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サントリー初の男性向けスキンケアブランドが中高年に大ヒット、“リモート時代”で見た目気にするシニア世代が急増
既存ブランドは若者向けが多数、ミドル・シニア層狙い&サントリー独自技術で差別化
「誰しも、人や社会とのつながりを持って若々しく生きたいという気持ちがありますが、年齢を伴う外見や印象の変化によって自信がなくなり、人や社会とのつながりがなくなってくる…そんな潜在的な悩みが多いなと、調査を通して感じました。そういう方々に向けた商品を作れないかと思い、VARONを開発するに至りました」(サントリーウエルネス スキンケア事業部・西山雅大さん/以下同)
しかし、男性向けスキンケア市場には、既に1978年発足の「ギャツビー」や1992年発足の「ウーノ」など、根強いブランドが君臨している。その上、昨今の男性の美意識向上を受け、多数ブランドが参入し、競争は熾烈を極めている。そこでサントリーウエルネスは、現状、若者向けに発信しているブランドが多いことから、得意とするミドル・シニア層にターゲットを定めた。
「クリーム状のものを量産化、商品化するのは難しく、試行錯誤を繰り返しましたが、浸透した成分が心地良く残り、朝塗ったら夕方まで乾燥しません。そこが一番大きな体感のポイントだと思います」
「実は、ウイスキー樽材エキスは20年ほど前から研究を進め、2010年代前半にできた成分で、『WOW高浸透型エマルジョン技術』も2010年代前半には開発されていました。しかし、なかなか生かしきれておらず、長らく技術が宙に浮いた状態だったのですが、今回初めてこれらの技術を組み合わせた商品化に成功しました」
「本当に成功するのか?」社内からは懐疑的な声も、サンプルで役員&銀座ママを虜に
販促についても、「普通に広告を出すよりも、とにかく多くの人々に試していただき、その結果を口コミで広げていただく」という作戦をとった。
「かねてからサントリーがお付き合いのある銀座などのクラブのママさんは、お客様にお土産を渡す文化があると聞きました。そこでVARONをギフトボックスにして渡してもらいました。すると好評だったようで、ママさんから追加を頼まれることも多く、中には100個も買ってくださった方もいました」
他にも、会食の際には営業がギフトボックスを徹底して配るなどして、じわじわと口コミを広げていった。結果、発売1年目は当初の目標を3倍上回る売上10億円を達成、2年目も販売計画を上方修正し、30億円を突破している。
サントリーウエルネスは、シニア世代を中心に通販を行ってきたことから、主に電話を活用してユーザーとコミュニケーションを取り続けている。そこでVARONを使用しての体感や気づきを聞き取り、丁寧なサポートも行っている。
「スキンケアに慣れていないお客様もいて、中にはメガネの上から塗ってしまった方や、スプレーのように直接顔にかけられた方もいらっしゃいました。我々が予想しないようなお客様の反応もありますので、その中で丁寧にサポートさせていただいています」
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「VARONユーザーのご家族へのアンケートでは、『夫が優しくなった』『夫婦の会話が増えた』という声が多く聞かれます。VARONを使うとご本人はもちろん、奥様やご友人など、周りにいらっしゃる方々にも良い影響を与えていることが感じられます。このようなデータを世の中に発信する活動は、今後も注力していきたい。スキンケアから生まれる自己肯定が社会とのつながりを生み出すということを、きちんとエビデンスとして発信したいと思っています」
「世界で一番、ミドル・シニアの方々のことを、理解している会社になること」をスローガンとして掲げているサントリーウエルネス。西山さんは、「健康や外見だけでなく、孤独、退屈、自己肯定感などの悩みに寄り添い、人や社会とのつながり、接点を持ちたい、という皆様の気持ちを応援できるブランドにしていきたいと思っています」と語った。
(取材・文=水野幸則)