2万人をみてきた組織開発コンサルタント・勅使川原真衣氏の著書『組織の違和感 結局、リーダーは何を変えればいいのか?』が刊行。坂井風太氏も「革新性がある」と絶賛した同書の内容を、抜粋・再構成して特別公開する。
「心理的安全性」の落とし穴
「心理的安全性」という言葉は、すっかり定着した組織論用語です。
しかし、心理的安全性を高めようとして、自分と感覚が似ている人を集めようとするのは考えもの。
たとえば、目に見えてバイタリティがある人は「仕事ができる」と評価されがちですが、そんな人ばかりのチームだったらどうなるでしょう。
悲しいことに、みんなで協力し合おうという気がないので、まとまりません。
走りながら考えるので、細かなミスや事故を防げないことも。
相手の感情に寄り添うことが苦手なので、クレームをつけてきたお客さんとケンカになったり……。
現実には、縁の下の力持ちとしてルーティンワークをやってくれる人、注意深く状況を分析して、いざというときにブレーキを踏んでくれる人、トラブルが起きたときに、相手に頭を下げてくれる人。
さまざまな人がいるからこそ、組織は円滑に回っていくのです。
職場は「ドレッシング状態」にならなくていい
さらに、心理的安全性とは「仲よしごっこ」ではありません。
多くの人が、良い組織とは「よく混ざり合ったドレッシング」のような状態だと思っているのではないかと感じます。
お互いに心から理解し合っていて、いろんな人が混ざり合い、個人がわからなくなるくらいひとつの「味」としてまとまる。
ですが、混ざり合わなくたって、別に両方いたらよくない? という考えもないでしょうか。
なぜなら、「水と油」というのはそれぞれ大事な「機能」「役割」だから。
それを無理に「混ざり合え!」と言うかのように安易な折衷案を示すことも残念ながらしばしば。
それよりも、それぞれの持ち場でその役割を全うしていたらそれでいいのではないでしょうか。
配属時にリーダーが気をつけたいこと
だから、配置についても、相性面を甘く見ないほうがミスマッチは少ないです。凸凹を組み合わせるように、互いの持ち味を組み合わせる。
面接時などの採用プロセスからだけでも、言動パターンはある程度わかります。
言動パターンが異なるということは、最初からお互いがお互いを理解しにくいという、水と油の状態です。補完関係があることに間違いはないのですが、最初はお互いのことを敵対視することも。
もしそういう配属を考えるならば、人事が責任を持って、上司になる人へ伝えておかなければなりません。上司もそれをわかった上で、メンバーと接するのです。
「後はよしなに」とばかりに配属して、与えられた場でうまくやるのが社会人だ、みたいな慣習は無理があります。
自分ができないことができるのは、ありがたい相手。「自分と似てないから、うまくいかない」と決めつけず、どう組み合わせるかということこそ、リーダーは考えるべきでしょう。