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異彩を放つ『スッキリ』音楽コーナー 音楽番組が減少傾向も出演熱望やリピーター多数のワケ
情報番組では異例、海外豪華アーティストもこぞって出演「あの人が出ているなら出るよ感」が成熟
この基本形以外でも、コーナーに関係なく国内外の話題のアーティストが出演することも珍しくなく、特に海外アーティストが注目される。これまでも、エド・シーラン、ケイティ・ペリー、ジャスティン・ビーバー、テイラー・スウィフト、レディー・ガガといった現在のトップ・オブ・トップアーティストから、U2、スティング、スティーブン・タイラー、ライオネル・リッチーなどレジェンド級アーティストまで、そのメンツは超豪華だ。
K-POPアーティストのヒットにより、今では日本の番組に海外アーティストが出演することも珍しくはなくなったが、それまでは海外の大物アーティストが出演するのは純然たる音楽番組が通例。『夜のヒットスタジオ』(フジテレビ系)や、t.A.T.u.のドタキャン騒動で話題になった『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)などが思い浮かぶ。
そんな中、同番組はコロナ禍でも大物から最旬のアーティストなどジャンル問わず、リモートでの生出演や同番組だけの特別なパフォーマンス披露など、本格的な音楽番組にも引けを取らない構成が見られる。
新人から大御所まで…国内アーティストも幅広いラインナップ
また、水卜麻美アナとハリセンボン・近藤春菜が同番組を卒業する際は、加藤の計らいでスペシャルライブを敢行。東京スカパラダイスオーケストラ、田島貴男、宮本浩次、森山直太朗らが出演し、2人の門出を祝った。そういえば、コロナ禍真っ最中の2020年7月の「スッキリ バンドやろうぜ!!」では、加藤浩次(ギター)、近藤春菜(ドラム)、小澤征悦(ボーカル)、水卜麻美(ベース)といった楽器初心者4人が2ヵ月間、エレファントカシマシの「悲しみの果て」を練習する企画もあった。さらに曜日コメンテーターを含む、ボーカルオーディションも開催。1回限りのリモートセッションでは、本家・宮本浩次も見守り「練習風景からずっと真摯でキュートだった」と労う場面も。
一見、身内ネタのような企画でも、常に“音楽”を取り込んできた同番組だからこそ、違和感もなく、視聴者も温かく見守ることができ、ミュージシャン側も「『スッキリ』だったら出ますよ」というマインドになるのかもしれない。
Nizi ProにTHE FIRST…『スッキリ』音楽コーナーがあるから派生したオーディション企画も話題
オーディション参加者たちが一喜一憂する姿も印象的で、それがまたスタジオで見守る出演者や視聴者を感情移入させる。NiziUやBE:FIRSTとしてデビューした彼女・彼らは、デビュー後の動向も番組で取り上げられ、リリースがあれば出演し(リモート含め)、アーティスト側も加藤らとのやりとりを喜んでいる。
また、2019年9月に「WEニュース」からはじまったマンスリーMCにも注目したい。2022年4月期には、『おかあさんといっしょ』(NHK Eテレ)で第21代うたのおねえさんを務めた小野あつこが、民放デビュー作として「SHOWCASE」のマンスリーMCに就任。4月28日の放送では、なにわ男子のメンバーを「おかあさんといっしょ」当時のノリ全開で、手遊び「パンダうさぎコアラ」で招き入れる…という一幕があり、“奇跡のコラボ”としてSNSを騒がせた。
朝の情報番組にも関わらず専門番組をも凌駕する“音楽ファースト”の姿勢
かつて、ミュージシャンは“テレビ番組には出演しない”ことが一種のステータスだった時代もあった。しかし時代が下るにつれ、音楽番組のみならずバラエティ番組に出るのも普通となり、さらには『スッキリ』の進めてきた“音楽ファースト”の姿勢が認知されると、洋邦を問わず「朝の情報番組」『スッキリ』に出演すること自体が、今や“箔”のつく一つのステータスとなっているようだ。
アメリカの『グッドモーニング・アメリカ』のように、朝の番組にビッグアーティストが出演することは特別なことではない。その流れもあり、過去には他局でも、国内外のアーティスト出演はあった。とはいえ、新曲のリリースタイミングが多く、『スッキリ』のように“音楽”が番組の1つの大きなコンテンツとして盛り込まれていることは少なかった。
数々の音楽番組がありながら、朝の情報番組が“音楽コンテンツ”を担っているのも皮肉なものではあるが、リピーター出演が続き「スッキリ」ブランドがアーティストたちの間で定着しはじめているのは事実であり、ミュージシャン側・制作側の「ウィンウィン」関係を生み出しているのは間違いない。