前回の記事で、投資についての基本的な考え方についてうかがった。
投資といえば、「分散投資してリスクヘッジするのが当たり前」くらいのことは、投資経験のない私でも聞いたことがある。ベテランの個人投資家でも「分散投資が正解」と思っている人は多いのではないだろうか。
しかし、私たちがなかば常識のようにすり込まれている「分散投資」が効果を発揮するのは、巨額資金を運用する機関投資家のことだ。数十万円からせいぜい数百万円と資金が限られる個人投資家は、分散投資より集中投資のほうが、はるかにメリットが大きい。
なぜ、個人投資家には集中投資が有利なのか。そして、集中投資するなら「どんな会社」が狙い目なのか。
ベストセラーの前著『10万円から始める! 小型株集中投資で1億円』の刊行から1年、その実践編となる『10万円から始める! 小型株集中投資で1億円【実践バイブル】』を上梓した著者・遠藤洋さんに、わからないことだらけの投資素人の視点で、さまざまな疑問をぶつけてみた。
(取材・構成 イイダテツヤ/撮影・疋田千里)
個人投資家の数百万円程度の投資なら
分散投資の意味なんてない
――前著『10万円から始める! 小型株集中投資で1億円』でも、新刊『10万円から始める! 小型株集中投資で1億円【実践バイブル】』でも、遠藤さんは「分散投資」ではなく「集中投資」の優位性を強く説いています。
一般的な常識とは真逆のように感じますが、なぜ集中投資がいいのでしょうか?
よく言っていることですが、株式投資の本質は「就職」と同じだと思っています。
自分に合う会社をしっかり選んで、そこに「自分の時間」という大事なリソースを投入するのが就職です。
一方、「この会社は成長するだろう」「この会社を応援したい」と本気で思えるところを真剣に吟味して、そこに「自分のお金」という大事なリソースを投入するのが株式投資です。
その大前提に立ってみると、たとえば、銘柄を10個も買うとなると、きちんと管理したり、情報をていねいにチェックしたりすることが難しくなります。
たとえば、就職した会社の社長が変わったり新規事業を始めたり、反対に事業撤退したり、そんなことがあったら、従業員ならいろいろと気になりますよね。「この会社で働き続けていいのか」と思い悩むかもしれません。
株式投資も同じで、情報・状況をていねいにチェックして、その会社のことをよく知っておきたい。ところが、銘柄数が多くなると、どうしても管理が不十分になってしまいます。
株を買うときも「1000万円を使って、10個銘柄を選ぶ」となったら、どうしたって選び方は雑になります。
それは私が求める株式投資の姿ではない、ということです。
もう一つのたとえ話として、子どもが10人いるのと1人いるのとでは、どちらが目が行き届くか。もちろん1人のほうが目が行き届くし、ていねいにケアできます。
株も同じで分散投資すればするほど、目が行き届きにくくなり、ケアが雑になります。以前、100柄以上保有するという個人投資家に会ったことがありますが、その方はもはや自分がどんな銘柄を保有しているかさえ把握できていませんでした。
――お話は、すごくよくわかります。ただ一般的には「卵は一つのカゴに盛るな」という有名なリスクヘッジの話があるじゃないですか。
投資ですから、リスクを受け入れるのはもちろん必要です。
ただ、とことん調べて、本当に「この会社は成長する」と思える会社を選び、株を買った後も、株価の変動だけでなく、その会社のことをきちんとチェックしていけば、株価が3〜4割落ちることはあっても、全部がなくなることはまずありません。
そもそも「就職」と同じですから、1ヵ月や2ヵ月といった短期で見るのではなく、最低でも1年先、3年先を見て「成長する会社」を選んでいるわけです。
そうした株式投資の本質を踏まえれば踏まえるほど、分散投資のメリットを私は感じません。
個人投資家は10万円から100万円、多くても数百万円から株式投資を始める人がほとんどだと思います。少なくとも、そのくらいの金額であれば、分散投資する意味はまったくないと私は考えています。
投資額が数千万円を超えてきたら、多少分散してもいいかなとは思いますが、1億円になったとしても2〜3銘柄でいいと思います。...