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マリノスも参戦!キャプテン・あぐのむ語るプロゲーマーへの偏見「人生をかけてeスポーツに取り組むしかない」

 “eスポーツ元年”と呼ばれた昨年10月、横浜F・マリノスがJリーグクラブとしては初めてeスポーツのプロリーグに参入。その初の所属選手となり、チームのキャプテンを務めているのがあぐのむ選手だ。現在24歳、オンラインカードバトル『Shadowverse』の腕を競い、日夜、鍛錬に励んでいる。eスポーツの認知度は広まりつつも、未だゲームに対するネガティブなイメージが払拭しきれていないのが現状だが、彼の言動や意識から感じられるものは、まさに“プロスポーツ選手”そのもの。プロゲーマー・あぐのむ選手の素顔、プロスポーツクラブが運営するチームの裏側に迫る。

【ゲーム実況付き】横浜F・マリノス所属 あぐのむ選手が語る『Shadowverse』に掛ける想い&覚悟

大学卒業を目前に控え、打ち込めるものは「やはりゲームしかない」

──まずは、あぐのむ選手のゲームに関するキャリアを教えてください。
あぐのむ選手 昔からカードバトルゲームが好きで、小学生の頃からゲームショップが主催する大会には出場していました。『Shadowverse』もリリース3日後くらいにはインストールしましたね。単純な勝敗よりも、ゲーム全体を俯瞰して、いかに勝ち筋につながるデッキを構築し続けるかという競技としての面白さにハマって、プレイを始めてから1ヶ月後には大会にも出るようになりました。
──現在は横浜F・マリノスとプロ契約をされていますが、アマチュア時代にはどのような活動をされていたんですか?
あぐのむ選手 アマチュアの大会に出たり、そこで成績を残せたりするようになってからはゲーム解説や動画配信などもするようになりました。そういった活動で多少の収入はありましたが、それだけで生活するのは厳しいかなという程度でしたね。大学生だったのでそれでも良かったんですが、卒業を控えて自分が打ち込めるものってなんだろう?と考えた時、「やはりゲームしかない」という結論に至りました。ちょうどeスポーツのプロチームが次々と立ち上がったという、僕にとっては幸運なタイミングでもありました。

──数あるプロチームの中でも、マリノスとプロ契約をした理由は?
あぐのむ選手 実はShadowverseのプロリーグ1stシーズンでも4つのチームのプロ募集があったのですが、すべて落選してしまったんです。その後、2ndシーズンで行われた2つのチームの募集に再チャレンジし、マリノスに選んでいただいたというのが本当のところです。

──アマチュア時代にかなりの戦績を残してきたあぐのむ選手でも、やはりプロの世界は厳しいんですね。
あぐのむ選手 そうですね。ただ結果的には、長年プロスポーツクラブを運営してきたマリノスに選んでいただけて良かったなと思っています。フィジカルやメンタルのサポートはもちろん、競技者への理解も深い会社なので、集中して競技に取り組めています。ちなみに報酬は月給制なので、生活も安定しています。

プロ選手になり、勝敗へのこだわりに加えて「プロセス」を重視するように

──プロ契約から半年ほど経ちましたが、アマチュア時代とプレイの上で変わったことはありますか?
あぐのむ選手 アマチュア時代も競技としては取り組んでいましたが、今は試合以外のプレイでも“なんとなく”ということがなくなりましたね。1つひとつのプレイや選択肢がきちんと理由が付けられるものであるように、意識するようになりました。もちろん勝敗にこだわることも大事ですが、よりプロセスを重視するようになりましたね。プロとして恥ずかしくないプレイと言いますか。
──プロは強ければ良いというわけではない、ということですか?
あぐのむ選手 もちろん強さもプロには求められます。プロとして初出場した『RAGE Shadowverse Pro League 2nd』では、正直全く個人では活躍できず、『それでもプロか』といった批判の声も多くいただきました。プロとしてはそうした声も受け入れないといけないのですが、メンタル的に押し潰されそうになった時期もありました。

──まさにプロの世界に足を踏み入れたというか。そういったプロの洗礼をどのように乗り越えていったのでしょうか。
あぐのむ選手 チームメイトや運営スタッフの支えはもちろん、批判の一方で多くいただいた応援の声も励みでした。また、今では批判もポジティブに捉えています。声が多く上がるというのは、それだけ注目されている証拠なんだと。

プロとアマチュアの一番の違いは、“応援される存在”でなければいけないということ

──では、強さ以外のプロの条件とはなんだと思いますか?
あぐのむ選手 プロとアマチュアの一番の違いは、“応援される存在”でなければいけないということだと思っています。僕自身、アマチュア時代にいろんなeスポーツ選手の記事や発言などを読みましたが、応援したくなる選手は強いだけでなく、発言や行動に何か惹かれるものがあるんですよね。それは、ほかのスポーツでも同じかなと思うのですが……。
──日本では他のスポーツと比べ、まだまだ一般的にはeスポーツへの理解が深まっていません。eスポーツシーンを盛り上げるためには、どんな取り組みが必要だと思いますか?
あぐのむ選手 どれだけ言葉を尽くしても理解してもらうのは難しくて、僕たちプロ選手としてはどれだけ真剣に人生をかけてeスポーツに取り組んでいるかという姿勢を見せていくことしかできないのかなと思っています。じゃあ、試合に来ない、配信も見ないという方たちにどう見せるんだ?という話になりますが、そこは本当にメディアの力をお借りするしかないのかなと。eスポーツが注目されている今は、チャンスでもピンチでもあって、取り上げていただけるメディアもこれからさらに増えると思うし、そこで僕らプロ選手がどう振る舞うかによって、eスポーツの見られ方も変わってくると思っています。ですから、選手の個性はいろいろで良いけれど、少なくともeスポーツの品格を貶める行為だけは絶対にしてはいけないと身を引き締めています。

文/児玉澄子
【プロフィール】
あぐのむ選手(1994年11月25日生まれ)
プロeスポーツリーグ『RAGE Shadowverse Pro League 2nd』を戦う、横浜F・マリノス所属のプロゲーマー。シャドウバースネームは、「あぐのむ/AGUNOMU」。チームキャプテンを務める。◆主な経歴…RAGE vol.5ファイナリスト、RAGE BoS OOTプレーオフ進出、JCG 6th season優勝など

提供元: コンフィデンス

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