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『クレヨンしんちゃん』愛され続ける秘ケツ 30周年振り返り座談会

『しんちゃん』のような国民的アニメはもう生まれない!?

――国民的アニメとして親しまれる存在になった『クレヨンしんちゃん』のこれからについて、思っていることを聞かせてください。

テレビ朝日:佐野『クレヨンしんちゃん』はすごく貴重な作品だと思います。30年の長きにわたって色々な人が関わって、視聴者をはじめそれを支えてくれた人たちがいる。かつて映像を見るといったらテレビ一択の時代が長くあって、毎週同じ曜日、同じ時間にテレビでを番組を観る、そういう習慣があったから生まれた国民的アニメだと思うのです。

 今は配信サービスもあって、映像を観るデバイスも多様化してきているので、今後なかなか『クレヨンしんちゃん』のような国民的アニメ作品は生まれにくい、個人的には生まれないんじゃないかと思っているんですね。それほど貴重な番組を担当している責任を感じつつも、とはいえ『クレヨンしんちゃん』なので気張らずに、見てくださった人たちの気持ちを明るくする番組を、毎週しっかりとお届けしたいと思っています。

シンエイ:山崎本当に誰も30年続くなんて思ってなかったと思いますよ(笑)。笑いに軸足を置きながら、日常のあるあるや5歳児のあるある、家族のあるあるだったりを描いてきたわけですが、おそらくそういった身近にある“面白さ”が多くの方に共感、愛されたんじゃないかなと思います。しんちゃんって、子どもたちにも、大人の方たちにも、いつも“そばにあるもの”という感覚だと思うんですね。なのでこれから先まだ10年、20年と、しんちゃんを見てくださっている方たちと一緒に作品を紡ぎ育んでいきたいという風に思っています。

ADK:秋山私は『クレヨンしんちゃん』の担当になってから、しんちゃんの魅力を知った口なんです。子どもの頃に、親から下品だから見ちゃダメと言われたとか、私のようにしんちゃんにあまり触れてこなかった方が、まだたくさんまだいらっしゃるんじゃないかなと思うので、さらに多くの方々にしんちゃんの底知れない魅力を伝えていけるように努めたいと思います。

双葉社:鈴木本当にいろんな人に見ていただける状況になってきていると思いますし、視聴動向が変わってきて、配信で海外の方にも作品に触れてもらえる機会が増えたのは、一つ大きな変化としてあります。今、韓国や台湾、中国などアジア圏でかなり人気が上がっていて、垣根なく世界に通じるキャラクターなんだな、というのを改めて実感しているところです。これをもっともっと広げていって、1人でも多くの方に『クレヨンしんちゃん』を見て、楽しんでいただけるようにしていくことが、『クレヨンしんちゃん』がこれから10年、20年と続いていくことにつながっていくのではないかと思っています。

原作者・臼井先生から“自由な発想”という贈り物

――『クレヨンしんちゃん』に携わって得た教訓的なことはありますか?

シンエイ:山崎30年という時間の流れの中で、時代の変化に対応してきた作品でもあったと思うんですね。地デジに変わったとかスマホに変えたとか。子どもたちが好むもの、流行っているものも日々変わっていく中で、それらをすぐに取り込める、縛りなく自由にできるところも『クレヨンしんちゃん』の良さだと思います。それと歴代のスタッフたちから「やっちゃえ」的なマインドが脈々と受け継がれてきたということもありますね。「やっちゃえ」ができる「おしり」のような柔軟さがあっての30年だとも思うので、これからもどんどん新しいことにチャレンジしていきたいなと思います。

双葉社:鈴木山崎さんが今おっしゃったことができたのも、原作者の臼井先生がアニメーションを作るクリエイターさんたちをリスペクトして、自由に作品つくりをできる土壌を作ってくださったからだと思うんですね。その臼井先生の精神が『クレヨンしんちゃん』のスタッフにも伝わってるんだと思います。これから先も作品を続けていく上で、フレキシブルに対応していくことが必要だし、大切だし、それを作り出してくれたのが、臼井先生なんだろうな、とすごく思います。

シンエイ:西川臼井先生がいろいろ許してくださったから、うちのクリエイターたちも楽しく仕事ができているというのはあると思います。携わっているメンバーがみんなしんちゃんのことが好きで、しんちゃんがこうやって動いたらみんな笑ってくれるんじゃないか、しんちゃんのこういう姿が見たいよね、と自発的にクリエーションしているんですね。映画で30作品、全部オリジナルで作っているというのもなかなかないことで、すごいことだと思っています。作っている側が楽しみながら制作しているので、観てくださる方々にも楽しんでいただける、そういうことなんじゃないかと思います。

――自由な発想で常に新しい事にチャレンジする風土が『クレヨンしんちゃん』にはあるということですね。来年夏には、シリーズ初の3Dアニメーション映画『しん次元!クレヨンしんちゃん THE MOVIE 超能力大決戦 〜とべとべ手巻き寿司〜』の制作も発表されました。

シンエイ:西川『クレヨンしんちゃん』としては異例なくらい長期にわたるプロジェクトです。しんちゃんって、立体(3DCG)にすると難しいんだな、というのを改めて実感しています。

双葉社:鈴木『アナと雪の女王』(2013年)の世界的大ヒットや、国内でも『STAND BY ME ドラえもん』(2014年)が公開されて、海外からも「しんちゃんは3Dにしないの?」と聞かれるくらい市場的に3Dアニメーションが注目されていた時期に、プロジェクトとしては立ち上がったんです。製作委員会にとっても非常にチャレンジングなプロジェクトで、それこそターニングポイントになるんじゃないのか、と思います。これまでの映画30作品の延長線上にあるものではなく、すべてが“しん次元”になっています。こういう『クレヨンしんちゃん』もあるのかと、新しい発見をしてもらえる作品になるんじゃないかと思います。公開を楽しみにお待ちいただけたらうれしいです。

シンエイ:西川しんちゃんの服がいつもとなぜ違う配色になっているのか? 違いを感じていただけるとうれしいです。

――皆さん、いろいろなお話、ありがとうございました。

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