エンジンっていいな
2代目に進化したマセラティのラグジュアリー2ドアクーペ「グラントゥーリズモ」が上陸。最高出力550PSを誇る新しい3リッターV6ツインターボ搭載の高性能モデル「トロフェオ」に試乗した。伝統的なイタリアンGTカーの仕上がりやいかに。
これがカッコいいんです!
2022年秋にイタリア本国で発表されたマセラティ・グラントゥーリズモに、いよいよ日本で試乗するタイミングがめぐってきた。2代目に進化した新型グラントゥーリズモのトピックはいくつかあるけれど、100%電気自動車(BEV)の「フォルゴーレ」(イタリア語で稲妻の意)をラインナップすることが一番のニュースだろう。エンジン車とBEVは共通のプラットフォームを用いることとなり、当然ながらこれはゼロから新設計された。
エンジンは、先代のフェラーリが設計した4.7リッターV8自然吸気から、マセラティ自製の「ネットゥーノ」と呼ばれる3リッターV6ツインターボに改められている。このV6ツインターボは、同社の「MC20」や「グレカーレ トロフェオ」に搭載されるものと基本的には共通。ただしMC20用がドライサンプであるのに対してグラントゥーリズモ用とグレカーレ用はウエットサンプで、タービンのサイズや出力特性もそれぞれのキャラクターに合わせて変更されているという。
グラントゥーリズモのエンジン仕様は、最高出力550PSのトロフェオと、最高出力490PSの「モデナ」の2本立て。いずれもエンジンをフロントに搭載する4輪駆動で、今回試乗したのは、高出力版のトロフェオだった。
「Blue Nobile(ブルーノービレ)」というボディーカラーは、光の加減によって濃紺に見えたり、もう少し明るいブルーに見えたり、名前のとおりにノーブルな印象を与える。ボディーカラーに感心するのと同時に、意外に感じたのは、想像より車高が低かったことだ。約1年前に新型グラントゥーリズモのプレスリリースを目にしたとき、床下にバッテリーを配置するBEVと共通のプラットフォームだから少し背が高くなるだろうと、勝手に想像していたのだ。
けれども目の前の実車は地を這(は)うようなスタイルで、従来型に比べて3cm近くも全高は低められている。これはバッテリーを単純に床下に敷き詰めるのではなく、エンジン車のエンジンやトランスミッションなどの形に合わせて、T字型に配置することで実現したという。
BEVをデザインするなら、BEVにしかできない形にすべきだという意見もあるでしょう。いっぽうで、長い時間をかけて磨き上げてきたクルマの造形美を捨て去る必要はない、という考えもある。どちらが正解ということもないけれど、グラントゥーリズモの古典的ともいえる美しさからは、「これがカッコいいんです!」という老舗の強い主張が感じられる。...