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映像作品→ノベライズという潮流から生まれた “職人作家”豊田美加のワザとこだわり

”職人作家”こと豊田美加氏

”職人作家”こと豊田美加氏

 コミックを原作にした映画がヒットとなる風潮が定着して久しいが、一歩進んで、コミック原作の映画を小説化した作品が近年多数出版され、売り上げを伸ばしている。約14万部を売り上げた『小説 カノジョは嘘を愛しすぎてる』をはじめ、『小説 響 HIBIKI』(共に小学館)などを手がけている豊田美加氏は、そんなノベライズ界の第一人者だ。 
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映像が頭に浮かぶような文章で 読者を喜ばせられるよう意識

 豊田氏がノベライズを手掛けるようになったのは、今から約24年前。出向していた少女漫画編集部の編集長に声をかけられ、脚本家の小松江里子氏の大ヒットドラマ『セカンド・チャンス』をノベライズに。小説を書くのは初めてだったが、これが小松氏に気に入られ、以降小松作品を次々と小説化。その評判が広まり、多方面から依頼が来るようになったと言う。
 豊田作品の魅力は、映像が次々頭に浮かび、テンポよく、短時間で読めること。これは豊田氏自身が最も大切にしていることでもある。

「手に取ってくださるのはその映画のファンが一番多いと思うので、監督の世界観、脚本家の世界観、また演じた役者さんや、アニメならキャラクターのイメージを崩さないように、自分自身がその世界観に入り込んで、映像が頭の中にパッと浮かぶような文章で、読者を喜ばせられるよう意識しています。私自身、漫画や映画に力をもらった経験がたくさんあるのですが、落ち込んだ時に映画館で2時間映画を観たら、気分が上向きになるということがありますよね。ノベライズもそれと同じ、即効性のあるサプリメントのようなものだと思うので、2時間でサッと読めて、読者に少しでも元気や勇気、笑いをもたらせたらと思っています」

 執筆にあたっては、原作にないキャラクターやエピソードを肉付けしたり、監督や脚本家によっては「映画とノベライズが同じでは面白くないから結末を変えてほしい」と言われることも。そんな豊田氏は自分のことを“職人”と表現する。

「小説家は自分の文体、世界観を持って表現しますが、ノベライズの場合は、自分の感性はほぼ出さずに、一つ一つ、作品の世界観に合わせて、文体も、言葉も変えます。例えるなら、大工さんのようなもの。監督や脚本家の方が書いた設計図をもとに、洋式の家を建てたり、日本家屋を建てたり、お城を建てたり。ここにはこんな壁紙を使って…というオーダーに合った家を作っていく感じです」

日本語の面白さ・奥深さを 伝えることは私の義務

  • 豊田美加氏

    豊田美加氏

 そんな豊田氏が、もう一つ掲げているこだわりが、「言葉を大切にすること」。

「監督や脚本家の先生をうならせたい部分もあるし、次世代の人たちに日本語の面白さや奥深さを伝えたい気持ちもあるので、読みやすく、わかりやすく書きつつも、所々、その世界観に合った教養になる言葉や四季のある国に生まれた日本人ならではの季語などを入れるようにしています。特に消えて欲しくない美しい大和言葉は1作に1つは入れたいと思っています。若者の活字離れが問題となっていますが、私の作品の中の言葉や文章が心に残って、ちょっとでも勉強になってもらえればいいなと。これは、私達文章を書く人間の義務かなと思っています」

 これまで、世に送り出したノベライズは約80冊。「100冊書けたらその分野でどうにか一人前かなと思っているので、100冊を目指して、今後もリアルな読者の心に寄り添えるような作品を書いていきたい」と目を輝かす。“職人作家”の挑戦はまだまだ続きそうだ。

文/河上いつ子
【最新刊】
『小説 ホットギミック ガールミーツボーイ』
著/豊田美加
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(小学館)

提供元: コンフィデンス

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