2万人をみてきた組織開発コンサルタント・勅使川原真衣氏の著書『組織の違和感 結局、リーダーは何を変えればいいのか?』がついに刊行。坂井風太氏も「革新性がある」と絶賛した同書の刊行に寄せて、ライターの小川晶子さんに寄稿いただいた。(ダイヤモンド社書籍編集局)
やる気スイッチが消えた
「Tさんは、やる気があって主体的に動いてくれます。優秀な人です」
そう言って、あるプロジェクトにTさんを推薦したことがある。
別のプロジェクトで一緒に仕事をしていたとき、Tさんの働きぶりに感激した。スキルも高く、細やかな気配りができるうえ、自らどんどん動いてくれたからだ。
ところが、推薦後のプロジェクトでTさんは目立った活躍をしなかった。
指示通りにはこなすが、積極性はかげをひそめた。報酬は良かったはずなので、原因はそこではないと思う。
私が「プロジェクト、どう?」と聞くと、「大丈夫です」。
まぁ、とくに問題はなさそうなのだが、思っていたのと違う。
「Tさんのやる気スイッチ、どこにいっちゃったんだろう?」
やる気あふれるTさんを知っている私は、当初、不思議に思った。
やる気が出ないのは環境のせいかもしれない
しかしよく考えてみれば、人間の特性として「やる気のある・なし」があるわけではない。自分だってやる気のあるときと、全然ないときがある。
組織開発コンサルタントの勅使川原真衣氏による書籍『組織の違和感』(ダイヤモンド社)には、こんな記述があった。
私が推薦したそのプロジェクトの環境が、Tさんの大事にしているものと合わなかったということだろう。
それがわからなかったのだから、私の観察力がポンコツだったのだ。
これが一つの職場で起きたことであれば、「ずっと成果を上げていたTさんは、最近やる気がないようだ。不調なら、少し休んだほうがいいかもしれない」などという話になりかねない。
やる気が出なくなったのは本人の問題ではなく、環境に問題があるかもしれないのに。
やる気の出る言葉は人によって違う
本書では、「やる気」の出る言葉が人によって異なるとして、具体例を挙げて解説している。
ここでは一つだけ紹介しよう。
自分がやる気の出る言葉は、みんな同じようにやる気が出るわけではなく、人それぞれなのだということにあらためて気づく。
ちなみに私はこのケースでは「声かけ不要」のDを選ぶが、TさんはBを選ぶだろうなと思う。
それぞれの人の能力を最大限に活かすためには、こうした声かけを含め、やる気の出る環境を整えることが重要だ。
「やる気がない」と思ったとき、それは本当に本人の問題なのだろうか。環境を見直してみる価値はありそうだ。
(本稿は、『組織の違和感 結局、リーダーは何を変えればいいのか?』の発売を記念したオリジナル記事です)