君子は時々豹変する
「史上最速の『Eクラス』」をうたう「メルセデスAMG E63 S 4MATIC+」がマイナーチェンジ。動力性能は据え置きながら、デジタル系装備が長足の進化を遂げているのが特徴だ。最新のユーザーインターフェイスや対話型音声認識システムの仕上がりを報告する。
置いていかれそう
誰が言ったか知らないが、スポークが上下2本に分割された「トンボ形ステアリングホイール」は確かに美しく見事な出来栄えだが、実際の使い勝手は、少なくとも私にはいまひとつである。慣れればブラインドタッチも可能、とはいうものの、特にスワイプ操作は反応しなかったり行きすぎたりで、狙ったファンクションをサクッと呼び出せずに、とにかくまだるっこしい。やり方が悪い、あるいは指がカサカサに荒れていたせいかもしれないが、ひとつ前の世代の物理スイッチとして独立していたタイプのほうが使いやすかったというのが正直な気持ちである。
人間工学的とは、メルセデス・ベンツを語る際によく使われる単語ながら、デジタル時代になってからは腑(ふ)に落ちないことも多いのだ。まあ昔から上から目線で押しつけがましいところがあったし、これぞ正解と公言しておきながら、案外頻繁にコロッと前言撤回することも珍しくはないのが今のメルセデスだ。それだけ最新のデジタルインターフェイスの進化は速いということなのだろう。
もうひとつ言わせてもらうと、モード切り替え用のいささかちゃちなダイヤルスイッチが、せっかくのつややかでセクシーなAMGスポーツステアリングホイールの完成度に水を差しているように思う。また年寄りの繰り言と言われるだろうが、昔の“ベンツ”にこういうちぐはぐな部分は見当たらなかった。もっとも、多少の批判は承知のうえで突き進む。それでこそメルセデス・ベンツという気がしないでもない。...