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長期CM起用が多数、“2人のCM女王”のタレント強度 満了後も“残像”を残し続ける影響力
「〇〇といえばガッキー」 記憶に深く刻まれた後世に残したいCMが多数
同様に、昨年で10周年を迎えた明治「メルティーキッス」。テレビから“冬のキッスは〜”と流れてきたガッキーの歌声を聞くことで季節を感じる人も多く、いわば国民的行事のようになっている。
そんな新垣だが、ブレイクのきっかけは江崎グリコ「ポッキー」のCM。2006年から2年間と出演期間こそ長くないものの、ダンサー系のカッコいいダンスとは一線を画した「とにかくカワイイ」ダンスが印象深く、歴代のポッキーガールの中でもダントツの人気を誇り、いわば“伝説のCM”となっている。昨年の11月11日には、「ポッキーの日」とあわせて「ガッキー」もトレンドワードとしてランクインし、“ポッキーと言えばガッキー”というイメージがいまだ根強いことを知らしめた。企業側にとってもマイナスとはならず、新垣自身もポッキーの元気少女から、メルティーキッスのしっとり感・文化系的親しみやすい女性へと、自身のイメージをCMとともにも成長させている。
ヘルシーで天真爛漫 商品単体では無く“企業の顔”にまで上り詰めた綾瀬はるか
また綾瀬のCMはガッキーとは異なり、商品をピンポイント的に限定していないところが特徴。パナソニックであれば「VIERAワンセグ」や「衣類スチーマー」、日本コカ・コーラは「コカ・コーラ」「爽健美茶」といったように、“企業の顔”ともいうべき商品全般のCMに起用されている。
綾瀬が出演するCMは、視聴者の生活に沿った内容であることも、ガッキーとは異なる視点だろう。家電にしても、ライフウェアとして展開する「ユニクロ」のCMも、商品を実際に綾瀬が利用したものが反映されており、ブランドが身近な存在であることの象徴としてもとることができる。
旬の女優が毎年台頭しても…依然として「CM女王の双璧」はこの2人
昨年結婚してライフステージに変化があった新垣。私生活がほとんど明かされていないこともあってか、出演するCM企業への影響もない。だが昨年は、正月に放送された『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)のスペシャル版で“母”になった描写もあり、アルコールのCMも決まるなど、今後は妻・母など、これまでにはなかった新たなイメージを開拓した起用につながる可能性も期待できる。とはいえ、現在継続しているCMのイメージが失せることもないだろう。
また、プライベートが見えないのは綾瀬も同様だ。バラエティ番組の番宣などでドラマや映画と違った一面を見せることはあるものの(主に天然ボケ系キャラ)、基本的に「健康的で天真爛漫」「国民的女優」「お嫁さんにしたい女性」といった印象が変わることはない。そのイメージがキープできているからこそ、起用企業の汎用性も高いままだ。
昨年末に発表された「2021年 タレントCM起用社数ランキング」では、1位・本田翼(16社)、2位・芦田愛菜(15社)、3位・広瀬アリス、広瀬すず(ともに12社)と旬な女優勢が並んだ。しかし、ともに9社と同数12位である新垣と綾瀬が、依然として(ここ数年の)「CM女王の双璧」と言って異論のある人もいないだろう。
CM出演には勢いや話題性も重要だが、新垣や綾瀬のように長年にわたるスキャンダル知らず、品行方正なイメージに対する信頼、プライベートを切り売りしない姿勢など、私生活が“見えない”こと、雑音が“聞こえない”ことも、ブランドを維持する“強度”を支える要素として必要なのかもしれない。今後、新垣・綾瀬の「継続CM本数」を超える、新たなCM女王が現われるのか? 注目したい。