カッコよければすべてよし
「Cクラス クーペ」と「Eクラス クーペ」の統合によって生まれたのが「メルセデス・ベンツCLE」だ。間を取るなら“CLD”では? の声があるかもしれないが、それはともかく、日本上陸よりもひと足早くスペイン北部の街で仕上がりを試した。
クーペのある暮らし
その昔、北米を中心に“セクレタリーカー”と呼ばれる2ドアクーペがちょっとしたブームになったことがある。比較的安価な設定のこのモデルは、その呼び名のとおり秘書やアシスタント業務に従事する女性に向けたプロダクトだった。「秘書=女性」という時点で、いまのご時世ならいろいろと物議を醸すだろうけれど、当時はまだそういう商品企画が成立していた。
そんなセクレタリーカーを除けば、基本的に2ドアクーペとはいわゆる高級車のカテゴリーに属するモデルが多く、個人的には最もぜいたくなボディー形状だと考えている。ボディーサイズを問わず1人か2人乗りが前提で、後席へのアプローチはお世辞にもいいとは言えない。加えて、カブリオレやコンバーチブルのようにルーフがガバッと開いて、クーペとオープンの“二刀流”を楽しめるわけでもないし、スポーツカーでもないから圧倒的な速さや俊敏な動きも望めない。自分も若いころは「クーペが欲しいならオープンにすればいいのに」と、あえてクーペを選ぶ方の心情がイマイチ理解できなかった。
実は数年前まで、メルセデスの「124シリーズ」の「300CE-24」を所有していたことがある。自分の愛車遍歴においては、初めてのクーペだった。以前からC124のスタイリングに興味があったのと、何よりクーペのある生活とはどんなものなのかを体験してみたかったのが購入理由のひとつでもあった。3年ほど共に暮らして分かったことは、クーペというジャンルはスタイリングありきということだった。動力性能や機能性が気になるなら、スポーツカーやセダンを選べばいい。スタイリングこそがクーペの命であり、同時に動力性能や機能性よりもスタイリングを重視することが正々堂々と許される唯一の車形であるということもあらためて分かった。...