正気じゃないけれど……奥深い文豪たちの生き様。42人の文豪が教えてくれる“究極の人間論”。芥川龍之介、夏目漱石、太宰治、川端康成、三島由紀夫、与謝野晶子……誰もが知る文豪だけど、その作品を教科書以外で読んだことがある人は、意外と少ないかもしれない。「あ、夏目漱石ね」なんて、読んだことがあるふりをしながらも、実は読んだことがないし、ざっくりとしたあらすじさえ語れない。そんな人に向けて、文芸評論に人生を捧げてきた「文豪」のスペシャリストが贈る、文学が一気に身近になる書『ビジネスエリートのための 教養としての文豪』(ダイヤモンド社)。【性】【病気】【お金】【酒】【戦争】【死】をテーマに、文豪たちの知られざる“驚きの素顔”がわかる。文豪42人のヘンで、エロくて、ダメだから、奥深い“やたら刺激的な生き様”を一挙公開!
三島由紀夫のおすすめ著作★3選
◯『美しい星』(新潮文庫)
人間と宇宙人が討論するというユニークなSF小説。
物語の中心となる4人家族の大杉家はそれぞれ、人類の未来や地球の運命について悩まされ、やがてそれぞれの信念と現実との折り合いをつける必要に迫られます。
私が中学生のとき、初めて読んだ三島作品ですが、最初は「なんだ、これ?」と違和感を覚えました。ところが気がつくと、夢中になってぐんぐん読み進めていました。
◯『行動学入門』(文春文庫)
三島が自決する直前に出版された、若い人向けのエッセイ集。
「人々は長い一生を費やして一つのことに打ち込んだ人を尊敬するけれども、(中略)一瞬の火花に全人生を燃焼させた人もまた、それよりもさらに的確、簡潔に人生というものの真価を体現して見せたのである」など、三島の人生観・死生観がストレートに綴られたエッセイで、比較的読みやすいので、小説が苦手な人にもおすすめです。
◯『豊饒の海』(新潮文庫)
最後のライフワークであり、全4巻からなる壮大な長編小説。第一部『春の雪』から始まり、第二部『奔馬』、第三部『暁の寺』、そして第四部『天人五衰』で完結する本作。
面白いのは、それぞれの巻をまたぎ、キャラクターたちが「輪廻転生」していく仕かけ。主人公・松枝清顕を中心に、各登場人物が異なる時代に転生し、それぞれの人生を歩む様子が描かれています。
また、清顕の友人であり、物語の観察者とも言える本多繁邦が全巻を通して登場し、転生の謎に迫ります。
三島が自決したのは、文学的集大成である本作の最終回を書き終え、入稿したその日だったと言われています。
話題の引き出し★豆知識
「太宰さんの文学が嫌い」とわざわざ本人に言う
三島は『小説家の休暇』というエッセイで「生活で解決すべきことに芸術を煩わしてはならない」と心身をボロボロにしながら小説を書く太宰を批判しています。
太宰のいる料理屋にわざわざ会いに行き、「僕は太宰さんの文学が嫌いです」と伝えたそうです。
三島の『仮面の告白』と太宰の『人間失格』は文学的共通点も多く、2人はある種、対のような存在。比べられることも多く、太宰のことを強く意識していたのでしょう。
※本稿は、『ビジネスエリートのための 教養としての文豪』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。