「若い世代と演歌・歌謡界を繋ぐ架け橋に」“新星”中澤卓也に高まる期待

 昨年1月に「青いダイヤモンド」でデビューした中澤卓也。ミラクルボイスと称される温かみと艶のある歌声、端正なルックスで人気急上昇中。演歌・歌謡界の期待の新人として注目を集めている。デビュー前の高校時代は主にポップス系を歌っていたという彼に、どのようにして演歌と出合い、惹かれていったのかを語ってもらった。

高校生まで演歌・歌謡曲はほとんど聴いたことがなかった

──2ndシングル「彼岸花の咲く頃」が、オリコンの「演歌・歌謡ランキング」で初登場1位を獲得しました。デビューから1年と少し、この反響の大きさをどう感じていますか?
中澤 まずは、こんなに早く1位をいただけたことに驚いたのとともに、スタッフやファンの皆さんに感謝の思いでいっぱいになりました。昨年のデビュー以来、全国いろいろな場所で歌わせていただいてきたなかで、歌い手というのは1人では全く成立しない職業なんだということを実感したんですね。ステージを用意してくださる方や、まだ名前のない僕を宣伝してくださる方、そしてもちろん、わざわざ足を運んでくださる方々……。

──デビュー曲の「青いダイヤモンド」の歌詞にあるように、多くの人との出会いや繋がりを感じた1年だったんですね。
中澤 まさにその通りなんです。2度目3度目に訪れる場所となると、前に来てくれた方がお友だちや家族を誘ってくれたりと、集まってくださる人も確実に増えているんですよ。そういう多くの方々の支えがあって、歌わせていただけている以上はそれに恥じない歌を歌わなければいけないと強く感じた1年目でした。
  • 中澤卓也「彼岸花の咲く頃」

    中澤卓也「彼岸花の咲く頃」

──軽やかな曲調の「青いダイヤモンド」とは打って変わって、「彼岸花〜」はしっとり聴かせるバラード調の曲。カラオケで歌う際のポイントを教えていただけますか?
中澤 この曲は言葉が本当に美しくて。だから言葉の粒を1つひとつ置くように、少し遅れ気味に歌っていただくと歌詞が映えるんじゃないかなと。また、昔好きだった人との思い出を懐かしく振り返るという物語性のある歌詞なので、言葉をくっきり歌うとストーリーもより際立ってくるんじゃないかなと思います。

──22歳の中澤さんが“昔を振り返る”というのも、まだお若いような気も……?
中澤 たしかに、この曲のような深い別れは経験したことがないですけど、だからこそ長く歌い続けられる曲でもあるのかなとも思います。年齢を重ねるとともにまた新しい解釈も発見できるだろうし、歌手としての僕自身と共に成長していける楽曲にしたいですね。

──そもそも、デビューのきっかけとなった『NHKのど自慢』では、森山直太朗の「さくら(独唱)」を歌ったとのこと。演歌・歌謡曲ではなかったんですね。
中澤 はい。僕の通っていた高校は芸能・スポーツ系の才能を伸ばすユニークな学校で、僕はボーカル科を専攻しつつ、地元のショッピングモールでギターの弾き語りをしていました。その時に歌っていたのも自作曲やポップス系。演歌・歌謡曲はほとんど聴いたことがなかったんです。興味がなかったというよりは、単純に周りに流れてなかったんですよ。ただ、“歌い回しが独特”というなんとなくのイメージはあって、だから『NHKのど自慢』をきっかけに日本クラウンの方にスカウトされた時も、自分に歌えるんだろうか?という不安がありました。

昨年、ひと足早く兄が『NHK紅白歌合戦』に出場した!?

──では、実際に歌ってみていかがでしたか?
中澤 歌うよりまずは聴いてみようと思い、演歌・歌謡曲の名曲集みたいなものを通販で買ったんです。そうしたら、聴きながらすごくホッと心が和んでいる自分がいたんですね。日本茶を飲んだ時のような気持ちとでもいうような。その時、僕は19歳だったんですけど、同じような感覚を持つ若い人はきっと日本全国にたくさんいるんじゃないかなと思ったんです。ただ、かつての僕のように、きっかけがないとなかなか聴くチャンスのないジャンルでもあって、それってすごくもったいないなと。だったら僕が若い世代とこのジャンルを繋ぐ架け橋になろうと思ったんです。

──演歌・歌謡曲にもいろんなタイプの楽曲がありますが、名曲集の中で特に惹かれたのはどの曲ですか?
中澤 最初に良いなと思ったのは、佳山明生さんの「氷雨」と村下孝蔵さんの「初恋」。若い世代でもバラードが好きな人には、スッと入ってくるようなタイプの曲だと思います。一方で三橋美智也さんや春日八郎さんの楽曲はとにかく刺激的でしたね。こんな凄みのある歌い方ができるんだと、当時の自分にとってはすごく斬新で。聴いたことのない人には「スゲー!!」という驚きがあるだろうし、そういう取っかかりからこのジャンルに興味を持ってもらうのも良いと思うんですよ。自分もまだそこまでの凄みは出せないですけど、身につけられるよう勉強を続けたいですね。

──中澤さんにとって演歌・歌謡曲というジャンルの魅力はどこにありますか?
中澤 たぶん「氷雨」や「初恋」なんかもそうだと思うんですが、時間を経て演歌・歌謡曲というジャンルに収まった楽曲もあると思うんです。ということは、今のポップスの中にも10年、20年後に演歌・歌謡曲として捉えられる曲もあるんじゃないかなと。時代とともに解釈がシフトすることで、いつまでも歌い継がれるのが演歌・歌謡曲というジャンルの素晴らしいところだと思いますね。

──9月26日には昨年に続き、マイナビBLITZ赤坂で昼夜2回の単独コンサートを開催されますね。この先、歌手としてはやはり“紅白出場”は目標にされていると思いますが、昨年お兄さまに先を越されてしまったとか?
中澤 そうなんです。本当に空気の読めない兄でして(笑)。兄は仕事の傍らでストリートけん玉チームを主宰していて、昨年の紅白に三山ひろしさんのバックでけん玉をするという形で“出場”しているんです。そういう意味では、兄に追いつき追い越せじゃないですけど、もちろん紅白出場は大きな目標です。ただ、歌手としての一番の目標は、さっきも言ったようにジャンルや世代の架け橋になること。歌が好きという気持ち1つで、世代を超えた多くの人たちが同じ屋根の下に集うような、そんなコンサートができる歌手になりたいですね。

文/児玉澄子

提供元: コンフィデンス

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