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ダメでも最強…映画『サンダーボルツ*』の愛すべきキャラたちから学ぶ処世術 “なりたい自分”に変わる負け組からの逆転思考とは?

 アベンジャーズに代わって世界を救うべく人類消滅の危機に集められた〈サンダーボルツ*〉。「最強でも、ヒーローでもない」超クセ強な無法者たちが、マーベルの最新作でメインをはる。世間から見放された彼らの人生逆転をかけた敗者復活戦となる本作から学ぶことも多い。彼らの過去とキャラクターから紐解き、現代人にも通じる処世術に焦点を当て作品の魅力を紹介。5月2日(金)より劇場公開となる映画『サンダーボルツ*』の魅力について、アメコミのエキスパート・杉山すぴ豊氏が解説する。
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境遇や気持ちに心からエールを贈りたくなる…負け組に与えられたセカンド・チャンスの物語

映画『サンダーボルツ*』(C)2025 MARVEL

映画『サンダーボルツ*』(C)2025 MARVEL

 これまでのマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)のヒーローたちは、強大なパワーの持ち主であるが、どこか人間味があり、そこに人々は共感してきた。強い奴がただ強いだけだったら面白くない。その強い奴が時折見せる弱みや悩み葛藤があるからこそ、僕らは彼らを応援してきた。

 MCUが大切にしてきたのは、そういう親(ちかし)さなのだ。だから〈サンダーボルツ*〉のメンバーにもきっとシンパシーを感じるはず。エリート集団のアベンジャーズとはひと味ちがうポンコツ組。本作はまさに挫折した負け組に与えられたセカンド・チャンスの物語。彼らの境遇や気持ちに頷き、心からエールを贈りたくなるだろう。そんな彼らの魅力と共感ポイントを紹介していく。

こじらせているが、実は愛嬌ある妹分 <エレーナ・ベロワ>

エレーナ・ベロワ(フローレンス・ピュー)映画『サンダーボルツ*』(C)2025 MARVEL

エレーナ・ベロワ(フローレンス・ピュー)映画『サンダーボルツ*』(C)2025 MARVEL

 幼い頃からロシアのスパイ機関で強制的に養成され、暗殺者&スパイとなったエレーナ。高度な戦闘スキルで暗躍してきた彼女だが、アベンジャーズのブラック・ウィドウとして活躍してきた“姉”ナターシャを失い、深い悲しみを抱えている。

 そんな彼女をひと言で表すならば、“実は愛嬌ある妹分”。ナターシャと同等の戦闘スキルを持ち十分アベンジャーズの一員になれるポテンシャルがありながらも、彼女とは正反対の道を歩んできたエレーナ。愛想はないけれど、愛嬌がある。しっかりしているけれど、妹キャラ。嫉妬心からなのか、偉大なる“姉”に対して小ばかにした発言をしたりする。

 その一方、なによりも姉のことを深く愛していたのも彼女。姉を失ったことによる大きな寂しさ、虚しさも感じている。ちょっとシニカルでトラブルメイカーのところもあるが、どこか可愛げがあって信頼できる。そしてその本質は極めてピュアで優しい。だからこそ皆に愛される人物でもあるのだ。そんな彼女が〈サンダーボルツ*〉のメンバーとどう絡んでいくのか注目してみてほしい。
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初めてのリーダー抜擢も…上下の板挟みに悪戦苦闘の中堅層?! <ウィンター・ソルジャー/バッキー・バーンズ>

ウィンター・ソルジャー/バッキー・バーンズ(セバスチャン・スタン)映画『サンダーボルツ*』(C)2025 MARVEL

ウィンター・ソルジャー/バッキー・バーンズ(セバスチャン・スタン)映画『サンダーボルツ*』(C)2025 MARVEL

 悪の組織に洗脳され、すべての記憶を失い暗殺兵器「ウィンター・ソルジャー」として長年利用されていたバッキー。戦いの中で本来の人格と記憶を取り戻すも、洗脳時の行動を知り、苦悩している。その後、ヒーローとして活躍し、アメリカの下院議員として政界にも進出。そして今回、超クセ者揃いの〈サンダーボルツ*〉のまとめ役を担うこととなった。

 そんな彼を現実世界の人物に置き換えるとするならば、“上下の板挟みに悪戦苦闘の中堅層”。どちらかというと一匹狼タイプで、心を開いている人はごくわずか。この手のタイプの人物にとって本当は1人でバリバリ戦うほうがよっぽど楽だろう。なのに突然リーダーに抜擢されチームをまとめ上げなければならなくなった。しかもメンバーは自分よりずっと若い世代。

 これまでバッキーの“片腕”は無敵の金属アームで自らの運命を切り開いてきたが、今度は彼自身がチーム全員の“片腕”にならなければならない。まさに中間管理職が直面するような面倒な状況である。いま働き盛りの世代は、仕事とプライベートのワークライフバランス、上下関係の調整役、チームワークを大事にしながら自分らしさを出すという、まさにバッキー並みの板挟み状況の中、日々のミッションに向き合っているのではないのだろうか。単独ヒーローのバッキーが、グループの中でどのように成果を出していくか注目だ。
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昔の俺はすごかった…実力派ゆえに過去の栄光を語り続ける熟練者?! <レッド・ガーディアン/アレクセイ・ショスタコフ>

レッド・ガーディアン/アレクセイ・ショスタコフ(デヴィッド・ハーバー)映画『サンダーボルツ*』(C)2025 MARVEL

レッド・ガーディアン/アレクセイ・ショスタコフ(デヴィッド・ハーバー)映画『サンダーボルツ*』(C)2025 MARVEL

 かつてブラック・ウィドウとエレーナの“父”役を務めていたアレクセイ。旧ソ連が生み出した超人兵士で、高い戦闘能力を持つ彼の最大の誇りは、アベンジャーズとして華々しく活躍した初代キャプテン・アメリカ(スティーブ・ロジャース)のライバルだったこと。組織に切り捨てられて以降、長年にわたって獄中生活を送っていたが、エレーナたちの戦いに加勢するため脱獄。数十年ぶりにレッド・ガーディアンのコスチュームに身を包み活躍した。

 そんな彼を現実世界の人物に置き換えるとするならば、“実力派ゆえに過去の栄光を語り続ける熟練者”。どこの世界・組織にも「昔はすごかった」と呼ばれるレジェンドがいるもの。長年の経験により物事に熟達し、技術や能力に優れているエキスパートでありながら、引き際を間違えてしまい、ついつい若手に「昔はならしたもんさ〜」と過去の栄光を語ってしまう、ちょっと面倒な存在になっていたりする。

 アレクセイは、まさにヒーロー界の、ちょっと困ったベテラン的存在。しかし、一見過去の栄光にしがみついているやっかいな先輩に見えるかもしれないが、自分の人生のけじめを探しているのでは。その一方で年長者として後輩に卓越した助言もできる。意外にこういう人物がチームのムードメイカーだったりもする。部下や後輩とチームを組む時にどうふるまえば良いのか、レッド・ガーディアンから学びたいところだ。
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マイペース思考派が…部署横断プロジェクト抜擢で悩むキャリア模索型?! <ゴースト/エイヴァ>

ゴースト/エイヴァ・スター(ハナ・ジョン=カーメン)映画『サンダーボルツ*』(C)2025 MARVEL

ゴースト/エイヴァ・スター(ハナ・ジョン=カーメン)映画『サンダーボルツ*』(C)2025 MARVEL

 6歳のころ事故に巻き込まれ、あらゆる物質をゴースト(幽霊)のようにすり抜けてしまう特殊な体質になってしまったエイヴァ。その後特別なスーツを身につけ、スパイとして暗躍してきたが、身体には常に苦痛が襲い、誰とも触れ合えない孤独を抱えている。

 そんな彼女を現実世界の人物に置き換えるとするならば、“部署横断プロジェクト抜擢で悩むキャリア模索型キャラ”。「あなたの力をぜひ活かして欲しい」と自分が全く想像していなかった組織や部署から声がかかり、自分と全く毛色の違う人たちが揃うプロジェクトに放り込まれたら、かなり面食らうだろう。エイヴァの置かれている状況がまさにそれだ。

 ある意味、超人ではあるが生粋の戦士ではない。なのにバリバリの戦闘チーム〈サンダーボルツ*〉に加えられてしまった。従って彼女は、「自分がこのチームで一番場違いのような…」ととまどっているのでは? しかしだからこそ自分のあるべき姿、自分だからこそできる何かが見つかるのかもしれない。自分探しの旅は、自分とは違う人間との出会いの中で始まるのかも。本作で彼女がどのように対峙していくのか、現実社会でも学ぶことがあるだろう。
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気づけばエリートの座から転落も…理想と現実の狭間に揺れる頑張り屋さん?! <USエージェント/ジョン・ウォーカー>

USエージェント/ジョン・ウォーカー(ワイアット・ラッセル)映画『サンダーボルツ*』(C)2025 MARVEL

USエージェント/ジョン・ウォーカー(ワイアット・ラッセル)映画『サンダーボルツ*』(C)2025 MARVEL

 かつてアメリカ陸軍の兵士として、数々の栄光に輝いたジョン・ウォーカー。政府から2代目キャプテン・アメリカに任命されたが、重責に耐えきれずに過ちを犯し、資格剥奪と不名誉除隊を言い渡され、現在は自作の盾を手に“USエージェント”の名で活動している。

 そんな彼をひと言で表すならば、“理想と現実の狭間に揺れる頑張り屋さん”。将来を嘱望されていたのに失敗し栄光をつかみ損ねてしまった…そういうやらかし系の人物というのは、どこにでもいるもの。また自分自身の経験を振り返っても、あの時あそこで上手くやっていればと後悔したことは、一度や二度はあるはず。

 しかしジョン・ウォーカーは嫌な奴だから、愚か者だから失敗したわけではない。彼なりに次のキャプテン・アメリカになろうと努力し、それがたまたま空回りしてしまったのだ。だからこそ根は良い人であり、自分の名誉を取り戻したいというよりは、今度こそ皆のために頑張るというピュアな動機ではないのだろうか。仕事やプロジェクトを自分のせいで上手くいかなかったという人は、それを引きずりながらも、いつかこの埋め合わせをしたいと願っているはず。だからこそジョン・ウォーカーの大復活を見てみたいのだ。
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自制心を保ち、目の前のTO DOを堅実にこなすバリキャリ系キャラ?! <タスクマスター/アントニア・ドレイコフ>

タスクマスター/アントニア・ドレイコフ(オルガ・キュリレンコ)映画『サンダーボルツ*』(C)2025 MARVEL

タスクマスター/アントニア・ドレイコフ(オルガ・キュリレンコ)映画『サンダーボルツ*』(C)2025 MARVEL

 ソ連のスパイ養成機関で洗脳と改造を施された最強の人間兵器。ヘルメットで素顔を隠し、剣と盾を持って戦う彼女は、戦う相手の動きや武器の使い方を見るだけで完全にコピーする能力を持ち、ほとんどのヒーローの格闘スキルを身に付けている。その高い戦闘能力で暗躍してきたタスクマスターだが、戦いの中で洗脳が解け、自身の素性をようやく知ったばかり。

 そんな彼女を現実世界の人物に置き換えるとするならば、“目の前のTO DOを堅実にこなすバリキャリ系(?!)キャラ”。与えられたミッションは確実にやりとげる凄腕でありながらも、アイデンティティがなく、いつも便利屋みたいに扱われてしまうタスクマスター。自身の記憶や自我を消され操られていたという哀しい過去があるだけに、あらゆる意味で“自分らしさ”とは無縁。そんなタスクマスターが本作でいかに自分らしさを発揮するのか見届けたい。
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アベンジャーズ不在の中、これまで以上の敵と戦う負け組たち…ひと筋縄でいかないマーベルの新作

映画『サンダーボルツ*』(C)2025 MARVEL

映画『サンダーボルツ*』(C)2025 MARVEL

 ここまで〈サンダーボルツ*〉のメンバーを紹介してきたが、作品についても触れたい。とてつもない敵が現れ、さまざまなスキルを持ったメンバーが集結し、チームとなって立ち向かう。これはMCUの中でも鉄板のプロット。『アベンジャーズ』や『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』は、まさにこのパターンだった。そして今年、とてもユニークなチームとしてデビューしたのが〈サンダーボルツ*〉だ。

 構成員のほとんどがヒーロー失格、過去のMCUにおいてヴィラン(悪役)的扱いだということ。主役/ヒーロー揃いのアベンジャーズとは対象的。では、なぜ彼らがデビューできたのか? 実はいまのMCUは、ヒーロー不在の時代。要は『アベンジャーズ:エンドゲーム』において事実上アベンジャーズは解散。彼らに変わる世界の守護神がいない。

 そうした中、誰が世界を救うのか? 仕方なく(?)結成されたのが〈サンダーボルツ*〉。それぞれ戦闘能力はあるものの、戦力的にアベンジャーズには到底及ばない。けれど彼らが対峙する悪は、アベンジャーズ全員を合わせたよりも強く絶対的な存在らしい。本作は、アベンジャーズ以下のチームが、アベンジャーズ以上の敵と戦うはめになるというひと筋縄でいかない物語。
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ダメな6人組の起死回生に注目 謎も多く、元気になれる爽快な作品

ボブ(ルイス・プルマン)映画『サンダーボルツ*』(C)2025 MARVEL

ボブ(ルイス・プルマン)映画『サンダーボルツ*』(C)2025 MARVEL

 また、マニアックな視点でいえば、アベンジャーズ全員を合わせたより強いとされる敵・セントリーの正体は? 予告等でいい味を出している謎のキャラ、ボブとは? 発表以来ファンの間で考察合戦になっている“*(アスタリスク)”の意味とは? さらに、1年後に公開される『アベンジャーズ:ドゥームズデイ(原題)』へのつながりとは? も気になるところだ。

映画『サンダーボルツ*』(C)2025 MARVEL

映画『サンダーボルツ*』(C)2025 MARVEL

 しかし『サンダーボルツ*』の本当の面白さは、ダメダメだった6人がいかに起死回生するのか、その爽快感にあるのではないのだろうか。きっとこのメンバーの中に、自分と似ている誰かを見つけることができるはず。誰にだって「変われるチャンスはある」「活躍できる場が用意されている」ということを、この6人を通じて見せてくれるだろう。MCUの映画はヒーローの活躍を通して皆に希望を与えてきたが、『サンダーボルツ*』は皆に元気を届ける作品なのだろう。
杉山すぴ豊氏

Profile 杉山すぴ豊氏

アメキャラ系ライターの肩書でアメコミを原作とした映画の紹介をテレビ、雑誌、WEB、劇場パンフレット等で展開。『東京コミコン』を始め、アメコミの映画関連イベントのMCも手掛けている。

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映画『サンダーボルツ*』INFORMATION

  • 映画『サンダーボルツ*』(C)2025 MARVEL

    映画『サンダーボルツ*』(C)2025 MARVEL

▼映画『サンダーボルツ*』あらすじ
ニューヨークの街に現れた大きな黒い影。瞬く間に市民を消し去っていく謎の敵により、世界は再び大きな脅威と直面するも姿を現さないアベンジャーズ。絶望の中立ち上がったのは、かつて洗脳されヒーローと対立した過去を持つウィンター・ソルジャーことバッキーだった。彼が仲間に誘ったのは、エレーナ、USエージェント(ジョン・ウォーカー)、レッド・ガーディアン(アレクセイ)、ゴースト、そしてタスクマスターだった。そこにボブと名乗る謎の男も現れ――。ヒーローとは程遠い…マーベルの新チーム〈サンダーボルツ*〉はアベンジャーズにかわって、この脅威から世界を救うことはできるのか?

【公開日】2025年5月2日(金)
【監督】ジェイク・シュライアー
【キャスト】フローレンス・ピュー、セバスチャン・スタン、デヴィッド・ハーバー、ジュリア・ルイス=ドレイファス、ワイアット・ラッセル、ハナ・ジョン=カーメン、オルガ・キュリレンコ
【日本版声優】田村睦心、白石充、大塚明夫、藤貴子、鈴木達央、田中理恵、中村千絵、梶裕貴、伊瀬茉莉也
【原題】Thunderbolts*

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