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“渡米芸人”の先駆者・野沢直子、還暦前に思う“戦友”への思いととコンプラ時代「松本人志の核は今も変わらない」

“なんでもあり”時代を知る野沢直子、コンプラ重視のお笑い界をどう見る?

野沢直子

 野沢直子が活躍していた時代と比べ、現在のお笑い界は様変わりした。コンプライアンスが厳しくなり、番組の企画一つ、芸人のいじり方一つとっても、いろいろと気を遣うことは多い。“なんでもあり”だった、かつての面影はない。

 「私は当時、規制なんてないと思っていましたけど、実は当時もあったみたいですね(笑)。知らずに、大和田獏さんや菅井きんさんの下の名前を連呼したり、“大和田獏はどんな夢を見るんだ?”みたいな歌詞で歌を歌ってました。『アルプス一万尺』のメロディで、ハイジとペーターがいかがわしいことをしているとか…。不謹慎極まりないというか、シモネタも大好き(笑)。今なら完全に受け入れられませんよね」

 野沢の渡米以降も、活躍する女性芸人はどんどん増えていったが、以前とは違うお笑い界で生きる彼女たちをどう見ているのか。

 「全然違うインテリジェンスというか、エッヂの効いた、センスがすごい新世代の女芸人さんが出てきていると思っています。私の時代は、企画自体がクレイジーだったり、追い詰められて体張って…みたいなのが多かった。でも今、そういうものがない中で、頭を使い、同時にコンプライアンスの枠をうまく利用しながらやっていて、単純にすごいと思います」

 コンプライアンスに関して、日本よりさらに進んでいると言われるアメリカでの活動には、問題はないのだろうか。

 「私も大受けしたことがあるんですが、アングラなら下ネタでもコンプラOKみたいです。でも、メジャーでは無理ですね。今もライブでは、『ラーメンロック』という歌の最中に観客にラーメン投げたりしていますが(笑)。とはいえアメリカも最近、体を張る笑いが増えてきたかもしれないです。以前『風雲!たけし城』『お笑いウルトラクイズ』がアメリカで放送されていたんですが、そのパクりみたいなものも多くなっている印象があるかな。あと、アメリカは人種差別とかそういう笑いは厳しい。その代わり、身体的ハンデみたいなところの笑いはゆるい。日本とは、笑いの文化が違うと言ったほうが適切かもしれません」

 日本の笑いが受けているならば、今後同じように、渡米する芸人も増えるかも?

 「その場合、言語が障壁になるんですが、日本人は英語をインテリジェンスに捉え過ぎなんですよ。英語って、あくまでもコミュニケーションのツール。完璧にしゃべらなければと思うからしゃべれなくなる。まずは知っている単語で相手に伝える…それぐらい肩の力を抜いたほうが良いですね。今回のエッセイには、そんな私のアメリカ生活も多く描かれています。もう子育てにお金使いすぎて貯金ゼロなんで、私の老人ホーム代のために皆さん買って下さい(笑)」

(文:衣輪晋一)

エッセイ『老いてきたけど、まぁ〜いっか。』

著:野沢直子
ダイヤモンド社 刊
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