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(更新: ORICON NEWS

“幽霊会員”をいかに減らすか…コロナ禍で活況のフィットネス業界の今後 飽和状態のトレーナー育成がカギ?

 コロナ禍で空前の筋トレブームとされる昨今、“魅せる筋肉作り”に勤しむ人が増えている。しかし本来、筋肉とは健康的に体を動かすためのもの。「一瞬ではなく、一生モノの身体づくり」を掲げ、医学とトレーニングを掛け合わせた指導を提供するパーソナルトレーニングジム『Dr.トレーニング』が、このところビジネスパーソンを中心に注目を集めている。理想の体と日々のパフォーマンスアップを手に入れる独自のメソッドや、業界では珍しい「月会費無料・都度払い」を採用した理由を聞いた。

「一瞬ではなく、一生モノの身体づくり」メディカルチームによる多角的な観点からアプローチ

 2014年に東京・恵比寿で創業し、現在は関東と関西にセミパーソナルジム含め、24店舗を展開する『Dr.トレーニング』。その代表である山口元紀氏は米・メジャーリーグを始めとする世界レベルのアスリートのトレーナーや国際的ミスコンテストの公式トレーナーなどを歴任。その経験を生かして設立した『Dr.トレーニング』は、トレーナー、ドクター、管理栄養士、理学療法士、治療家など各分野の専門家が「メディカルチーム」を組み、多角的な観点から1人の身体づくりにアプローチするのが特徴だ。

「弊社では2ヵ月で数十キロ痩せます、といったサービスは基本的には提供していません。そうした需要を否定はしませんが、なかには無理なトレーニングを経てリバウンドしてしまった、継続できなかったという方も少なくなく、どこか体に負担をかけていたのも事実だと思います。弊社がミッションに掲げるのは『一瞬ではなく、一生モノの身体づくり』です」(Dr.トレーニング マーケティング担当・東田雄輔さん)

 会員の平均年齢は30代後半。働き盛りであり、また均整の取れたシルエットを保ちたい世代とも言えるだろう。

「ボディメイクやダイエットのほか、健康増進、体質改善、リハビリ、マタニティを目的に通われる方も多いですね。仕事のパフォーマンスアップやQOL向上のためには、やはり身体づくりが大切だと考える方が増えているように思います。いくつになっても趣味を楽しみたいと、70代や80代からトレーニングを始められる方もいます」

“会員の離脱”もポジティブに捉えている…“幽霊会員”を作らないためにも月額制度は設けない

 Dr.トレーニングではパーソナルジムでは珍しい「月会費無料・都度払い」のシステムを採用している。

「理由は複数ありますが、1つは『継続しやすさの工夫』です。私たちは、トレーニングを習慣にしてほしいと願っていますが、短期集中トレーニングに一気に数十万円払っても、習慣化はなかなか難しい。むしろご自身のペースで週1回、月2回でも継続することが身体づくりには重要です」

 しかし会費の縛りがなければ、「忙しい」「面倒くさい」などと、やがて通わなくなる会員も出てくるのではないだろうか。

「会員のヒアリングによると、逆に月会費制のほうが“幽霊会員”になる確率が高いようです。皆さん仕事にプライベートにお忙しいですから、通えない月もあるでしょう。しかし、サービスを提供しなかった分まで費用をいただくのは、フェアではないと私たちは考えます。都度払いシステムによって会員は1回1回の来店を大切にするようになるでしょうし、トレーナーやスタッフにとっては、1回1回のサービスをいかに質の高いものにするかという良いプレッシャーにもなります」

 多くのジムで回避したい“会員の離脱”についても、Dr.トレーニングではむしろポジティブに捉えているという。

「弊社に1年間通った方のほとんどが、トレーニングのフォームや健康管理などのノウハウはかなり身に付きます。そうなったらご自宅や近所のジムなど、より継続しやすいトレーニングに移行していただくのは、とても良いことだと思っています。弊社が目指すのは『一生モノの身体づくり』というミッションに共感してくださる方を1人でも多く輩出することです」

 Dr.トレーニングでは1店舗あたりの会員200名、1日あたりの利用は20名限定としている。会員が目的を達成した、ノウハウを習得したなどの理由で“卒業”すれば、その分だけ新たな「Dr.トレーニングに共感する人」を増やすことのできるキャパも広がるというわけだ。

 昨今は筋肉を増やすトレーニングが流行っているが、Dr.トレーニングでは「神経×筋肉×心肺機能」を連鎖的に鍛えることを重視している。

「車にたとえるとボディは筋肉。それを操る運転手が神経です。どんなに優れた車でも運転手のスキルがなければスムーズな走行ができないように、脳からの指令で体を動かしたり、バランスを保ったりするには神経を鍛えることが必要です。そしてガソリンにあたるのが心肺機能、ひらたくいえば体力ですね。心肺機能を鍛えることで運動しても疲れにくい体になります。この3要素のシンクロ率によって、ダイエット、健康増進、リハビリなどいずれの目的であっても体は劇的に変わります」

高度な知識やホスピタリティを備えたトレーナーを育成することが重要

 健康意識の高まりや筋トレブームもあってか、近年は「一般の方の健康リテラシーが、飛躍的に向上している」と東田さんは実感を語る。

「ただ情報や選択肢が多すぎて、“迷子”になっている方もいるように感じます。実際、弊社に来られる方でも『正しいと信じてやったのに成果が出なかった』という方はとても多いんですね。ネットやSNSでいくらでも情報を取得できるにも関わらずパーソナルトレーニング人口が伸び続けているのは、成果の出ないトレーニングを経て『人間の体は千差万別』であり『真に自分に合ったトレーニングでなければ意味がない』ことに気付いた方が、増えたからではないでしょうか」

 パーソナルジムが盛況とはいえ、競争の激化ですでに淘汰も起き始めている。一方でトレーナーの数は、東田さんいわく「飽和状態というほど増えている」とのことだ。

「パーソナルジムが業界として発展していくためには、より高度な知識やホスピタリティを備えたトレーナーを育成することが重要だと思います。弊社ではトレーナーの養成スクールを運営しているほか、研修や勉強会といった人材育成への注力は業界随一と自負しています。加えてパーソナルは敷居が高いといったイメージもあります。それがある種のステイタスになっていた側面もありますが、より多くの方が手軽に利用しやすい工夫もこれからは必要だと思います」

 Dr.トレーニングの店舗は年々増えており、いずれも駅から近い場所に出店されている。ただし出店計画で最も重視するのは“人材”。条件のいい土地があっても、質の高いトレーナーが育っていなければ出店しないことにこだわっているという。

(文/児玉澄子)
◆Dr.トレーニング公式サイト(外部サイト)

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