ゴールドマン・サックスなど外資系金融で実績を上げたのち、東北楽天ゴールデンイーグルス社長として「日本一」と「収益拡大」を達成。現在は、宮城県塩釜市の廻鮮寿司「塩釜港」の社長にして、日本企業成長支援ファンド「PROSPER」の代表として活躍中の立花陽三さん。初の著作である『リーダーは偉くない。』(ダイヤモンド社)では、ビジネス現場での「成功」と「失敗」を赤裸々に明かしつつ、「リーダーシップの秘密」をあますことなく書いていただきました。リーダーだからといって「格好」をつけるのではなく、自分の「欠点」や「弱点」を素直に受け入れて、それをメンバーに助けてもらう。つまり、「リーダーは偉くない」と認識することが、「強いチーム」をつくる出発点だ――。そんな「立花流リーダーシップ」に触れると、きっと勇気が湧いてくるはずです。
「信頼関係」のない組織が弱い理由とは?
強い組織とは何か?
これは、さまざまな観点から語ることができる問題ですが、僕なりに重視しているのは「瞬発力」です。
企業には刻一刻と新しい出来事が起こり、常時、それに適切に対応することが求められるわけですが、そのためには、まずは「何かが起こった時」に、即座に組織が動き出す「瞬発力」が求められると思うからです。
僕のイメージはこうです。
一滴の水が水面に落ちたときに波紋が広がるように、こんな事態が生じたという「情報」が組織全体に瞬時に伝播する。そして、リーダーを中心として、組織全体が「意思」をもつ生命体のように一斉に動き始める。そのような組織が「強い」と思うのです。
では、そのような組織をつくるためにはどうすればよいか?
まず大前提として、組織内に「信頼関係」を醸成しておくことが不可欠だと僕は考えています。
組織の「情報力」を高めるためには、情報システムを刷新すべきだといった議論に傾きがちですが、僕は、それが本質ではないと思うのです。なぜなら、どんなに最先端の情報システムを導入したとしても、僕たち人間は、「信頼できない相手」「信頼できない組織」に情報を伝えることを躊躇するからです。
特に、「ネガティブ情報」の扱いには慎重になります。
たとえば、お客さまや取引先とのトラブルを引き起こしてしまったときなど、誰だってその「ネガティブ情報」を組織に報告することに躊躇するはずです。格好悪いし、責任問題になるし、評価も下げられるだろう……あるいは、報告した上司から傷つくような言葉を投げつけられるのが怖い……そんな思いが交錯して、一瞬躊躇してしまうのは人間心理として当然のことだと思うのです。
しかし、この時点ですでに、情報伝達に遅れが生じているわけで、組織の「瞬発力」を損ねているのです。
だから、組織の「瞬発力」を鍛えたいのであれば、「ネガティブ情報」を報告しても、リーダーから責められることはないどころか、すぐに問題を片付けてくれるという「安心感」や「信頼感」を、メンバーにもってもらう必要があるわけです。
部門間の「壁」が、
「情報」を堰き止める
これは、部門間においても同様です。
部門間の「信頼関係」が希薄であれば、そこに生じる「壁」が、「情報」の流れを堰き止めてしまうでしょう。
もしかすると、他部門からの批判を恐れて、自部門の「ネガティブ情報」を隠そうとするかもしれませんし、複数の部門にまたがるトラブルが発生したときには、責任の押し付け合いが始まり、それぞれがもつ「情報」を共有するのを避けようとするかもしれません。...