確たる存在感
「メルセデス・ベンツEクラス」がフルモデルチェンジ。新型はEクラスとしては6代目だが、源流から数えると11代目にあたるという。メルセデスの保守本流を務めるラグジュアリーサルーンは、7年でどんな進化を遂げたのだろうか。日本導入を前にウィーンで試した。
微妙なポジション
新型Eクラス(W214)の試乗会前に、現行Eクラス(W213)を拝借して予習・復習をしてみた。「E220d」のISG仕様。これが上出来だった。“最終型が最良”という都市伝説的な言い伝えに偽りなしだった。乗り心地よし、操縦性よし、ディーゼルなのに静粛性も動力性能もよし。「これならフルモデルチェンジしなくてもいいじゃん」とさえ思うほど、バランスのいい上質なセダンだった。
そうはいってもやっぱり気がかりなのは、Eクラスというモデルの現在の微妙な立ち位置である。現行「Cクラス」は「Sクラス」と同じプラットフォームを共有し、動的にも静的にもクラスを超えたレベルに到達している。そして何よりボディーが大きくなって、いまやW124のEクラスよりも立派な体格になってしまった。さらに始末が悪いのは、そんなCクラスでも「まだちょっと大きいなあ」と感じる人に向けて、「Aクラス」にも「セダン」が用意されている事実である。ひと昔前のCクラスの役目をAクラス セダンが担っているとするならば、現行CクラスはEクラスの代役としてほぼほぼ通用してしまうからだ。
こんなふうにAとCとEのセダンの境界がちょっとゴチャゴチャし始めているのに、Sクラスの領域だけは絶対に死守するあたりにメルセデスのしたたかさみたいなものがうかがえるのだけれど、それはともかく、少なくとも日本市場におけるEクラスの存在感は希薄になっていると言わざるを得ない。欧州では“フリート”といういわゆる社有車としての需要がこのセグメントで大きなシェアを占めているものの、フリート制度がない日本ではなおのことなかなか厳しいのではないか。なんてことを考えながら試乗会場のウィーンへと向かったのであった。...