「アイデアが思いつかない」「企画が通らない」「頑張っても成果が出ない」と悩む方は多くいます。その悩みを解決するために「個人のセンス」も「やみくもな努力」も必要ありません。人に認められている「優れたアイデア」から自分の脳内に「再現性のある回路」をつくればいいのです。『発想の回路 人を動かすアイデアがラクに生まれる仕組み』の著者、クリエイティブディレクター中川諒氏による「いつも結果を出す人」の秘伝の思考技術を紹介します。
アイデアと企画は似ているけど全く別物
「そもそもアイデアと企画って一体どう違うの?」
そう感じたことがある人もいると思います。
実際「いいアイデアが出ない」とも「いい企画が出ない」とも言うように、アイデアと企画は、似たような意味をもつ言葉として使われています。
しかし、「アイデア」と「企画」は似て非なるものです。
違いをひとことで言うならば、「アイデアは思いつき、企画は合意形成」です。
まず前提として、アイデアは自由です。わがままでいい。
どんなくだらない思いつきも、アイデアです。
極論を言うと、そのアイデアをおもしろいと思っているのは、自分だけでもいい。
他人がおもしろいと言ってくれなくたっていい。
アイデアを電球でたとえると、その電球はどんな形状でもよく、光ることで誰かの役に立たなくてもいいのです。
思いつきは、自身のこれまでの経験の中から生まれます。
アイデアはこれまでに自分が見たり聞いたり、体験したものの蓄積からしか生まれません。
パーソナルな価値観が根っこにあるだけに、自分だけがおもしろいものにとどまる可能性は十分にあります。
だから「おもしろくないアイデアだ」と他人に言われるのは当然といえば当然です。
個人の思いつきなのですから。
企画は他人との合意形成が必須
一方で、企画は合意形成です。
企画にお金を出す人、企画に参加する人など、周りの人を巻き込みながら進まなければなりません。
つまり、他人におもしろいと思われないアイデアの電球を、企画では光らせる必要があります。
突拍子もないアイデアは、残念ながら周りの人には理解できません。
他人にもおもしろいと思ってもらうためには、「人がおもしろいと感じる回路」にハマっている必要があるのです。
アイデア出しが光る前の「電球のカタチをつくること」であれば、企画作りはその電球に誰かを照らす「明かりを灯すこと」です。
そして明かりを灯すには回路が必要なのです。
「アイデアはおもしろいが、企画になっていないね」
これはわたしが新入社員時代に、よく言われていたことです。
当時のわたしには、その意味が分かるようで分かりませんでした。
「なんでアイデアはおもしろいのに、企画になっていないの?」
「どうしたらアイデアは企画になるの?」
「そもそもアイデアと企画はどう違うの?」
アイデアと企画の違いを理解していなかったことで苦労しました。
今思うと当時のわたしは、アイデアの電球をつくる力はあったかもしれませんが、それを光らせるための回路に気づけていなかったのです。
加藤昌治氏の『考具』(CCCメディアハウス)では「アイデアは企画の素」で企画は「アイデアをフィージビリティスタディしたもの」と表現されています(フィージビリティスタディ=実現の可能性を調査すること)。
目の前にある案が、アイデアの段階にあるのか、企画の段階にあるのかを見定められるようになることが「いい企画」にたどり着くための最初の一歩であり、大きな第一歩となるのです。
(本記事は中川諒著『発想の回路 人を動かすアイデアがラクに生まれる仕組み』から抜粋し、一部を改変・編集したものです)