いい人なんだけど
マイナーチェンジした「トヨタ・アクア」はフロントデザインがガラリと変わり、“小さなプリウス風”に生まれ変わった。機能や装備面も強化され、まさにトヨタらしいかゆいところに手が届く進化を遂げている。最上級グレード「Z」の仕上がりをリポートする。
コンパクトカーの壁はあるか
一時話題になった「ラーメン1000円の壁」も最近は耳にしなくなった。物みな値上がりする世の中であってもラーメン一杯に1000円以上払うのはどうも納得できない、いやラーメンだけに安さを求めるほうがおかしい、という意見の違いが議論の元だったはずだが、いっぽうでそもそもラーメンが庶民の手軽な食べ物であるという認識は昭和世代にしか通用せず、安い時代を知らない世代に共感を求めてもしょうがない、との意見もあった。昭和ど真ん中世代の私にとってはやはり二度見するような値段だが、いつの間にか1000円を境にとやかく言う声も(少なくとも大都市では)聞こえなくなったように思う。もはや当たり前になりつつあるからだろう。
こんなことを思い出したのも、新型アクアの仕様表を眺めてウームとうなったからである。最上級グレードであるZ(FWD)の本体価格は282万4800円。カラーヘッドアップディスプレイ(パーキングサポートブレーキ、アドバンストパークとセットで8万1400円)や合成皮革+コンフォートパッケージ(6万2700円)など合計24万0350円のオプション代を含めると306万5150円と記されていた。マイナーチェンジ直前のモデルと比べると約25万円の上昇と聞くが、2021年夏に発売された現行型(2代目)の発売当初は同じZのFWDで240万円だったから、物価上昇と装備の充実ぶりを考えれば相応だと頭では理解しても、気持ちは正直ちょっと抵抗感がある。とはいえフル装備を求めればコンパクトカーでも300万円が当たり前の時代になったと飲み込むしかない。
そういえば、先日発売された「三菱デリカミニ」の新型でも4WDの最上級グレードになるとほとんど300万円という。それでも初期受注1万台のうちの4割がその300万円近い仕様なのだという(最初からフル装備にして残価設定ローンで買う人が多いと聞いた)。軽自動車でも200万円以上が当たり前になった、なんて言っていたのはつい最近のような気がするが、これからは頭を切り替える必要があるのだろう。...