ORICON NEWS
安室奈美恵のパフォーマンスを完コピ、ものまね突き詰めて得た“繋がり”
時代ごとに変わる“声”を極めすぎた結果…安室さんと同じポリープを発症
@nakamoriakinai #中森あきない #Barbie #安室奈美似 #安室奈美恵#完コピ ? ROCK U feat.Namie Amuro - ravex
「ほか中森明菜さん、ピンクレディー、浜崎あゆみさん、山口百恵さん、松田聖子さん、森高千里さん、本田美奈子さんなどのレパートリーがあるのですが、安室奈美恵さんに関しては私が最初にさせていただいたものまねだったんです。だからこそ、気持ちが入ります。“アムラー現象”として、髪型、衣装、靴、全てにおいて皆さんが追っかけていった時代がありました。私もファンの方々が奈美恵さんのコスチュームに身を包んでコンサートに挑むというスタンスを目の当たりにし、ものまねするなかで奈美恵さんのファンの方たちに私も認められたいという信念がどんどん強くなってきました」
ものまねタレントはおおまかに、ものまねとそっくりさんの2つに分かれる。彼女はその枠を超えて、舞台の構成や演出まで極力再現。バックダンサーも似ている人を選ぶという。当時の演出スタッフにも話を聞き、安室がこの時代はこんな衣装、この時代はこんな髪型、この時はこんなメイク…というところまでこだわる完璧さ。それを裏付けるエピソードとして“ポリープ”がある。2017年、安室が声に関する専門外来に通っていることが報じられたが、あきないも安室の時代ごとの“声の変化”に対応していたところ、声帯ポリープを発症。「声の出し方にあそこまでの変化をつけていたら、そりゃポリープもできるかもと納得しました」と身を持って実感している。
完コピ投稿のSNS、アンチからの意見も糧に「これが勉強になる」
もちろん体型などの違いはある。例えば、安室さんは手のひらが大きいが、あきないは小さい。安室さんは、その大きな手をバッと前に出すなどのパフォーマンスが多かったことから、少しでも近づける為に、ネイルを長くしてカバー。しかし逆にそれがアンチを生み、「安室ちゃんの爪はそんなに長くない」「安室ちゃんはもっと顔が小さい」などのネガティブな声も寄せられた。
「ですが、それが勉強になるんです。ある時、安室さんが腕にタトゥーをしていた時期があったので、私もシールでそのタトゥーを入れてパフォーマンスしたところ、“安室ちゃんがどんな想いでタトゥーを挿れ、そして消したか、分かっているのか”という声をいただいたんです。それがまた安室さんをよく知ることにつながりました。引退の安室さんロスでは結構叩かれたりもしたんですけど、今は私の活動が“励みになっています”“私も奈美恵さんのファンです”と打ち明けてくださる方が増えてきたんです。もちろん最初は悲しくなることもあったのですが、今はそれで逆に勉強して、アンチの方もファンにしたいと思いながら頑張っています」
しかし“完コピ”にこだわるが故に、マイナスもあった。テレビで放送されるものまね番組では、面白さの際立つものが選ばれたり、短尺ネタが好まれたり、ものまね自体への期待値が舞台とは異なる。「ジャンルが異なるため、完全再現のネタだとテレビに呼ばれづらい部分もありました」。そこであきないのパフォーマンスの場となったのが、TikTokなどのSNSだった。自分のメディアで発信できる時代で「本当に良かった」と胸をなでおろす。
「安室さんが引退した当時からSNSに完コピネタを投稿していましたが、コロナになってTikTokライブで安室さんの歌を歌わせていただくようになって、より投稿の頻度が多くなりました。何よりもSNSで発信することによって、安室さんのファンの方たちとつながれたことが私には大きかったんです。実際に安室さんには会えないからこそ、私のSNSがご本人とファンの皆さんをつないでいる“エンタメの場”になっている。救いにもなりましたし、感謝しかないととらえています」
@nakamoriakinai #中森あきない #Barbie #安室奈美似 ? オリジナル楽曲 - 中森あきないタレント - あきない安室奈美似
先日、茨城県の五霞(ごか)中学校でサプライズ歌唱をする機会が。最初は世代の違う安室さんの楽曲を楽しんでもらえるか心配だったが、歌い始めたら生徒も先生たちもノリノリの大盛り上がりとなり、世代を超えて”エンタメの楽しさ”を伝えることができた。その直後から、TikTokライブにもその時の中学生が大勢視聴しにきてくれるようになったという。
エンタメを続けることが、若返り、体の回復にもなるという彼女の持論は、我々にも勇気をくれる。「安室さんのすごいところは年令を重ねても歌って踊れるパワー。他の方と代えがたい世界一のエンタメ性にあると思います。いずれ私も奈美恵さんの完コピで武道館やドームに立てたら。それが私の夢ですね」。
(取材・文/衣輪晋一)