ピュアスポーツ・スクーター
マットブラックでキメた、イタリア生まれのスクーター「べスパ・スプリント150 Notte(ノッテ)」。単なる小排気量のコミューターと思って乗ったならば、その切れ味鋭い走りに驚かされることだろう。
キモは骨格にあり
下は50ccから上は300ccまで、現在7車種を日本で展開するイタリアのスクーターブランドがベスパだ。中でもこの「スプリント150」は高いスポーツ性を発揮するモデルであり、コーナーを目の前にした時の動きはヒラヒラ、スパッと俊敏そのもの。イタリアンバイクの魅力とコーナリングの醍醐味(だいごみ)はほぼイコールのようなものだが、それはスクーターでも変わらないのである。
今回、試乗したモデルの正式名称はスプリント150ノッテという。「ノッテ」はイタリア語で「夜」を意味し、それにたがわずボディー、ホイール、マフラー、ミラーといったエクステリアの大部分がマットブラックに塗装された特別仕様車だ。が、それは本稿の主題ではない。外装色が黒であれ、赤であれ、その下地の車体にこそ語るべき点があったからだ。
スプリント150に限らず、ベスパが手がけるモデルはその量産第1号車から現行車に至るまで、例外なくスチールモノコックの車体が与えられている。モノコックのカタチがそのまま外装のデザインであり、そこにエンジンとサスペンション、タイヤを装着。応力の大半をモノコックで、つまり外装全体で吸収しているのがベスパである。
これは四輪の感覚からすれば取り立てて珍しい構造ではない。というより、むしろ一般的だ。逆に一般的なスクーターやバイクがどうなっているのかといえば、スチール、もしくはアルミによって成型されたフレームが背骨のように基本骨格を成し、そこにエンジンやサスペンションを締結。外装(ボディー)はそれらを包む薄皮であり、基本的に応力を受けることはない。その代わりにデザインや空力パーツの役割に徹しているのが普通である。
例えば、スクーターのフットボード。通常は足を乗せられる強度があればよく、樹脂で作られているものだが、ベスパはそれ自体が骨格の役割を果たしているため、足を置いただけでも頑強なことがわかる。走りだすとそれが一層強調され、余白やタメのようなものを一切感じさせず、乗り手の入力に対して間髪入れずに反応。車高が高いことも手伝って、冒頭に記したようにヒラヒラと動き、いざ車体をリーンさせようとするとスパッと倒れ込んでいく。...