究極の内燃機関
フェラーリのフラッグシップモデルが刷新。フロントに伝統のV12ユニットを積むニューマシンは、ずばり「12チリンドリ」、つまり12気筒を名乗る。最高出力830PSを生み出すその能力(のごく一部)を日本の公道で味わってみた。
新たな規制との格闘
2001年に発表されたフェラーリのスペチアーレ「エンツォ」とともに開発された12気筒ユニットであるティーポF140系はその時々の最新技術を織り込みつつ、排気量を6リッターから6.5リッターにまで拡張しながら21世紀のフェラーリにおけるフラッグシップエンジンとして君臨し続けてきた。エンツォのF140Bを皮切りにその型式名称は13タイプにも及び、「デイトナSP3」も「プロサングエ」もカバーする多様なキャラクターを備えてもいる。
そして14番目のF140系搭載モデルとなるのが、その名も「12気筒」のイタリア語、12チリンドリだ。型式名称F140HDは「812コンペティツィオーネ」やデイトナSP3の流派であることを示唆している。いわゆるスペチアーレ系からストラダーレ系へと技術をスライドさせながらさらなる高みを次のスペチアーレで目指すというのは、フェラーリのパワートレイン開発におけるサイクルだ。
12チリンドリに搭載されるF140HDの最高出力は830PS。それを9250rpmで発生する。レブリミットは9500rpmの設定だ。そして最大トルクは678N・mを7250rpmで……と、これを812コンペティツィオーネのF140HBと比較すると、最大トルクのみが14N・mほど痩せている。これは欧州ユーロ6eや中国6Bなど、各国の厳しい排ガス規制に対応すべくGPFやセラミック触媒コンバーターなどの装着を迫られたことで吸排気系の負荷が高まったからだ。そこをさらなる高回転・高出力化で補うべく、コンロッドやクランク等のムービングパーツには軽量化や形状変更を施し、摺動部にはコーティングを加えるなど、スペックを高めるのが難しい自然吸気ユニットを極限まで絞り切るハードウエアのチューニングを実施している。...