今や2人に1人が転職をする時代。就活をする学生ですら、60%近くがセカンドキャリアを意識しているという。では、転職を成功させるためには、何が必要になるのか。それは知識でもスキルでもなく、どう選べばいいのかという判断基準だ――。そんなメッセージで大きな話題となった1冊が北野唯我氏の『このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法』だ。
「未来の転職に道筋がつけられた」「仕事に向かう意識が変わった」「キャリア観を揺るがされた」などと多くの人に言わしめた、その思考法の心髄とは?(文/上阪徹)
「好きなこと」はどうやって見つければいい?
転職のために必要な思考法を物語形式で学ぶことができる、と口コミでも話題となり、23万部を超えるベストセラーになっている北野唯我氏の『転職の思考法』。2018年に世に送り出された。
著者の北野氏は、博報堂、ボストンコンサルティンググループを経て、人材ベンチャーのワンキャリアに参画した人物だ。
物語の主人公・青野は転職の思考法について理解を深め、物語の後半、いよいよ転職先選びに踏み出す。そして、ここで転職するとなれば、多くの人がぶつかるであろう疑問に直面する。
それに対するコンサルタント・黒岩の言葉は鮮烈だ。
自分の中に「武器」を見つける2つの方法
やりたいこと、好きなことが仕事にできない。そういう仕事が見つけられないものか。そんな声を、私もよく耳にする。
フリーランスで30年近く書く仕事をしていることもあるのか、「好きな仕事ができていいですね」と言われたりもする。
しかし、これは自分の著書でも書いていることだが、私は書くことが好きなわけではまったくない。むしろ、もともと文章は嫌いで苦手だった。広告のキャリアに入ったのは、文章を書くのではなく、言葉を見つける仕事だと思っていたからだ。
ところが、私の入った世界は採用広告だった。カッコいいキャッチフレーズ1本で、一つの会社を表現することなどできない。結果的に、長い文章を書かざるを得なくなった。そしてフリーランスになり、記事や本も手がけるようになった。
では、書くことは好きでもないのに、なぜこの仕事をしているのか。書くことではなく、他の人が知らない何かの情報を入手して、誰かに伝えるということは大好きだからだ。それが楽しいのである。
私が好きなのは、書くことではない。伝えることなのだ。その手段が、たまたま書くことだっただけに過ぎない。
仕事の表面的な部分にとらわれてはいけない。見るべきは、仕事に潜む本質だ。黒岩の言葉を借りれば、「心から楽しめる状態」なのだ。
では、どうすればいいのか。黒岩は、青野にこんなアドバイスをする。
大事なことは、「ある程度やりたいこと」が見つかったとき、転職できるだけの力をつけておくことなのである。そして、それをどうやって見つけるのか、2つの方法を伝授する。
実は私自身、「1」の考え方でこれまで書くキャリアを作ってきた。書く仕事をスタートさせた私だったが、もともとはコピーライターだった。
ところがフリーランスになり、周囲に誘われるままに仕事の領域を広げていった結果、インタビューや書籍の仕事がどんどん拡大していった。まるで予想もしていなかった未来に、連れてきてもらえたのである。まわりにいる人のほうが案外、自分のことをよく知っているのだ。
やりたいことを見つけたら「会社への忠誠心」でごまかすな
ある程度やりたい仕事の近くにいる。仕事で心から楽しめる状態にある。それは、誰もにとって理想だろう。しかし実際には、必ずしもそうはいかない。
多くの人が希望の仕事があっても就くことができない。扱いたい製品を扱っているとは限らない。不本意な配属や異動もある。お金のために会社に言われて仕方なく、やりがいを無視して働いてきた人も、実は少なくない。
しかし、いつでも転職ができる世の中は、それを変えることを意味する。
転職が当たり前になれば、逆のことが起こる。自分に嘘をつく人が減る。会社も、より社員に魅力を感じてもらえるような場であろうとする。会社も変わるのだ。
それにしても、どうして日本は、こんなに窮屈なのだろうか。なぜ、こんなにもみんなが我慢しているのだろう。
さて、青野が最後に何を学び、どんな結論を選んだか、ぜひ本書を手に取って確かめてみてほしい。あなたが持っているキャリア観、仕事観に、間違いなく一石を投じてくれる。そんな一冊だ。
(本記事は『このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法』より一部を引用して解説しています)
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