今、教育の現場では、あらゆる学習において、社会に出てからの実用性を重視する実学志向が強まっている。だが、基礎知識や教養、物事を深く考える習慣を身につけさせないのであれば、先の読めない変化の激しい時代を柔軟に生きることは困難だ。『教育現場は困ってる――薄っぺらな大人をつくる実学志向』(平凡社新書)の著者・榎本博明氏は、学校教育の在り方に警鐘を鳴らす。今回はシリーズ2回目で、日本の教育界が推奨してきた「アクティブ・ラーニング」について問題提起する。
教育界に広がる誤ったものの見方
従来の講義形式の授業は、知識の伝達をするだけで、学生を受け身にさせてしまっているという見方が教育界に広まり、アクティブ・ラーニング(グループディスカッションやメンバーの前での発表など能動的な活動をふんだんに取り入れた学習スタイル)が推奨されるようになってきている。
しかし、一方では、アクティブ・ラーニングの広がりによって、学力の低下が懸念される事態が生じ、「活動あって学びなし」といった批判が出たり、学習意欲の高い学生が不満を持ったりしているのも事実だ。
それはアクティブ・ラーニングの具体的なやり方がまずいからだといった議論もあるが、そもそも「講義形式の授業がアクティブな学びの妨げになる」という前提に誤りはないだろうか、と榎本氏は警鐘を鳴らす。では、実際に、学生はどのように感じているのだろうか。それを考えるにあたって、榎本氏が行う講義形式の授業を聴講した学生を対象に大学側が行った授業評価のコメントをみてみよう。...