惜しみない拍手を
「トヨタGRヤリス」に追加設定されたAT車のデキのよさは広く報じられているが、6段MTモデルだってきちんと“進化型”へと生まれ変わっている。タイムを追うならATかもしれないが、操る楽しさならやっぱりMTだ。「RZ“ハイパフォーマンス”」の仕上がりを報告する。
いかにも高性能車の振動
初夏の早朝、自宅近くの駐車場まで歩くこと数分。あたりはすでに白んでいる。前日止めた進化型GRヤリスに乗り込む。ドライバーを守る壁、みたいなダッシュボードが新しい。愚直な機能主義が用の美を生んでいる。外装についてはキャプションをご参照ください。
シートの位置が25mm下がってもいる。ヘルメットを装着した際の頭上空間を確保するためだ。6点式ベルトで体がシートにくくり付けられても、インフォテインメント用のスクリーンに手が届き、操作できるようになっている。前方視界を広げるべく、ルームミラーをより高い位置に移動してもいる。ラリー、ジムカーナといった競技でパイロン等を見やすくするためだ。
足応えのあるクラッチを踏み込み、ダッシュボードのスタート&オフの丸型スイッチを押す。ぶるんっと、1.6リッターの3気筒エンジンが軽く振動して目を覚ます。足の裏にショックが伝わってくる。いかにも高性能車。3気筒特有の振動もあるかもしれない。
車載コンピューターが「今日はこんにゃくの日です」と教えてくれる。こんにゃくといえば……筆者的には『あしたのジョー』のこんにゃく戦法ですけれど、その話を書いていると話が前に進まない。私は急いでいる。6MTのGRヤリスで、約束の時間までに約束の場所に行かねばならない。...