スバリストは感涙せよ
「スバルWRX S4」がフルモデルチェンジ。新しいシャシーに新しいエンジン、さらに電子制御式可変ダンパーなども採用した新型は、スポーツセダンとして新たな境地に達している。「でもMTが……」とおっしゃるあなたにも、ぜひ試していただきたい仕上がりだった。
コンセプトカーを忠実に再現
WRX S4(以下、WRX)は、現在のスバルでもっとも高性能なスポーツモデルだ。クルマの基本的な成り立ちは先代同様に「レヴォーグ セダン」というべきものだが、レヴォーグとWRXの最大のちがいは市場環境である。レヴォーグは豪州など一部の海外市場でも販売されるが、あくまで日本市場がメインの商品だ。対してWRXは北米が圧倒的なメイン市場となり、北米では主に20〜30代のヤングファミリー世代に支持されている。
ホイールアーチや車体下部をブラックアウトさせた新型WRXを最初に見たとき、これをSUV風味と受け取った人は(筆者を含めて)少なくないと思う。しかし、このデザインの源流となった2017年の「ヴィジヴ パフォーマンス コンセプト」を見ると、それは後付け風のオーバーフェンダーやエアダム、サイドステップなどから着想を得たことが分かる。
新型WRXのエクステリアデザインは、ヴィジヴ パフォーマンス コンセプトをできるだけ忠実に再現することがテーマだったそうだ。しかし、例の部分をブラックアウトするだけでは「デザインは機能に従う」というスバルの流儀に反する。そこで使われたのが、以前より研究されていた「空力テクスチャー」である。それは表面にわずかな凹凸(WRXの場合は六角形のハニカム模様)を成形することで、空気の剥離を抑制して、操縦安定性を引き上げる技術である。今回はそれが前後バンパー、ホイールアーチ、サイドシルの樹脂部分のほぼ全面にあしらわれる。
また、新型WRXでは先代より後席空間が広くなり、リアを強く絞り込んだ造形からは想像しづらいが、トランク容量もわずかに拡大している。これも北米での主要顧客がヤングファミリーであることが最大の理由だ。北米におけるWRXは、かの地ではパーソナルカー的に使われることも多い「フォレスター」より、後席や荷室への要求が厳しいくらいなんだとか。ところ変われば……である。...