居をする経験があまりなかったので、楽しかったです。それと、監督が僕たちの意見を尊重して、わがままを言わせてくださったことが大きかったです。若いなりにキャストそれぞれが演技に対して意見を出して、それを監督が受け入れてくださった。監督が、僕たち出演者に寄り添ってくれたので、みんな納得して撮影を進められました。それが良い作品になったことにつながったと思っています。

――頼る先輩がいない不安はありましたか?
金子 不安はなかったです。とにかく役のことに没頭していました。

――キャストの方との団結感が生まれたのはいつ頃からですか?
金子 撮影が始まって、3日、4日目ぐらいに共演者とご飯を食べに行って、仲良くなりました。撮影現場はすごく楽しかったです。

――芸歴5年目ですが、俳優として第一線で活躍し続けるために、必要なこととは?
金子 俳優として、まだまだなので何が正解か今はまだわからないですが、1つひとつのことをがんばっていくしかないと思っています。

――今後、俳優として挑戦したいことは?
金子 自分が経験したことのない役をやってみたいです。あえて困難な道を進むことは好きなので。でもプライベートでは、茨の道は進みません(笑)。

――来年2月に『ヘンリー八世』で初舞台を経験しますが、いかがですか?
金子 シェイクスピアという難しい題材なので、また新たな挑戦でもあります。初舞台なので恐くもあり、楽しみです。勝負だなと思っています。

――これまでは映像作品が多く、このタイミングで舞台出演を決めたのは?
金子 以前から舞台に興味がありましたが、なかなかその機会がなく、今回お話をいただいて、今だと思いました。演出は、『おっさんずラブ』で共演した吉田鋼太郎さんで、初舞台の扉を開けていただけることを光栄に思っています。主演の阿部寛さんと吉田鋼太郎さん、先輩方の背中を見てしっかりと学んでいきたいと思います。

(写真/Taiki Murayama)

提供元: コンフィデンス

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