(更新:)
ORICON NEWS
井上真央 『女同士のリアルな世界に共感 この感じどこかで――』
「地味な役がピッタリ」の声に複雑な気持ちも(笑)
井上最初に原作を読んだとき、三木典子(菜々緒)役と勘違いしていたんです。「美人っていわれてる、どうしよう〜」って思ったんですけど、よくよく聞いたら城野美姫役で、「そりゃそうだ」ってなりました(笑)。地味が似合うと言われ、複雑な気もしましたけど、スッと影を消すことは得意なのでよかったのかな(笑)。
──同僚や幼なじみ、家族、故郷の人。それぞれの目線によって異なる美姫のイメージを、劇中で巧みに演じ分けられています。微妙な差を出すお芝居は難しかったですか?
井上何役も演じるような感覚もありましたが、ちょっとした仕草や振る舞いで変化をつけられたらと思っていたんです。難しさもありましたが、中村義洋監督と一緒だったので楽しみながらできました。以前から中村監督の作品が大好きなんですが、今回初めてご一緒させていただいて感じたのは、すごく遊び心のある方だということ。そして、しっかりお芝居を見てくださっているという安心感もありました。「このひとから見た美姫はこうだろうな」という考え方一つひとつを、中村監督と共有しながら進めることができました。
──女同士の世界を実にリアルに描いているとも感じたのですが、共感できる部分はありました?
井上「この感じ、どこかで見たことあるかも」と思った部分はありましたね。幼い頃の出来事にしてもそうですけど、当事者にとってそうじゃなくてもはたから見たら悪意があるように見えるシチュエーションって、ありますよね。でも、自分がそのなかに入っていたらそんな感覚はまったくなかったりもする。だから逆に、自分の言葉や行動も他人から見たら思いがけず悪意を感じられたりすることもあるのかもしれないと考えさせられました。
──ウワサがひとり歩きして勝手な人物像ができていくストーリーからは、「本当の自分とは何?」という問いも感じました。
井上そうですね。人って周囲が持っているイメージと、実際のその人とがちがうことって少なくないと思います。私自身も、たくさんの人と出会うこういう仕事をしているぶんよく感じます。
──井上さんご自身が、周りのウワサを耳にしてしまって「本当の自分はちがうのに」と思ったことはありますか?
井上やっぱり人前に出るお仕事なので、そういうこともありますね。作品ひとつをとっても評価や好き嫌いは分かれるもの。私自身は、あまり周りの声を気にしすぎないように気をつけてはいますが、今のネット社会、いろんな人が好きなことをつぶやいていたりする社会のなかで、全然気にならないといったらウソになります。もちろん、すごくいい評価を目にしたら嬉しいし、悪いことに関しては……落ち込まないように気をつけています(笑)。
いろいろな怖さがあって人間不信になってしまうかも?
井上私は変換しないですね(笑)。惑わされないように、冷静でいようとします。でも、悲しいときは悲しいと思ってしまう。そんなときでも美姫のようにトコトンまで追い詰められるということはないです(笑)。
──映画ではツイッターによるウワサの拡散シーンが印象的なのですが、井上さんはツイッターを見ることってあります?
井上けっこう見ていた時期もあるんですが、タイミングによって波があるかな。舞台に立っているときなどは影響をうける気がして見ないようにしています。でも、たまにのぞいてみると、「なるほど」とタメになることも書いてあったりするので、つい見入ってしまうことも(笑)。とはいえ見ないときはいっさい見ないので、だいぶ波がありますね。
──来年のNHK大河ドラマの撮影も控えていたりとご多忙ななかだと思いますが、今年挑戦したいと考えていることはありますか?
井上運動です、いつも言っているんですが(笑)。もともと得意じゃないのであまりやったこともなくて。でも舞台稽古をやっていたときに、ずっと体を動かしていたら調子がよかったので、今年こそは、なにか運動を始めたいなと思っています。本当はヨガやピラティスをやってみたい願望はあるんですが……私、飽きやすい性格なもので(笑)。継続が必要なものは不向きかもしれないので、ちょっと躊躇しています。
──仕事面で今後やりたいことは?
井上時代ものの作品をやりたいですね。大河ドラマは幕末が描かれますが、それよりさらにさかのぼった江戸時代にも興味があります。歴史上のドラマ自体もそうですし、今と通じるものが重なって見えてきたりする点も、時代ものならではのおもしろさだと感じるので。いつか挑戦できたらいいですね。
──ぜひ観てみたいです。では最後に、本作をこれから観る方へメッセージをお願いします。
井上この映画を観たら人間不信になってしまうかも? というと、ちょっと大げさですが、いろいろな意味で怖さもある作品です。現代社会ならではの問題がスリリングに描かれています。男女で見方も変わると思うので、そのあたりも見どころ。最後まで翻弄されながら、楽しんでいただけたら嬉しいです。
(文:奥浜有冴/撮り下ろし写真:鈴木一なり)
白ゆき姫殺人事件
関連リンク
・残忍な魔女なのか、それとも…<映画予告編>
・『白ゆき姫殺人事件』公式サイト