監督・山下敦弘と脚本・宮藤官九郎が初タッグを組んだ映画『１秒先の彼』でダブル主演を務めた岡田将生と清原果耶にインタビュー。岡田は何をするにも1秒早い郵便局員のハジメを、清原は何をするにも1秒遅い大学生のレイカを演じる。連続テレビ小説『なつぞら』（2019年）以来、4年ぶり2度目の共演にそれぞれ心躍るものがあったという。

――本作に参加することになった経緯は？

岡田山下監督とは以前『天然コケッコー』という映画でご一緒させていただいた縁があって、当時のことはいまだに鮮明に覚えていますし、いつかまた一緒に映画を作れたら、と思ってきたので、それが16年ぶりにこの作品で実現することにとても意味がある気がしましたので、「やります！」という選択肢しかなかったです。時が経ち、一俳優としてまた一緒に映画の現場に立てることは感慨深いところがありました。

　脚本の宮藤さんの作品にも参加したことがありましたし、やっぱり宮藤さんの脚本は面白いな、と思いました。原作の台湾映画『1秒先の彼女』の男女の設定を反転させて、オリジナルの良さは残しながらも宮藤さんらしいラブストーリー＆コメディーになっていて、撮影が始まる前から楽しみでいっぱいでした。

清原私は山下監督も、脚本の宮藤さんも「初めまして」でしたので、今回のご縁を大切にしたいと思いました。岡田さんとは4年ぶりで、またご一緒できることがとてもうれしかったです。監督、キャストの皆さん、スタッフの皆さんと精一杯、頑張りたいな、と思っていました。

――4年ぶりの共演はいかがでしたか？

岡田僕もまたご一緒したいと思っていたので、撮影を楽しみにしていました。清原さんは、今、21歳で、4年前というと17歳。ちょうど僕が山下監督の『天然コケッコー』に出させていただいたのが16、17歳でしたが、監督からの指示が理解できなくて、右往左往していました（笑）。

　『なつぞら』でも難しい役どころを演じられていましたが、今回のレイカちゃんは、僕のハジメより難しいキャラクターだったと思います。宮藤さんの脚本は本当に面白いのですが、ト書きがない分、演じるとなると難しいところもあって、演じ方によってはキャラクター像が変わって見えてしまう。現場で監督たちといろいろ言葉を交わしながら丁寧にレイカちゃん像を作っていく姿を目の当たりにして、本当に素晴らしいなと思いながら見ていました。僕にないものをたくさん見せつけられて、圧倒されていました。

清原そんなにもお褒めいただいて、ありがとうございます（笑）。岡田さんは、私が2020年に賞（※）をいただいた時に、授賞式に駆けつけてくださったことがあったんです。『なつぞら』でご一緒した後、少し時間が経っていましたし、引き受けてくださったこと、私のことを覚えていてくださったことに感動しました。その時、壇上で見た岡田さんのたのもしい背中が忘れられません。それから、4年ぶりの共演となりましたが、みんなを優しく包み込んで下さる柔らかくて、温かくて、お茶目なお人柄も『なつぞら』の時から変わっていらっしゃらなくて、とてもうれしかったです。

※2020年2月に授賞式開催された日本映画テレビプロデューサー協会主催の「2020年 エランドール賞」で清原は新人賞を受賞。

――今回の撮影で印象に残っているエピソードは？

岡田今回の作品では、ネタバレになるのであまり具体的なことはいえないんですけど、僕自身にとって最大のチャレンジを伴いつつも、清原さんのお芝居を間近でたっぷり見ることができたシーンがあったことを挙げたいですね。「台本に○○○○と書いてあったところを清原さんはこう演じるんだ…」みたいなことも観察できましたし、「清原果耶の芝居を堪能した」という満足感みたいなものに満たされる貴重な経験ができました。

清原どんな顔して聞いていたらいいのかわからない（照れ）。私は、ネタバレになるので、撮影中のエピソードがほとんど言えないんですよね…。

岡田平安神宮での清原さんと荒川良々さんの掛け合いが僕はすごく好きだけど。

清原あ！　そうですね、平安神宮でたくさんのエキストラの方々にご協力いただいて撮影したシーンは印象に残っています。雨も降っていて、本当に大変だったと思いますが、あのシーンが成立したのはエキストラの皆さんのおかげです。ほかの映画では見られないであろうシーンをぜひ観ていただきたいです。

――今回のお話はざっくり言うと、せっかちさんとのんびり屋さん、どちらも不器用なキャラクターたちが織り成す「愛」と「時間」についての物語をユーモラスに描いていますが、お二人はせっかちさん？　のんびり屋さん？

岡田僕は両方。プライベートは本当にせっかちなんですけど…、仕事の時はレイカちゃんスタイル。ゆっくりやろうよ、焦らないでさって。そういう心持でいた方が、現場の空気も良くなる気がする。焦って殺伐とした感じにならないようにしていきたいな、と思う。今回の現場は、山下監督の人柄もあると思いますが、みんなで一つひとつのシーンをしっかり考えながら作っていかなければいけなかったですし、それができる良い環境を整えていただけたことに感謝しています。

――プライベートはせっかち？

岡田そうですね。心配性なんですよね。いろいろ準備しておこうとするから常に焦っている感じ（笑）。あれはどこだ？　あれがない！って。

清原私もプライベートではせっかちな方だと思います。その日の予定によって、何時に起きよう、何時までにこれを終わらせよう、午前中の予定と午後の予定の間にこれを片付けよう、といった時間割を立てちゃうタイプ。それをクリアしようと、せっかちになっている気がします。

岡田レイカちゃんとは真逆のテキパキした清原さんも見てみたいですね（笑）。

映画『1秒先の彼』2023年7月7日公開

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監督：山下敦弘
脚本：宮藤官九郎
出演：
岡田将生　清原果耶
福室莉音　片山友希　しみけん　笑福亭笑瓶　松本妃代　伊勢志摩　柊木陽太　加藤柚凪　朝井大智　山内圭哉
羽野晶紀　加藤雅也　荒川良々
製作：『1秒先の彼』製作委員会
制作プロダクション：マッチポイント 製作幹事・配給：ビターズ・エンド
（C）2023『1秒先の彼』製作委員会
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