普通だけど普通じゃない
「ルノー・カングー」「フォルクスワーゲン・ティグアン」「ジープ・アベンジャー」をまとめてドライブ。何の脈絡もないようだが、みな欧州仕込みのごく普通のクルマである。それぞれの乗り味や個性、使い勝手などをリポートする。
計算が合わない ルノー・カングー リミテ
高速道路のジョイントを越えた後の収束がこれまでとは違う。聞こえる音がタタンッではなくタタンと一拍早く終わっている。これはただのカングーではなく、日本全国で50台しか販売されなかったカングー リミテなのだ。
カングー リミテは「こだわりの旅やアウトドアへ出かける大人のロングツーリングをより快適にする限定車」とされている。パワーユニットは1.3リッター4気筒ガソリンターボエンジンで、131PSの最高出力と240N・mの最大トルクを発生。このあたりはベースモデルの「クレアティフ」グレードと変わらない。
ボディーが引き締まって感じたのは、「パフォーマンスダンパー」が装着されているためだろう。もともとはヤマハの製品だが、これを欧州車のチューニングで知られるCOXがカングー専用に最適化。走行中の微小なボディーの変形や振動をダンパーで抑制する。新型カングーは決してボディーが緩いクルマではないが、いかんせん開口部が大きいゆえに効果は如実に感じられる。単体で購入すると11万円もするこのボディーダンパーを、カングー リミテは標準で装備している。
リミテの価値はそれだけではない。足元で鈍い光を放つのはOZ製の16インチアロイホイールだ。17万6000円相当のこのホイールもまた、リミテは標準で装備する。マットブラックは専用塗装だという。まだある。クロスバー一体型のルーフバーも標準装備だ。これがなかなか便利な逸品で、ルーフバーの横棒を、使わないときはルーフレールと重ねてしまっておけるようになっている。横棒が出しっぱなしだと走行中に風切り音が気になるものだが、その心配がない。これが7万2490円相当。前後の黒いルノーエンブレムも特別感を演出する大事なポイントだ。これが1万6500円相当。
もうひとつ。カングー リミテには「ジョンアグリュム(黄)」と「ブランミネラル(白)」の2色のボディーカラーが設定されており(各25台限定)、これと同系色の折り畳み自転車が付属している。自転車が付属していても持て余すことがない、大きなラゲッジスペースを持つカングーならではの特典といえるだろう。
実は自転車以外の項目はすべてカングーのアクセサリーカタログに掲載されており、価格はそれをもとに算出している。自転車だけは同じ手が使えないのでインターネットで調べたところ、大体5万円〜7万円くらいで販売されているらしい。なので6万円相当としよう。
電卓のご準備はよろしいでしょうか。カングー リミテの価格は395万円で、これには特別に装備(&付属)する総額43万4990円相当のアイテムが含まれている。それに対してアイテムが“付属しない”カングー クレアティフの価格は395万円。リミテとクレアティフの差額が算出できただろうか。計算を間違えたと思った方は何度でもやり直してもらって構わない。
【スペック】 ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4490×1860×1810mm/ホイールベース:2715mm/車重:1580kg/駆動方式:FF/エンジン:1.3リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ(最高出力:131PS/5000rpm、最大トルク:240N・m/1600rpm)/トランスミッション:7段AT/タイヤ:(前)205/60R16 96H XL/(後)205/60R16 96H XL(ハンコック・ヴェンタスevo SUV)/燃費:15.1km/リッター(WLTCモード)/価格:395万円...