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なぜ「出島」や「リーンスタートアップ」からはイノベーションが生まれないのか?


「構想力・イノベーション講座」(運営Aoba-BBT)の人気講師でシンガポールを拠点に活躍する戦略コンサルタント坂田幸樹氏の最新刊『戦略のデザイン ゼロから「勝ち筋」を導き出す10の問い』(ダイヤモンド社)は、新規事業の立案や自社の課題解決に役立つ戦略の立て方をわかりやすく解説する入門書。企業とユーザーが共同で価値を生み出していく「場づくり」が重視される現在、どうすれば価値ある戦略をつくることができるのか? 本連載では、同書の内容をベースに坂田氏の書き下ろしの記事をお届けする。

なぜ、出島やリーンスタートアップは、
日本企業では機能しないのか?

「本体から切り離して、出島(新規事業などを試す拠点)を作ればイノベーションが生まれる」
「リーンスタートアップ(素早く事業を改善・成長させる手法)を導入すれば、新しいビジネスで成功できる」

そう信じて多くの日本企業が挑んできましたが、その多くは静かに消えていきました。

いったいなぜだったのでしょうか?

「本体に戻した瞬間に機能しなくなる」
「成果が出ても、本社からの予算が打ち切られる」

そんな“出島あるある”が象徴するように、村社会的な特徴をもつ日本の組織では、こうした取り組みが根付きにくく、成果にもつながりにくいのです。

「異分子」はたいてい、本体の機能や資源と接続されないまま孤立し、いつの間にか消えていく。それが、日本企業における出島やリーンスタートアップの典型的な結末です。

日本企業に合うイノベーションの形は、
“壊す”より“つなぐ”

こうした現実を前にして、「日本の組織は非効率だ」「欧米式マネジメントを導入すべきだ」と短絡的に結論づけてしまうのは早計です。

つながりが価値を生む「場づくり」の時代においては、既存の資源や関係性を組み合わせて新たな意味や機能を生み出す、「創造的統合」という発想が求められます。

創造的統合とは、異なる領域・立場・目的などを持つ要素をつなぎ合わせ、関係そのものを再構築し、新しい可能性を生み出すプロセスのことです。

そしてこの創造的統合を支えるのは、むしろ日本的な密な関係性です。一見、閉鎖的にも見える村社会的な構造こそ、共通の文脈や信頼を基盤とした連携を可能にします。

つまり、日本企業がもつ関係性の深さこそが、次のイノベーションの源泉になり得るのです。

小さな成功を束ねて、組織全体を変える

では、実際にどうすれば「つながり」を生み出せるのでしょうか?

その鍵は、いきなり組織全体を変えようとするのではなく、まずは局所的な課題に焦点を当て、小さな成功を積み重ねることにあります。

たとえば、ある企業では商品開発部と営業部の間で、深い対立がありました。開発部は「良いものをつくっても、営業に売る力がない」と言い、営業部は「開発が大した製品をつくらないから、なかなか売れない」と反発していました。

両者の論理はかみ合わず、議論は常に平行線です。

そんな中、競合他社の新商品が市場で大きな成功を収め、自社のシェアが一気に奪われる出来事が起きました。危機感を共有した両部門は、初めて同じテーブルにつき、「自社の価値は何か」「どの顧客に、どんな体験を届けたいのか」を率直に議論する場を設けました。

その対話の中から、これまでの「つくる側」「売る側」という境界を越えた新しい視点が生まれ、両部門が協働して開発した新商品は、やがて市場で高い評価を得ることになります。

創造的統合とは、制度や役割を一気に変えることではなく、こうした小さな実践と再編集の積み重ねを通じて、組織や場のあり方そのものが更新されていく取り組みです。

「創造的統合」の考え方は、『戦略のデザイン』でも詳しく解説しています。現場の小さな試行から、組織全体を動かす戦略へと、どう形にしていくか。その実践のヒントを知りたい方は、参考にしてみてください。

提供元:ダイヤモンド・オンライン

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