今、最も注目を集める急成長企業ワークマンは、「しない会社」だ。
◎社員のストレスになることはしない
◎ワークマンらしくないことはしない
◎価値を生まない無駄なことはしない
とりわけ「頑張ること」はしないどころか、禁止! それでも業績は、10期連続最高益を更新中だ。
なぜ、コロナ禍でも業績が伸び続けているのか。
なぜ、自分の頭で考える社員が急増しているのか。
なぜ、いま「しない経営」が最強なのか。
このたびワークマン急成長の仕掛け人である土屋哲雄専務が、Amazonに負けない戦略を初めて語った初の著書『ワークマン式「しない経営」』が発売たちまち3刷となった。
12/7の日経新聞にも、競争戦略の第一人者で一橋大学ビジネススクールの楠木建教授が「ワークマンの戦略は“世紀の傑作”。これほど、しびれる戦略はない」とコメントを寄せた。
今回、ワークマンの土屋哲雄専務と早稲田大学大学院・ビジネススクールの入山章栄教授が初めて本書で対談。両者は何を語ったのだろうか。
驚異の脱力系企業の
未来型サーバントリーダー
入山章栄(以下、入山) 土屋さんは会社のビジョンを社員の前で熱く語ることはないのですか。
土屋哲雄(以下、土屋) 個別には社員とよく話をしますが、社員全員の前で話すことはほとんどありません。全員の前で話したのは、会社に入って6回くらいでしょうか。反対に社員から、「こんなに会社が変わっているのだから説明したほうがいいですよ」と言われ、昨年は2年ぶりぐらいに話しました。
入山 会社のビジョンをトップが語り、それを中間管理職を通じて現場に落としていく。そうやって会社の方向性を共有するのがよい経営といわれていますが、ワークマンの場合、そうではないようですね。
土屋 はい。ミッション、ビジョン、バリューも毎年変わっています。
入山 毎年変わっているんですか(笑)。メチャメチャ面白いです。驚異の脱力系企業ですね。
土屋 そうですね。基本的にはオペレーション優位の会社ですから、上が「やれ」と言うとやりすぎてしまうのです。昔は社長の命令は「死んでも成しとげる」雰囲気がありました。それは企業にとってよくない。
入山 土屋さんは未来的なリーダーです。リーダーシップのスタイルでいくと、サーバントリーダーでしょう。
土屋 自分でもそう思いますね。商社時代はジャングル・ファイターでしたが、ワークマンにきて相当変わったと思います。
入山 しくみをつくり、社員一人ひとりの力を発揮させるのは典型的なサーバントリーダー。従来の強い権力を握るリーダーの弊害は、情報化社会において顕著に表れてきました。
というのも、情報化社会では扱う知識量が膨大になるため、一人のリーダーの力だけでは処理することができない。その結果、時代の流れについていけなくなる恐れがあります。その点、草の根のエクセル革命は衆知を集める全員参加型経営ですね。
土屋 そうですね。
入山 サーバントリーダーは未来的です。サーバントリーダーだからこそ、ブルーオーシャン市場を拡張し、ワークマンプラスという成果が得られたのだと思います。
社員の賛同を得ながら結果を出せたのは、サーバント・リーダーシップで「しない経営」と「エクセル経営」を浸透させたことが大きいと思います。
【土屋より】
ps.「だから、この本。」に私の全5回インタビュー連載がありますが、特に下記の記事が好評だったのであわせてお読みいただけたら嬉しいです。
「だから、この本。」【第1回】“人生一発逆転の新・知的生産術” ワークマン式 朝2時30分起きの仕事術
(次回に続く)...