余計なものは何もない
完全新設計のシャシーに電動パワートレインを搭載した、PHEVのスーパースポーツ「マクラーレン・アルトゥーラ」。レース由来のテクノロジーが注がれた彼らのブランニューモデルが体現する、唯一無二のドライブフィールに触れた。
新時代のマクラーレンの旗手
行間に敏なる読者諸兄姉には、ごまかして書いたところでどうせ気づかれてしまうでしょうから、先に白状いたします。ワタクシ、いまだにこのクルマが完全には呑(の)み込めておりません。もちろんクルマが悪いわけではない。自動車相手にこの表現はどうかと思うが、なんというかものすごくハイコンテクストで、スーパーカー経験値のない筆者は、その価値を理解できるだけの知識や共通認識を持ち合わせていないのだろう。
今回、筆者が試乗した、というほどいろいろ試せたわけではないのですが、取りあえず取材したクルマは、マクラーレン・アルトゥーラだ。「MP4-12C」以来のコンポーネントをことごとく捨てた、新世代マクラーレンの旗手。しかも電動パワートレインをリアミドに搭載したPHEVと、見どころ満載のニューモデルである。細かい話はニュースやコラム、これまでに4度も掲載された試乗記で散々書かれているので(その1、その2、その3、その4、ワタシのリポート要る?)、今回は割愛する。一部は写真キャプションにまとめてあるので、気になる人はそちらをご覧ください。とにかく、イギリスの純粋主義的技術者集団が、究極のクルマとの一体感を求め、軽さとレスポンスをひたすらに追求した電動のスーパースポーツ……と、そこだけご理解いただければ、拙文を読み進めるうえでも支障はないでしょう。
取材の舞台となったのは、世界選手権も催される富士スピードウェイのレーシングコース……だが、走行はわずかに2周半。しかもストレートは200km/h制限で、1コーナーは50km/h、300Rは140km/h等々、細かくルールが敷かれたなかでの“カルガモ走行”だった。システム最高出力680PS、パワーウェイトレシオ488PS/tというハイパフォーマンスカーを理解するには、恐れながら、いささか不十分なシチュエーションでありましょう。スピード恐怖症の筆者は安堵(あんど)しつつも、「自分ごときが、こんな限られた条件下で何かを感じとれるのかしら?」と不安を覚えながらクルマに搭乗した。...