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平岡祐太&三浦貴大『言葉で表現しづらい男同士の感情を映像に』
自分のなかにしっかり入れておこう[平岡祐太]
三浦今回演じるにあたっては、観返さないようにしました。やっぱり、観てしまうと前作をひきずってしまうかなと思ったので。同じことはできないですし、そういう意味では自由に演じられたとは思います。
平岡僕は改めて観たんです。撮影に入る4日前くらいに観直して、気持ちを引き締めたというか、整えた感じがあります。『キッズ・リターン』のもうひとつの物語に出るということを、自分のなかにしっかり入れておこうという気持ちで観ました。
――平岡さんはシンジを、三浦さんはマサルを演じたわけですが、自分はどっちの役に近いと思いましたか?
平岡そういうこと考えた? 僕はまったく考えなかったな。
三浦考えたというか、どっちが自分にあっているかなとかいうことを思い浮かべました。自分にヤクザっぽい部分がまったくないので、それがどうなるのかなって始めは心配でした。
――三浦さんはマサル役がハマっていたので、そんなことは想像もしていなかったですが、学生時代に兄貴風をふかしたりとかもなかったんですか?
三浦なかったですね。僕は高校のとき体育会でスポーツをやっていたんですけど、後輩からもタメ口で、タカって呼ばれていましたからね(笑)。マサルっぽいところはあまりないんですよ。自分とはすごく遠い人かもしれないですね。かといってシンジっぽいところもないですけど。
――平岡さんの学生時代はどうでしたか?
平岡先輩風ふかしたりとかはまったくなかったです。後輩との関係もフランクでした。でも、たまにちょっと気を遣ってもらったり。でも、ほんとにたまになんです(笑)。
――プロデューサーの加倉井誠人さんは、「今の若い男は『内向き傾向』『草食化している』とやゆされている。はたして本質はどうなのだろうか」ということがテーマのなかにあったと語られていますが、おふたりはどう思われましたか?
三浦マサルとシンジが再会するシーンとかには、そういう今の感覚が出ていたんじゃないですかね。微妙な感じで。何をしゃべったらいいのかなっていうあの空気が好きでしたね。
平岡10年ぶりに再会して、マーちゃん(マサル)が刑務所に入っていたことを、シンジは知っていると思うんです。でも、それを聞いていいのかもわからないし。そういう微妙な心境が出ていたと思います。
心情を感じながら演じて出てくるもの[三浦貴大]
平岡僕は29歳なんですが、自分の感覚でいうと、社会人だったら、ちょうど新人でもなくって、かといって部長とかにもなれるわけではないから、立ち位置を探しているところ。ちょっとだけ生きづらさを感じ始めた年代なんじゃないかと思うんです。そういうところが、この『キッズ・リターン 再会の時』には描かれています。でも、自分たちより年齢が上の方でも、「あの頃、俺たちもそういう気持ちを抱えていたな」って思い出したりもするんじゃないかなって。
――あと、前作にはない部分としては、お金のこととかも描かれていて、リアルですよね。
平岡みんなインテリヤクザになっているんですよ。
三浦気持ちだけではどうにもならないということも描かれてます。
――こういった、リアリティのある部分がこの作品の魅力だと思うんですが、最初、脚本を読んだときはどのように思いましたか?
三浦男同士の友情って部分がすごく印象的で。普段、男同士の友情って言葉で表現しづらいと思うんですけど……。
平岡あんましないよね
三浦それを映像にしたのがこの作品ではないかと。
平岡言葉で語るんじゃなくて、男たちの背中で語っていくような作品かなと思いました。
――映画のなかで、先輩のマサルは後輩のシンジに夢を託す部分が描かれています。
三浦マサルがシンジに夢を託すというのは、単純にひさしぶりに学生時代の親友に会えて、そのシンジが学生時代からずっとボクシングをやっていて、もちろん、一度はやめようとしたりもするんですけど、いろんな周りの状況は変わっているのに、シンジだけは変わっていない。それがすごくうれしいからこそ、シンジに託すことができたんだと思うんです。だから、そこに複雑な気持ちはなくて、すごく素直に、ストレートに夢を託しているのではないかなと。葛藤というものは、社会に対して持っているのではないかと思います。
平岡今って、みんなすごく自分のことが大事だと思うんです。そんな時代に、別の誰かに夢を託せるってかっこいいなって思います。そういう友情ってアツいなと思いました。もちろん、それだけではないとも思いますが。
――その夢を託されるボクシングの試合のシーンでは、平岡さんは大変なこともあったと思いますが。
平岡痛かったですよ、単純に(笑)。
三浦痛そうだった(笑)。
平岡やってみて初めてわかりました。グローブをつけていても、あんなに痛いとは。でも、手加減されたくはないと思って。練習のとき、相手の方が手加減しているなっていうのが自分でもわかりましたし、どうしたら本気になってくれるかってことを考えていました。
――三浦さんはどんな風に役作りをしましたか?
三浦ヤクザの役はやったことないし、どうしようかと思いました。かといって、ヤクザ映画を観て、単純にマネをしたいとも思わなかったんです。で、結局、そういうことは全部捨てました。ヤクザっていうのは一回全部忘れて、マサルっていう人間の心情を感じながら演じれば、何か出てくるだろうと。台本から読み取れるものだけを大切にして演じました。
――最後になりますが、この映画のこういう部分を観てほしいというところを教えてください。
平岡ドキュメンタリーに近い部分もあるので、そういう部分も観てほしいです。あとはやっぱり男同士の友情。多くは語らないけど、繋がっているということこそ、男の友情だなって。それから、ボクシングのシーンももちろん観てほしいです。
三浦シンジとマサルの関係って一見特別に見えますが、こういう友情って、思い返せばいろんな人にもあるのかなって。この映画を観て、昔の友人に連絡とってみようかなって思ってもらえたらうれしいです。
平岡僕らも、この映画でできた友情は続いていく気がします。例えば10年後にあったら「おおーーー」って言うかも。
三浦ふたりともかわってなさそう(笑)。
(文:西森路代/撮り下ろし写真:逢坂 聡)
平岡祐太/ヘアメイク:しぶやまさこ スタイリスト:丸本達彦
三浦貴大/ヘアメイク:KEN スタイリスト:涌井宏美
映画情報
キッズ・リターン 再会の時
高校の同級生、シンジとマサルは卒業後、シンジはプロボクサー、マサルはヤクザとなり別々の人生を歩んだ。その道の頂点を目指したふたりだったが、越える事の出来ない壁にぶつかり挫折――。会うこともなく10年が過ぎ、シンジはボクシングを辞め、アルバイトをただこなす日々。
出所したばかりのマサルも、ヤクザに戻るしか道はなかった。しかし、運命はふたりを再び結びつかせる。ふとした偶然から再会を果たした時、互いのくすぶっていた心に火がついた。「見返してやろうぜ。」マサルの言葉を胸に、再びリングに上がるシンジ。一方のマサルも、人生をかけたある勝負に出ようとしていた。固い友情と、熱い決意によって這い上がろうとするふたり。傷だらけの男たちに、道は開けるのか――。
監督:清水浩
出演者:平岡祐太 三浦貴大 倉科カナ 中尾明慶 市川しんぺー
【映画予告編】 【公式サイト】
2013年10月12日(土)より全国ロードショー
(C)2013『キッズ・リターン 再会の時』製作委員会
関連リンク
・あの“シンジ”と“マサル”が―予告映像
・映画『キッズ・リターン 再会の時』公式サイト