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きっかけは社員との雑談から…アース製薬、神田駅名標に社名追加の舞台裏
「発車メロディが〈お口クチュクチュ モンダミン♪〉になったら面白いよね」その場で交渉も…
「駅前となっていますが、昔から江戸前というのは付近という意味と聞いていまして、アース製薬本社前としました」と語るのは、神田駅をアース製薬一色に塗り替えたアイデアの発起人である常務執行役員の貴島浩史さん(コメント以下同)。
「社員の多くが駅はもちろん周辺のお店も利用させていただいている神田駅は、2019年に100周年を迎えられました。また、アース製薬は神田の地で約30年、地域の皆様のおかげで、2025年に設立100周年を迎えますので、今後も末長くアース製薬に親しんでいただけるような100周年記念事業を考えていいく予定です。そんな中でふと社員との雑談をしている時に『神田駅の発車メロディが〈お口クチュクチュ モンダミン♪〉になったら面白いよね』と口ずさんだことが盛り上がり、その場ですぐに代理店さんに電話したんです」
なんとも行動が早い。しかし簡単には進まなかった。
「ところが今年1月になって、今度はJR東日本さんのほうから『前向きに進めたい』とご連絡をいただいたんです。そこから急ピッチに準備を進め、10月2日にお披露目することができました」
「モンダミンってアース製薬だったのか!」想定外の反響に喜び
ちなみにJR山手線の駅では、過去に新橋駅でサントリー角瓶CMソング「ウイスキーが、お好きでしょ」(石川さゆり)、原宿駅でNTTドコモCMソング「春になったら」(miwa)などが期間限定で採用。また恵比寿駅ではサッポロビール「ヱビスビール」のCMソングである映画『第三の男』テーマ音楽が採用されている。しかし「モンダミン」のような純然たるCMジングルがJR東日本の主要駅で採用されるのは極めて珍しい。
SNSでは発着メロディを耳にした人の「モンダミン切らしているの思い出した。駅前のドラッグストアで買って帰ろう」といった声もあった。1987年の発売以来変わらないそのキャッチーなCMジングルは、いまや多くの人の耳に馴染んでいるようだ。
「一方でSNSには『モンダミンってアース製薬だったのか!』といったコメントも多くありました。たしかにアース製薬というと虫ケア用品のイメージが強いのかもしれないですね。今回の取り組みはことさらに商品名と会社名を紐付けようとしたわけではなく、社員と話していてつい発車メロディ風のモンダミンのCMを口ずさんでしまっただけなんです(笑)。結果的に認知していただけたのはうれしかったですね」
「これまで通りの広告手法だけでは、ユーザーに届ききらない」老舗メーカーのチャレンジ精神
「SNSの反応は「神田駅に降りたくなった」「面白い」などおおむね好意的でした。これは時代の変化とともにこれまで通りの広告の手法だけでは、お客様に届ききらないことも実感しています。SNSもそうですが、担当者自身が楽しんでいるとそのポジティブな雰囲気はお客様にも伝わるんですね。今回の取り組みも大変なこともありましたが、私自身とても楽しかったです」
「社員から出たアイデアは『まずは一歩踏み出してみよう』というのが社長・川端の考えです。今回の取り組みもダメ元で始まったことでしたし、『面白そうだけど無理だよね』で終わっていたら何も前に進まないという想いがあります。
広告の在り方については、YouTubeなどで世界中の事例をよくチェックします。すると、面白い事例がたくさんある。ああいうのを見ていると、探せば(広告の方法は)まだまだ、あるなと」
神田駅との取り組みは2028年9月30日まで、アース製薬の設立100周年をまたいで展開される。老舗メーカーの100周年に向けたさらなる新たな挑戦に期待したい。
(取材・文/児玉澄子)