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闇に紛れて量産されるズゴックとアッガイ…モデラーが施した“からくり”とは?「それぞれガンプラ1/4機ずつしか作っていない」

合わせ鏡を使ったトリックも背面を映さないよう工夫「だからズゴックとアッガイを使用」

――『ジオン驚異のメカニズム ズゴック・アッガイの超量産計画』が、SNSで話題になりました。闇に紛れて量産するジオン軍の不気味さと迫力が伝わってくる作品ですが、制作にはかなりの時間がかかったのではないでしょうか?
ハイドラ制作期間は20日間くらいです。使用キットはHGUC 量産型ズゴック と HGUC アッガイ を1機ずつ、正確には、1/4カットを1機ずつです。“超量産”ではありますが、あるからくりを使っているので、制作期間は短いです。

――そのからくりとは?
ハイドラはい。合わせ鏡で一瞬にして複製されています。

――そもそもどういう発想で本作を制作しようと思われたのですか?
ハイドラ実はこれまで、合わせ鏡作品をいくつか作ってきました。当たり前な話なのですが、鏡は全てを反射するので、映したくない(映ってはいけない)ものまで反射してしまい、上手く作品を見せることが出来ないことがありました。

――たしかに、鏡を使えばMSの「量産」は可能になりますが、鏡の反射で撮影の裏側までばれてしまうケースもあります。
ハイドラそこでマジックミラーやハーフミラーに目を付けました。ただ次にそれらのミラーを使って合わせ鏡をしてもMSの背面が映ってしまいます。そこでズゴックとアッガイの出番です。これらの機体は正面から見ると、背面にある物は何も映りません。しかも左右対称でもあります。そして何より量産機ということで、合わせ鏡で量産するのにぴったりです。前後左右対称のゾックが最適解と言う方もいると思いますが、いや鏡の箱の中に放り込んで「はい完成」では、流石につまらない。作っていても楽しくありません。

――なるほど、ズゴックとアッガイであることに必然性を持たせたわけですね。ご自身は量産機に対して思い入れがあるのですか?
ハイドラ特別な思い入れはありませんが、始めはどれも同じ見た目だった機体が現地改修で少しずつ違いが生まれるところがいいですね。

ガンプラ1機を作るより難しい1/4機制作「特に苦労したのはズゴックの薄いツメ」

――機体の1/4を制作し、あとは鏡とお伺いしましたが、具体的に“タネ明かし”をお願いできますか?
ハイドラ左右と奥を鏡、正面はハーフミラーで囲んだ箱の中に前後左右に1/4カットしたズゴックとアッガイを配置しています。

――1/4カットって、普通にガンプラを1機作るより難しそうですね。
ハイドラそうですね。特にズゴックのツメは苦労しました。ただでさえ薄い爪を、さらに真っ二つしたので。

――特にこだわったところはどこですか?
ハイドラなるべく鏡が仕込まれていることをバレないよう配置を工夫しました。過去に左右真っ二つはやっているので、さらに一工夫しています。
――鏡が仕込まれていると言われても気付かない完成度ですね。本作には4000件近いいいねや、賞賛の声が多数寄せられました。この反響をどのように受け止められていますか?
ハイドラ実は、タイトルに使った『ジオン驚異のメカニズム』というコピーは、40年ほど前のガンダムのプラモデルのCMの一部で使われた言葉だったそうです。これは、後から分かったことなのですが、後日そのCMを見て、イメージにぴったりでした。また、鏡のトリックは、同じく約40年前のマンガ『3D甲子園 プラコン大作』でも似たようなものが使われていたそうです。
 この“懐かしい×懐かしい”の相乗効果もあり、今回大きな反響になったのだと思います。   どちらも、自分は生まれていない頃のものなので、何も知らずに制作していましたが(笑)。

――40年前の技法やタイトルが、令和の今新しい形でよみがえる。“ガンプラ温故知新”といった感じですね。ちなみに、量産機に関しては今後も制作していくつもりですか?
ハイドラ手品と同じで、トリックは何度も使うと飽きられてきます。なので、似たような作品をどんどんは作れないのですが、予定ではクロスボーンガンダムのラスボス的存在であるディビニダドを鏡で増やし、主人公が絶望しかける瞬間を再現してみたいと思います。量産機の分類に入るかわかりませんが(笑)。

――次作も楽しみですね。ご自身がガンプラを制作するうえで大事にしている信条を教えてください。
ハイドラなるべく他人と比べられたくないので、過去に作例がないものを選んで作っています。「これ参考にしましたか?」とか言われたくないので。今回も、選んで作ったはずだったんですけど、過去のマンガとトリックが被るのは流石に想定外でした。

――それでは、最後にハイドラさんにとって「ガンプラ」とは?
ハイドラ自分、口下手なので作品で語る、すなわちガンプラは自分の分身ですね。
 今後は、コンテストで賞を受賞すればうれしいですが、それを目標とするのではなく、“ガンプラ心形流”のように、“ハイドラ流”的な、自分の個性的な作品をこの世に周知できればいいなぁと思います。

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